感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『もしもし、わたしじゃないし』(かもめマシーン)

2021/02/11

電話がかかってくるので、自分の部屋で!!というわけで自宅が劇場です。すごい。

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緊急事態宣言中だし、オンラインでおもしろいの観たい…って探してたらこんなのがあって申し込んでみました。

 

本当は同じTPAM2021『福島三部作』とかも観たかったんですけど…まあしょうがない。予定とお金のやりくりが厳しかったです。三部作で、どうせ観るなら全部観たいし。とりあえずこれに関しては今度戯曲読んでみようかと思います。

あとNHKとかに頑張ってもらって、権利関係なんとかして地上波で流してほしい。

頑張れば絶対いけるって。テーマ的にも。上の人たちに頑張ってほしい。第三部にはちょっと注意書き必要かもとは聞いているけど…。

 

わたしの願望はおいておいて、本題に戻ります(笑)

もともとはベケット"Not I"だそうで…。

(邦題は、手元にあるペラ1枚の戯曲だと『わたしじゃないし』になってます。一昨年の講義で大学の先生がコピーして配ってくれました。あざっす。ちなみにこの講義で10分くらい「わたしじゃない(。)」ではなくて「(…)わたしじゃないし(…)」ってなっていることの素晴らしさについてノンストップで語ってました。最高だったこの講義。)

 

とにかく、なんかイメージだとこの動画の感じしかもってなかったので、これが自分の電話にかかってくるってどんな感じなんだろう…とわくわくでした。

あと、もともと、ほとんど口しか見えない&声しか聞こえない演劇を、電話でやるっていうのが単純にすごく楽しそうだったんで…。

 

youtu.be

 

結果。なんじゃこれ!?なんか変な感じ!!面白い!!

みたいな感じになりました。

 

まず自分のスマホにかかってくるっていうのがやっぱ変な感じでした。非通知で表示されるので、気分はさながらホラー映画のヒロインです。ちょっと違うかもだけど…(笑) 

 

語りだしが「もしもし…」だったので、条件反射で「もしもし?」って最初返事しちゃいました。やっちまったすいません。 

でも所々に「もしもし…」って入ってくるので、なんかそれ聞くたびに変な感じでした。

いや勿論お芝居なのは分かっているんですけど、なんか聞いてるこっちはもろプライベートないつもの空間で、しかも超プライベートな機械(スマホ)使って聞いているので、そんなときに、虚構の時空間の相手から、「聞こえてる??」みたいに「もしもし…」って語りかけられる不思議さというか不気味さというか…。

 

あ、あとこの戯曲、なんか内容的に三人称語りで自分のことを喋ってるみたいな感じなんですけど、

(プリントの上には「誕生のトラウマ」って書いてるけど先生の言葉だろうからイマイチまだ飲み込めてません。女性器に歯が生えているようにも見えるからかなあ…)

 

途中にその三人称語りをやめるように指摘されたことに対して激しく拒否るみたいな

(「え?……誰って?……違う—……彼女だよ—……」の部分。英語だとwhat. who. no. she.の4語だけです。動画で見ると(03:50あたりとか?)分かるけどこの迫力に、同じようには日本語の発声じゃ勝てない気がする。あと公演では一貫して彼女じゃなくてあの子になってました。自然な日本語な感じもします。)

 

とにかく、そういう部分があって、なんかその時に電話の向こうにもう一人誰かいるみたいに、そしてその人に向かって大きな声で言っているみたいに聞こえて、これも不思議な感じでした。

 

考えてみればいつも電話するときとか、当たり前すぎてあんまり気にしてなかったけど、電話の向こうに空間があるのが、薄っぺらい板みたいなスマホ通して分かるって感じ、めちゃくちゃに奇妙だな…と思いました。なんか耳当ててる部分から、風船膨らんでいくみたいな変な感じというか…。

 

しかもそれが虚構の空間なので…余計不思議な感じです…。

有線とか、あと黒電話とかで聞いたら、真面目に死者とかなんかその辺と交流してる気分になれたかもしれない…。なんでスマホしか持ってないんだ自分…。

 

 

電話って空間と空間を繋ぐんですね…。

そりゃあ古くから演劇とか映画で利用されまくるわけだわ…。

ホラー映画とかでもよくあるじゃんね…死者からの電話とかって…。

 

 

って浸ってると、その瞬間「もしもし…(聞こえてる?)」ですから。マジびっくりするから!!ほんとに!!もう!!気持ち的にビャッッッッ???!!!てなります。

 

あと、英語だと、動画のイメージしかなくて、マシンガンだね??!みたいな速さなので、日本語でもそんな感じなのかな、と勝手に思っていたら、結構ゆっくりめな感じできました。最初は。興奮してくるとかなり早口だったけど。

かなり緩急があって、日本語でやるとするとこんな感じになるんだなあ~、と思いました。

でも英語でやる時ばりの狂ったスピードでも聞いてみたい気もします(笑)

 

とにかく、なんか体験したことない感じの演劇でびっくりと不思議の連続でした。

最後もセリフ途中でプツンと通話が切れちゃう感じで、電話使ってて、かつト書きにそれなりに忠実って、すごすぎじゃない…???

お値段も良心的な設定だったので、思い切って買ってよかったです。

 

それにしても、早く宣言終わんないかな…。子午線の祀りは劇場に観に行く予定だし…『ドレッサー』もだけど…。あと『戦火の馬』も映画館でないと観られないし『トロンプ・ルイユ』をこの前オンラインで観たから馬は這ってでも観に行きたいし…。

 

2月下旬、もうちょい感染状況落ち着くといいなあと思います。

あと14日の深夜から翌日の早朝まで、6時間ぐらいにわたって配信される『ローマ悲劇』を観ることができない悲しみに打ちひしがれるバレンタインになりそうです。

これぞバレンタインの悲劇。いつかの再来日をこっそり期待してます…。

『FARGO/ファーゴ』season1

2021/02/05-02/06

Netflix

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2日かけて一気に観ました!『FARGO/ファーゴ』!!

前から面白いって聞いてて、わくわくしながら観たんですけど、なにこれめっちゃ面白い。

 

あらすじ書いてもしょうがないと思うんですけど、ドラム式洗濯機のぐるぐるから始まって、ぐるぐるした深みにどんどん嵌まっていく、うだつの上がらない保険屋さんのレスター(マーティン・フリーマン)がメインの話でいいのかな…??

(いやマジで、洗濯機から始まって、最後、氷が張った湖の穴に静かに消えちゃうから…あれ最高…)

 

レスターの印象がドラマ進むにつれて180度変わるので、そこも面白いです。

これは多分演じててテンションあがる役な気がする…。

(でもSHERLOCKで「常識人だけど実はやばかった」みたいなのは、ベクトル違うけど観たような気もする…似合いますねこういうの…見た目が…身長…じゃなくて…体格とか…なんか無害そうだからなのかな…大分失礼な方向に来てる気がする…やめます)

 

カッコよく書くなら、「普通の人(レスター)に潜む何かが思いがけない出会い(殺し屋マルヴォとの)で引っ張り出された」的なあれですかね???

良い感じにクズっぷりが全開なのも素敵です。

レスター、ドラマ後半とかで、後妻のリンダに対して、レディー・ファーストを元々の意味の方で使ってますから。

完全にSon of a bitch案件です。実際にいたらみんなぶっ飛ばしましょう(笑)

巧妙な悪事は笑えるけど、巧妙にするつもりがなくても巧妙になっちゃった悪事は観ててハラハラするし最高に笑える気がします。

ブラックな笑いが多いのもかなり好きでした。

 

しかもこのレスターの筋から色々な方向に線が伸びていって、それこそ警察の捜査会議のホワイトボードみたいに伸びていってもう回収無理だろぐらいまで行くんですけど、最後にまた全部綺麗に回収するからもう快感すぎる。映画を基にした、ってどこかに書いてあったけど、それにしても脚本天才すぎる…。

 

あと、北国出身なんであんまり冬景色綺麗とかないんですけど、このドラマのホワイトアウトしそうな視界の悪さと、静かな感じ最高でした。捜査が行き詰ってる感じとか、あと、何でもないような穏やかさを引っぺがすと、裏でやばいことになってる、みたいな話ともあってたのかな、と個人的に思います。あとも映えるしね!!

 

雪も寒さもいい仕事するんだね、たまには!!!

 

あと、個人的にはマルヴォ(ビリー・ボブ・ソーントン)の常識ぶっ飛び気味の悪い殺し屋ぶりも好きだったけど、第7話から最終話まで出てくるFBIのちょっとお笑い担当のコンビが好きです。たぶんこの辺りからレスターのイケイケ度が増してくるので、その埋め合わせな気もします。最後死ぬけど。残念。

 

でも第7話、マジでこのFBIのコンビ出てくるあたりが映像として1番好きです…。

マルヴォが、詳しい話はすっ飛ばすとして、マシンガン?片手に自分に刺客送ってきた本部に単身で乗り込むんですけど、めっちゃかっこいいアクションになるかと思ったら、斜め上の方向からかっこよかったです。

 

なんか、銃声と声だけが聞こえて、あとは、マルヴォが、建物内のボスがいる最上階に向かっていく行程を、建物の外壁を映すだけで表現してて…途中良い感じにエレベーターで上方移動するのをカメラの動きだけで表してたりとかがもう最高。

しかも窓がマジックミラーなので、反射した反対側の街の様子とか見えるんですよね…。

窓にヒビ入ったり、人が落ちてくるまでは、建物の中で人がバンバン撃たれているのなんか、全然信じられない感じの街の風景が、すごく対照的でもうイカしてるとしか言えない感じ!!(死語かもしれない)

 

もともとマルヴォ自体が寡黙なキャラなので、そういうのもあって、割と控えめな大量虐殺(なんて矛盾!笑)のこのシーンが一番好きです。シーズン1全体で。

 

あとは留置所のシーンかな。たしか5話の。

レスターが2人の殺し屋と留置所で奇跡の再開を果たすシーンです。

レスターにしてみれば全然笑えないけど、こっちとしては笑い過ぎてお腹痛かった…。レスターの表情がとにかく最高です。がんばれ、ってなります。自業自得だけど(笑)

 

最後の最後まで飽きずに楽しく観れました。クライム系ってそんなに得意じゃないんですけど、これは超面白かったです。

 

あ、でも、大量の虫が出てくるシーンがあるなら先に言って。

マジで。

人の首掻っ切ったり、足から骨が見えたり、頭ぶち抜いてもいいけど虫だけはやめて。

PG-12とかR-15とかやってる場合じゃない。「虫出演!!注意!!!」ぐらいしてほしい。

 

あと、ドラマ後半、レスターの妻殺しから1年後、順風満帆な中、偶然マルヴォに再会したレスターが、よせばいいのに絡みにいく部分だけが、なんか不自然だね…??とはなったんですけど、あそこバーだったし、たぶん順風満帆すぎた上に、酔って気が大きくなってたんだろうな、とか思ってます。

調子に乗ると痛い目見るのは万国共通ってか。気をつけよ…。

 

シーズン2観るかは分かんないんですけど(結局シーズン1が最高だった、っていうことを聞いたことがあるので…)とにかく超面白かったです。

忘れた頃にまた観ようと思います。

Hansard『ハンサード』

2021/01/16

シネ・リーブル池袋

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レポートに追われていて、ついに1月は1回も記事をかけずに終わりました。

でも無事にレポートは終わりました。やったね!

何個かA+以外がきたら、ブチ切れそうなくらい頑張って書いたやつがあるので、その辺りはきっと先生が汲んでくれることを期待しています。

 

というわけで、ブログさんあけましておめでとうございます。遅いけど。

新年になったので、レイアウトもちょっと模索中、ということで、なんか前はブツブツ行替えを短くやってたんですけど、やめてみようかな、とこんな感じに書いてます。

もしかしたら戻るかもしれないけど、モノは試しということで…。

あ、あとパソコンで書くときとスマホで書くとき、前までは一応揃えて書いてたんですけど、なんかもうブログもそろそろ1年経った(!)ということで、慣れたというか、こだわりなくなってきた部分もあるので、今年はフリーダムに書くつもりです。

たぶん学校も忙しくなるし。こっちが本音かも。

 

 

前置きはこのぐらいにして観に行ってきましたよ!『ハンサード』!!

でも観に行ってからもう2週間も経ってますね。詰んだ。

というわけで、感想も短めです。/(^o^)\ナンテコッタイ(古い) 

 

個人的にもともとこういう劇…何だろう…男女の2人芝居って、

 

「おもしろかった!」

 

で終わっちゃうことが多いので、そもそもがあんまり感想ないんですけど…('ω') 

 

演出も、まあリアリズムって感じで、映画並みのセットだったし特に奇抜な感じはなかった気がします。

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(左から夫役アレックス・ジェニングスさん、妻役リンゼイ・ダンカンさん)

 

いやほんとに、びっくりするぐらい内容覚えてなくて…。いや正確には覚えているんですけれど、記憶の引き出しが拒否ってるんですよ。何故か。不思議。でも頑張る。

 

時代設定的には、サッチャー政権のあのあたりです。特に、1988年、サッチャー政権時代に、地方自治法28条、通称セクション28って呼ばれる法律が制定されてたみたいで(2003年に廃止)、いやこれが、マジかよ!?って法律なんですけど、内容としては、自治体とか教師が「同性愛を助長する行為」が禁じる法律で、要は、

 

「学校関係の人、同性愛について絶対言及しちゃだめ。相談とかもだめ。」

 

みたいなぼんやりしてるわりには制限範囲広すぎだろ、みたいな感じで…。

まあ、エイズの感染もたしかこのころピークだったってのも、あるんだろうけど…。

 

んでもって、サッチャーを割と支持してそうな保守党の夫と、どうも保守党に嫌悪感丸出しの妻(「この国の国民はイートン校出身のエリート(=保守党員)にいたぶられたいのよ!」みたいなセリフは吹き出しました。最高。)の嫌味の応酬…って感じの劇でした。

それが進行する中で、実は夫婦には、どうも亡くなってしまった息子がいて、しかも話聞く限りトランスジェンダーっぽいぞ…ということが明らかになって、しかも息子の死因が、なんだか両親にそのことを理解されなかったことによる自殺っぽいぞ…?ということが、息子のつけていた日記(=Hansard、議事録。ここでは生活議事録的な?)と共に明らかになる…。

 

みたいな感じの内容でした。端折りすぎにもほどがある気がします。

正確には、休暇中だかに妻の方が家に帰ってきたら、息子が意を決したような顔で自分のドレス着てて、本当は「愛しているわ」って言ってあげなきゃいけなかったのに瞬間的に自分の息子を見て吐いちゃった、みたいな、割とショッキングな描写の感じだった気がします。

 

…いやすごかったんですよ。本当に。ほんと名優って感じで。もうなんか、超感動したんですよ。嫌味の応酬とかタイミングも抑揚もばっちり爆笑で、でもそんな中であきらかになっていく事実の深刻さと、あと浮気を疑われていた夫が実は全然妻と息子一筋だった、みたいなこと打ち明ける瞬間とかのまじ悲痛な表情なんか、もらい泣きしそうなレベルで、超やばかったんですよ。

 

それを踏まえて、1個だけ…。

 

これ、映画でよくね…?

生で観てないのにこんなこというのもあれだけど…演劇でやる意味…?

名優2人の演技を楽しむだけの演劇…。

 

って感想ノートに書いてました。見事に精神疲れている証拠です。

レポートとはここまで学生の精神にダメージを与えるのかとびっくりです。

 

…まあでもなんとなく覚えている限り、LGBTQに関しての部分も、映画とかに比べると、物語の中で問題になっている割には、なんか掘り下げあんまりないなあ…っていうのはちょっと感じました。個人的に。←ここ大事!

もしかすると死んだ息子がいる長年連れ添った夫婦の家族としての劇、みたいな方が主題だったのかもしれません。でもそしたらなんで放り込んだこの時代設定と息子の設定。謎。

 

…というか一番の問題はLGBTQやそれに関わってくる色々のことに関して、私があまりにも関心が薄いっていうのが問題だったのかもしれないです。受け取り手が悪いんだ。そうだよ、きっと!

(でもほんとに誰を殺すわけでもないなら人間だろうが人間じゃなかろうが恋愛すればいいと思うし、好きな服着ればいいと思うマジで。あと自分のからだに関してはトランスジェンダーの人はコンプレックス強いなんてもんじゃなくて大変だろうけど、でも強いコンプレックスぐらいならみんなあると思うし何がそんなに問題なの…?と毎回考えると袋小路に入り込んで思考停止してる。1番ダメなパターン…)

 

ってな感じ考え始めると、キリ無くなるんですけど、普通に観に行って面白かったし楽しかったので、オールオッケー。これのおかげで1月乗り切れたぜ。観てなかったら死んでた。だから不要不急じゃありません!

そしてこの劇で1番口笛鳴らしたくなったセリフが、妻のこのセリフ!!

 

「官僚たちに想像力を養ってもらいたいわ!!」 うろ覚えです。

 

…ほんとそれな…!?!?!?

きっとこのセリフを言いたいがためのセクション28とかの時代設定だったのかもしれないですが、もうマジこれな。これだよ。政治とか社会情勢とか疎いけどわかるよ。想像力足りない人多い気がする。みんなシェイクスピアでも観て落ち着こうよ。『リチャード三世』とかマジ、トランプ前大統領だよ。おんなじことやっててすげえ笑えるよ。話ズレてきたからそろそろやめるよ!

 

今年もこんな感じでのろのろ感想書いていきたいと思います。('ω')

…どうも、レポート書くのとかは本当に嫌だけど「文章書く」って行為が精神衛生上プラス方面に働いているっぽい感じが最近してきているので…。

今年も頑張れ私のメンタル。

 

明日は書けたら、今日観た映画の『シングルマン』の感想でも書こうかな、って思ってます。コリン・ファースさん、マジ最高だったので…。この人の映画結構観てるけど…個人的にあの素晴らしすぎる『英国王のスピーチ』さえ超えた感がある…。

追記:すごすぎて感想とっ散らかりまくったので、人間が理解できる程度まで言語として感想文を成立させられそうになったら、改めて書きます…。

 

でもその前に歯医者あるのでそれ頑張ります。(´;ω;`)