感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『FORTUNE』

2020/01/31
東京芸術劇場 Playhouse
13:00から
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2020年記念すべき1本目は『FORTUNE』でした。
テストがあるので1月はなかなか観られません。
森田剛さんが主演ということもあってか
女子率がいつに増しても高い。
ジャニーズ恐るべしですね。

ジャニーズさんが出演されると
チケットの値段も倍率も上がるので
学生的には痛手です。

前置きはさておき、以下感想です。

多分、演劇とか映画とかに対して
ある程度知識がないと
面白くはないかなあと思います。
ファウスト伝説については言わずもがな。

日本人には少々難しいかな。
イギリスの地元ネタ(ハリポタとか)で笑いが
全然起きなかったのは
ここがやっぱり東京だからだと思います。
ロンドンでやったら爆笑しそう。

翻訳面での問題も出てましたね。
まずは会話のリズムが日本語よりも圧倒的に速い。
これも難しくしてる要因だと思います。
あと、イギリス英語とアメリカ英語の違い
というかそれに引っ掛けたからかいは
やっぱり英語ネイティブじゃないと笑えない。
アメリカの若者っぽい
独特のあのf××kingを多用する感じも
日本語だと上手く出せてない気がします。
というか記憶違いじゃなかったら
カタカナで言ってた気がする、ファ×ク。
じゃあいっそカタカナでやっても良いのでは。
それか関西と東京とかで日本語として分けるとか。
でも、それだと翻案ですね。
ファウスト』の翻案なのに
それだと翻案の翻案になっちゃいますね。
ややこしい。

個人的にはファウストって
「ひゃっほー理性なんてクソ喰らえ!俺は好き勝手やってやるぜ!見てろよ世界!行くぜメフィストフェレス!酒だ女だ自由だー!」
みたいなイメージなので(どんなだ)
前半のシンプルな感じは物足りなかったです。
フォーチュン(森田剛さん)の抑えた演技も
うーんって感じ。
マギー(吉岡里帆さん)は
前半特に映画的な演技だったので
この大きめな劇場だと、2人だけのシーンは
舞台がぽっかり空間が空いているようで
ちょっと拍子抜けする印象がありました。

でも、常にたくさんのダイエットコークの缶と
ワインセラー(どちらもフォーチュンの部屋にある)が、どんなに場面が変わろうとずっとあったことを考えると
つまり、どんなに場所が変わろうと
精神的なレベルではフォーチュンは常に
それら以外なにもない空っぽな部屋にいて
それがマギーの「あなたがいったことなんてなんのいみもないわ!そしてこれからあなたがいうこともね!」みたいなセリフと響いている
というような演出意図だとしたら見事。
フォーチュンの絶望が常にちらちらみえてることになりますね。
ただ、どんなに巧みな意図だとしても
直ぐにそれが感動に結びつかないのが
難しいところです。

だから休憩前のアメリカのカオスなシーン...
フォーチュンがアメリカ人をヤギにして、お立ち台でディスコダンスを踊らせて、マギーがパニック、舞台はピンク、チャップリンは生き返り...
みたいなとこがとても好きです。

あと、幕開けが心拍音みたいな音楽で
始まったのも良かった。
なんだか劇場がひとつの世界というか
ひとつのいきものみたいで。
それが世界を掴もう、知ろうとした
フォーチュンの気持ちとも重なっている...
そんな気がしました。
お父さん役の鶴見辰吾さんが意外と歌が上手くてびっくり。
あとスタイル抜群です。足が長い。
この方は謎の存在感がある気がします。
出てくるだけで、空間が埋まる。
お父さん関連で、少しオイディプス的な流れも
話の中にありました。
フォーチュンが最後に目をくり抜いちゃったり。
(原作は1部しか読んでないので、原作にあるかは不明です)

休憩明けの後半はギアチェンジして
一気にファウスト感満載でした。
森田剛さんも本領発揮って感じです。
ちょっとイッちゃってるぐらいの役が
やっぱり上手い気がします、この方。
今回気がついたのは、とにかく声が魅力的です。
子供みたいな声が出せるのは
凄いと思います。
子供みたいな、というのは高い声という訳ではなくて
なんというか、迷子になって親を探す時に
子供の声にまじる悲しさとか不安とか...
まあ単純に息と鼻に抜ける声の量のなんだろうけど
もっと端的に言うと
母性本能くすぐられるってやつですかね。
これは新しい発見でした。

最後の砂の演出は秀逸でした。
最期の砂時計の役割を果たしていたのに
一瞬にして、地獄の火攻めのような効果。
ここだけでも観にきて良かったなと思いました。

ただ1万越えの価値があったかというと
ちょっと微妙です。
主演のファンの方なら色々な表情がみられるので
むしろ安い!レベルだとは思うんですが...。

やはり現地でやる前に日本で初演迎えるのは
言語とかそれ以前の文化的な大きな壁が
立ちはだかるような気がします。