感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『ヘンリー八世』

2020/02/14
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
18:30から 1FRA列16番
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去年『ヘンリー五世』を観に来たはずなのに
あっという間に1年ですね。早い。
離婚沙汰で有名なヘンリー八世を
"結婚できない男"が演じるって
結構シュールだなあと思うのは私だけですかね。
この間『メアリ・ステュアート』を
観たんですけど
『ヘンリー八世』はエリザベスが産まれるまで
というか産まれてひゃっほー!って
盛大にお祝いする所までですね。
これを当時エリザベス女王
まあ年代的に考えると
観ることは出来なかったのかなとは思うんですが
じゃあジェームズ一世統治下でやったのかなあ
とかそんなこと考えると
結構ギリギリですね。
実際はよくわかってないらしいです。
(メアリの息子がジェームズ。これはやばい)
家系図見るとやばさが分かります。

毎回このシェイクスピアシリーズは
ド派手です。お金かかってます。
言い方の感じがちょっと悪いかもですが
The 商業演劇シェイクスピア
って感じです。実際そうだしね。
吉田鋼太郎さんが演出されるようになってからは
特にものがよく飛びます(比喩では無いです)
今回は服まで飛んでましたね。
服の比喩はよくシェイクスピアに出てきます。
マクベス』とかそうだったかな。
井上ひさしの『天保十二年のシェイクスピア
の前口上(「ぼろづくし雑巾口上」)が
衣服の言葉遊びなのは、そういうことです。
今回の演出とは関係あるのかな...。
権力(立派な服)を剥ぎ取られていく
ってのは分かりやすいです。

"分かりやすい"っていうのは
このシリーズのひとつの強みだと思います。
シェイクスピア、古典でムズいよね」
っていうイメージを
1回でも観れば払拭出来ると思います。
ただ、最近、どっちかというと
"分かりづらい"演劇を観ていたので
ちょっと今回は白けちゃいました。
これは完全に私が悪い。残念です。
マイクなしであの大劇場でやるのは
確かにすごいっちゃあすごいんですが
たまになんだかずっと叫んでるみたいになる時が
あったりなんかして
なんだかこうメリハリにかける瞬間が
ちょっとうーん...って感じでした。

1幕で良かったのは
バッキンガム公の死刑前の演説のシーンですね。
客席に入る前にHENRY Ⅷと書かれた
小さい旗を貰っていたので
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「善良なる諸君よ!」(うろ覚え)
って呼びかけられた時
なんだか臣民になった気分でした。
心做しかリラックマもドヤ顔です。
まあでも体調面のあれもあって
こういう小細工はセコいだろ、なんて
スマホのメモには書いてます。どうした私。
きっと荒んでたんですね...(遠い目)
まあでも確かに、旗がなくても
そういう気分になったらほんとに最高!
っていうのはひとつの意見として
ありなんじゃないかなと思います。

あと、キャサリン妃(最初の奥さん)が
離婚関連の裁判から逃げ出した後
自室で嘆く時
子宮の辺りをバンバン叩くのは印象的でした。
王妃の1番の務めは
世継ぎ(男の子)を産む事ですもんね...。
それもまだなのに放り出されちゃ
悔しくもなるわな...とちょっと同情します。
ただ、あの狂乱っぷりは貴族としてどうなのか。
あれはあれで良かったんですが
抑えた悲しみと怒りも観てみたかったです。

2幕は、まあ話全体が面白くなっては来るので
眠くなったり...うん...1幕でね...(濁す)
は、しませんでした!はい!( ˙꒳​˙ )キリッ
ほんとですよ!
というより初っ端から吉田鋼太郎さんの独壇場で
寝る暇がなかっです。
この方の滑舌と存在感は舞台をやるために
なんか神様的な人が与えたんだと思います。
ドラマでもいいんですけど
舞台だと圧倒的です。他が霞んじゃいます。
声も通るしね。
あと観客との距離感を掴みながらの芝居が
ほんとに上手としか言いようがない。
多分、こういうふうに
しかもシェイクスピア演じることの出来る方
今のところ他に並ぶ方いないんじゃあないかなあ。
それと、大司教役の金子大地さん
舞台初めてだそうで
全然そうはみえない。すごいです。
(むしろいい部分もあったり...)

演出に関して
ヘンリー八世がイライラして
バンって机叩いた時に
周りのお貴族様方がダチョウ倶楽部みたいに
ぴょんぴょん跳ねる
一連の面白部分があったんですけど
ここも好き嫌い分かれそう。
「スリッパな」学者先生が観てらっしゃったら
( ゚皿゚)キ─︎─︎ッ!!ってなってそうです。
井上ひさしの『天保十二年のシェイクスピア
読んだ&観たばっかりなので
使ってみたかったんです。すみません。)
楽しかったんで良いんですけどね。
後々考えるとどうなんだろう。
それと
最後の王女様(エリザベス)バンザーイみたいな
延々としたセリフのあとどうするんだろうって
思っていたら
最後に、そこに至るまでに犠牲になった人々
(バッキンガム公とか枢機卿とか)
を暗転するまで出しておくことで
相対化(現代化)してました。
でもこれ正直学生演劇でも観るレベルです。
(しかも無料カンパ制の)
ちょっと残念です。
なんかもうひとひねり欲しかったような
そうでないような
まあ、個人的に感じたことですが。

あと、パイプオルガン的な生演奏が
ずっと劇中に使用されていたんですが
何故か最初幕開けの時に
赤ん坊の泣き声とパイプオルガンの音を
混ぜっ返して大音量で流したんでしょう。
ちょっとかなりホラーでした。
耳キーンってなりました。
照明も紫ピンク蛍光黄色に黄緑の斑だったので
禍々しさ倍増です...。
なんだったんでしょうアレ。
しかもその後にヘンリー八世が
絶叫してベッドから飛び起きて舞台開演!
だったので、ちょっとほんとに???
って感じでした。
割とハッピーな感じに終わるけど
エリザベスが産まれるまでの後暗い部分も
産まれたあとの血なまぐさいことも
ちゃんと意識しておかなきゃいけないよ!
ってことだったんでしょうか...?
未だに謎です。

ところで、6月にドマイナーな『ジョン王』を
小栗旬さん主演でやるらしいけれど
チケットどうしようかなあ...。
主演の方が主演の方だし(争奪戦かも)
高いチケット代と交通費をかけて
観に行く程だったかな
と思うと正直今回の感じだと悩む所です。
楽しかったのは楽しかったんですが
なんとなく面白くない。
さっきも書いたけど、私の体調面でも
コンディションイマイチだったので
それも原因だと思います。
演劇って色々難しいですね。


とかなんとかグダグダ書いていますが
実は日生劇場で『天保十二年のシェイクスピア
を、観る前、休憩、帰りの電車の中で
この記事を書いております!
周りに宝塚劇場に帝国ホテルに帝国プラザに
シアタークリエで『グッド・バイ』上演なう
しかも無印のカフェがある?!
とかとかとかとかエトセトラで
2年も東京にいるのに完全にお上りさん状態です。
心做しか周りの視線が痛い。(自意識過剰)
三世次(みよじ)を"さんせじ"と読んでた
上演前の自分を殴りたいですね。
ちょっと深夜テンションです。
井上ひさしバンザーイ!!!
高橋一生さんは
二枚舌の舌先三寸、口達者の世渡り上手で
お腹の中はまっくろくろすけでーす、てへぺろ
みたいな役似合いますね。
とってもイアーゴー。
タモーラのアモーレで
最後はタイタスにやられちゃうけど
あんまりどうしてにくめない
空ごと上手のエアーロンでも異論なし!
って感じです。
でももしエアロンやるんなら
もうちょい肉肉しいほうが
心にくくなると思います。
かなり深夜テンションですね。
くわしく...というか筋道だった記事は
明日やろうの馬鹿野郎ということで
今日はもう寝ます。
マクベスに眠りを殺されてたまるか。
クリストファー・スライもびっくり仰天なぐらい
ぐっすり寝てやります。
では、Farewell!