感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『1917 命をかけた伝令』

2020/02/29
AEONシネマ
18:40から
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(画像全て公式Twitter@1917_moviejpさんから
引っ張らせて頂きました。)
新型コロナウイルスの影響で
自粛ムードが漂っているので
本当は行くべきではないんでしょうが
どうしてもこれだけは
映画館の大スクリーンで観たかったんです...。
「地方だしそんなに人いないでしょ!」
と謎の確信をもって、家族で行ったら
思ったより人が少なくて
(全部で9人くらい?でした。さすが田舎)
少なくとも近くの満員のカフェよりは
感染リスクとやらが低そうなので
そんなに後ろめたくなく観れました...。

でも、これからはちゃんと自粛します。
映画館や劇場には当分の間は行きません(辛い)
...正直に言うと、今更中止にしても遅いような
気がしないでもないですが、
小中学生ですら苦い思いしてるので...。
早く収束して欲しいです。

ちょっとしんみりしてますが
映画はすっごく良かったです!
"ワンカット風っていっても
制限はあるよなあ"
ぐらいの気持ちだったんですが
ほんとにワンカットにしか見えない!
正直繋ぎ目は専門家に細かく指摘されないと
わかんないぐらいです。
ド素人の私でも指摘できるのは2つか3つ...。
それも映画観てる間は
全然気にならないレベルです。
(爆発からの一瞬の暗転シーンとかとか)
ちょっと例えが悪いけれど
ディズニーのアトラクションのソアリンとかの
戦争バージョンみたいな感覚ですね。
それか、戦場カメラマンに"自分"がなって
第一次世界大戦の兵士2人を
密着ドキュメンタリーで撮影してる感じ。
カット割りとかで没入感が途切れないので
本当に戦場にいるような感じです。
おかけで観てる間の緊張感がヤバいです。
ちょっと落ち着いたと思ったら銃撃戦くるし。
戦争ではそういう風に常に気を張ってるのが
当たり前なんだろうけれど
初めの爆発トラップなんかは‪Σ( ˙꒳​˙ ;)ビクッ
ってなりました。笑

ストーリー自体はものすごくシンプルなので
第一次世界大戦の知識とかなくても
全然余裕でついていけますね。
ん?ってなるならソンムの戦いぐらいですかね。
でも小話レベルなので大丈夫です。
あと字幕も映像の雰囲気にきちんとあった
フォントだったのが良かったです。
たまにぶち壊すレベルの字幕があるので。
あと人が案外静かにあっさり死んじゃうのも
戦争の現実を突きつけられている感じで良い。

ただ、一応これフィクションなので
最後に"この話をしてくれた~に捧ぐ"
サム・メンデス監督のおじいさんだったかと)
って書いちゃうと、もし知識がなければ
"これって全部本当の話なんだ!"
ってなっちゃいかねないのが
唯一良いのかな?ってなったポイントですね。
まあ、指摘するのは
多分意地悪な学者先生ぐらいなので
全然マイナスポイントではないです。
映画はフィクション!これ当たり前!
Based on The True Storyだろうと
完全ノンフィクションの記録映画だろうと
撮影者の目線がある限り
ある意味フィクションです、
と、私は思っています...多分だけど...( ¯꒳¯ )

あとキリスト教的な要素がちょっと多めですね。
小屋に突然あるミルクとか
聖母マリアを想像させるフランス人女性と
エスかな?ってなる赤子とか(でも女の子)
あと夜明けに燃えていく集落の中
何故か十字架に見えるオブジェが広場の中心で
炎をバックにかっこよく写っていたり...。
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草むらとかに花が少し生えている所が
所々移るのも天国っぽいですね。
トムが死んだ時わざわざ草むらまで移動するのも
そういう意識なのかなと思います。
戦場にそういう場所があるのって
なんだか間延びして思えて
少し皮肉な笑いが起こるし
あるいは、戦争ってそういう
天国みたいな平和を求めてやっていると考えると
やっぱりちょっとシニカルな感じです。
それと最初と最後の場面に木が写っていて
(勝手なイメージで聖書には木の例えが多い
ような気がなんとなくします)
"一本の木から木へ"で物語が綺麗に一直線に
繋がっていくのも、聖書っぽいといえば
言えなくもない...かも。
蛇足だけど、Cherryの木がいっぱい出てくるのは
桜を売りにしている市町村なので
単純に嬉しかったです。

もっと深読みというか深掘りしていいなら
伝令という役目自体天使的でもあります。
またトムが死ぬ時にウィルに向かって
"Tell me."(だったとおもう...)
って言って話しかけさせ続けるんですが
この時に、
つまりトムが死んで天国とかに行く時に、
ウィルが語るのが
何故か攻撃停止命令を届ける先に行くための
道筋なんですね。
つまり、この2つの道中を重ねて
伝令という役割の天使的要素を考慮すると
天使2人がこの伝令を届けることで
多くの人が死ななくてすむという意味では
天国のような色合いを持つ状態になれる
と、解釈することも可能といえば可能です。
監督や当時の人の祈りとか願いとして...とか。

ただまあこれはちょっと考えすぎな気もするし
日本人だからキリスト教色がやたら引っかかる
っていうのもあるかもしれないです。
あと、そんなことうだうだ考えなくても
戦争について自ずと考えさせられる映画です。

個人的に好きだったのは
最後他の兵士たちが攻撃に向かう中
ウィルだけがこっち(観客の方)に向かって
伝令を届けるために爆走するシーンですね。
日本語サブタイトル"命をかけた"感が伝わります。
これはいいサブタイトルだと思いました。
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(このシーンですね。映像だともっとすごい)
あと死体のこだわりが半端ない。好き。
特にウィルがオフィーリア風に死にかけて
ハッとなって頑張って川岸にたどり着いた時
そこにたまっていた水にさらされた死体が
ぶよぶよ膨らんでいたのがすっごいリアル。
どこにこだわってんだよ!ってなるぐらい
リアルでした。ちょっと気分悪いぐらい。
まあ戦争映画で死体がリアルじゃないと
間抜け感凄いので良いと思います。
神は細部に宿るもんね!

それと有名俳優をふんだんに
脇役で使いまくったのも最高です。(失礼)
出る尺をどうしても短くせざるを得ない上に
でも役どころとしては重要なものばっかなので
短時間で画力込の説得力を組み込むためには
あのぐらいのレベルじゃないと無理ですね。
最初"カンバーバッチ出るなら行こっかな..."
くらいのレベルだったので
『リーマン・トリロジー』観てなかったら
"えっ!これだけしか出ないの?"の衝撃が
凄そう。笑笑(最後らへん5分も出たかな...?)
噂だとアンドリュー・スコット
1番NG多かったって聞いたんですが
(タバコのライターが付けられなかったらしい)
マジなんですかね...だとしたら...
これは...相当に現場の空気ヤバ...ゲフン( ゚ー゚)
ってぐらい短いです凄い。
コリン・ファースマーク・ストロングも激短。
ファンの方は要注意ですね。笑

とにかくやっぱりこれは大画面で観て
大正解の映画でした。
あの臨場感は大画面で観るべき。
もし今後自粛が厳しくなって
公開期間が短くなるようなら
ぜひコロナ収束後に期間延長して欲しいですね...。
難しいかな...。
はやく落ち着いて欲しいです。色々と。