感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

ドラマ版『陰陽師』

2020/03/29
久しぶりにリアルタイムでドラマみました。
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COVID-19のせいで引きこもってるから
リアルタイムでドラマをみるのも
夢じゃないですね(皮肉です。早くおさまれ)
陰陽師』というとやっぱり思い出すのは
野村萬斎さん。2001年、2003年の映画です。
今考えてみると結構古い。
私5歳にすらなってないじゃん...。わあ。
2018/09/06の
現代能『陰陽師 安倍晴明~晴明隠された謎』を
観に行く予習として観たのが既に懐かしいです。
まあ舞台はともかく、映画の方は
中々に酷い出来だったのは覚えています笑。
何せ主演と主要の悪役の方以外の演技が...
ちょっとなんとも表現しがたい感じで...
しかも内容も如何ともしがたい...。
元々原作のほうも
平安版呪術使って解決しちゃう系
ファンタジー要素多めシャーロック・ホームズ
って感じなので、謎解きドラマにありがちな
少しマンネリ気味な流れではあったんですが。
(少なくとも5冊目ぐらいまでは。
それ以降は読んでません。ミステリ系苦手です。
そしてあくまで骨格の話です。
個々の場面の圧倒的知識量と想像力と構想力は
目を見張るものがありました。)
特に『陰陽師Ⅱ』のほうのスケールが
あのクオリティの映画で扱うには無理すぎです。
神話の映像化はなかなかに辛いとこがあります。
物語を楽しむと言うより、どちらかと言うと
"安倍晴明野村萬斎を存分に楽しむ映画"
でした。(当時のメモから抜粋)
とにかくハマり役で物凄かった。
元々和服着慣れてる&動作も染み付いてる上に
(慣れているのは余裕につながり、
"抜き"から出る色気とか粋とかにすら至ります)
狐感もすごい。滲み出る人外感。
原作者の夢枕獏先生もあの映画以来
物語を書く時、野村萬斎さんで晴明が再生される
とかなんとかインタビューで仰ってました。
ちなみにこの映画なぜか特典映像のほうが
本編より長いです。いったいどうして。
まあ当時としては珍しい手法の
ワイヤーアクションでグロッキーな晴明と
監督の女装(Ⅱの方で)に対する異様な拘りが
楽しめる逸品となってますね。
めっちゃ笑ったの覚えてます。ごめんなさい。
ただ野村萬斎さんの女装は
その拘りあってかまじで綺麗でしたね。
なんというか身のこなしというか。
あとアクションで、緋の袴の長い布地を利用して
太刀を受けていなしてたのは
姐さんかっけえっス!ってなりました。
普段の白い狩衣でも、袖でやってたような...
なんせ観たのが2年も前なので朧気ですね...。
それにしても、歌舞伎の女形しかり
日本伝統芸能系の方の、特に和服での女装は
舐めてるとえらい目に会います。
女子として敗北しか感じない。
逸れますが、坂東玉三郎さんとか
ほんとにやばい。
二重の意味で泣きたくなります。_(┐「ε:)_

そしてドラマ版。健闘した方だとは思います。
でも、やっぱり映画版の晴明には
届かないかなあ、と個人的には思います。
親しみやすい安倍晴明って感じですね。
近所にいる霊感とか強い人っていうか...。
ただ、佐々木蔵之介さんの喋り方が
標準語ではあるんですが、多分発声なのかな...
とにかくどこか京都とか都感が強くて
(関西出身でしたよね。確か)
そこについては映画版を観たときは
感じなかったことなのでいいなと思いました。
あ、あと恐らくおしろい等の化粧については
平安貴族に位置するので、権威と地位表現として
まあ頷けなくもないんですが
そうなると確か天皇系の源博雅
化粧してないのは変ですよね...。
源博雅の方が晴明より上の位)
素朴さが魅力の"武人"だからしてないのかな...。
でも安倍晴明自身も権力等には興味無い体なので
ますます疑問が出てきますね...。
正直に言うと化粧要らなかった気もします。
てかやるなら首までやって。色違うよ。女子か。
そう言えば市原隼人さんは
映画版にも出演されてますね。鬼役で。
だからちょっと不思議な感じもします。

あとは予算の関係ですかね...。
CGがちゃっちいというか...。
いや、映画版もCGは中々にちゃっちいんですが
何せ古い映画なので、映像の質感と相まって
またCGに"頼りすぎない"っていうのが功を奏し、
それほど違和感なく、妖渦巻く古都平安京
っていうのを表現出来てたのですが
今回ドラマ版だと
妙に所々リアルすぎたのが敗因というか
そんな感じがしました。
多分色んな物のテクスチャが映るぐらい
カメラが高性能になっちゃって
画面に質感的な統一感が
映画版より欠けてしまい
それが世界感全体の構成にも影響してしまった
のかなあ、とは思います。
CGのクオリティとかが諸々の予算関係で
そこまで出来ないのであれば
敢えて映像全体にエイジング加工というか
質感揃えるためになにかしら補正しても
良かったんじゃないかなと感じました。
竹中直人さんのビジュアルに関しては
ノーコメントでお願いします笑。

内容としても
滝夜叉姫のエピソードになってはいるけれど
剛力彩芽さん、超キレイ!和服美人!
もっと色んな作品でみたい女優さんです!)
筋を取り出すと映画版のままですね。
それと源博雅の笛とか呪(しゅ)に関して
映画版観ていることが前提かのように
進んでしまったので、初見の方は????って
なられたんじゃないかなと思います。
ある程度説明はいるような...文にしろ画にしろ。

結果、結論としては今一つですね...。
そもそものキャスティングが、
ぼくたちと駐在さんの700日戦争』を
どうしても思い出してしまうし...。
それに最後平将門に剣がめり込むシーンとか
剣を刺す人の動作(反動)がまったくないのが
めちゃくちゃ目につきました。
アクションも今ひとつ、筋は映画と一緒、
無駄に良くなったカメラのせいで出た弊害、
恐らく足りないであろう予算、
それに引きずられる演出、
そして越えられない映画版安倍晴明

これは多分挑んだ敵が悪かった...。

ドラマ版の晴明もまた一味違っていいんですが
一回映画を見てる身としては
ハリポタを違うキャストで映像化されるぐらいの
強烈な違和感があります。
これから『陰陽師』観ようと思ってるなら
絶対映画版の方がいいですね。
娯楽映画も娯楽映画ですが
舞とかアクションとか衣装とか建物のセットとか
かなり出来がいいし、
CGと、話自体の内容に関しては
ちょっと笑っちゃうとこもあるにはあるんですが
何より観てて楽にたのしい。
しんどくて面白い映画ではないですが
結構案外普通にたのしめます。
あと、BLとかブロマンスが好きな方なら
それこそ思いっきり楽しめると思います。
ちょっと間違えると恋愛映画ですあれ。
バディ物には付き物ですが、
あの映画...というよりむしろ原作のほうかな、
所々は完全に意図的です。流石に私でもわかる。
少女漫画かよってセリフが盛り沢山です。

それにしても今回実感したのは
ハマり役って恐ろしいってことですね。
なんかたしかどこかで
"たとえ下手な人でもハマり役なら
どんな名優の演技でもそれに敵わない"って
聞いたことがありますが、まさにそれです。
しかも下手じゃないし。むしろ上手すぎるし。
こうやって書いてたらまたちょっと
映画版を観たくなったようなそうでないような...
でも別に好きな映画ではないので...
なんとも難しいところです。
ややこしや〜ややこしや。