感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

One Man, Two Guvnors『一人の男と二人の主人』

2020/04/03-04/04
Youtube
f:id:monsa_sm:20200405093929j:plain



I DID IT!
やっと見終わりました頑張ったぞ自分(「・ω・)「
これはもうほんとに爆笑しかないです。
実は学校図書館WiFi使いながら
1時間半ぐらい観てたんですが
いやあ危なかった。声を殺すのが。
1回「くっ」って声が出てしまったので
軽く咳払いして誤魔化しましたね笑笑。
とにかく全てが最高です!
英語わからなくても一見の価値あり。

まず、第一に
ジェームズ・コーデンさん率いる役者陣が最高。
間のとり方とかベストタイミングです。
こういうコメディってどうしても最終的に
(そもそも元本がコンメディア・デッラルテの
代表も代表のカルロ・ゴルドーニのやつだし...)
俳優さんたちの芸を演出込みで
楽しみがちに結局はなるので
それに期待以上に答えられるこの布陣は凄い。

特にお気に入りのシーンは
ジェームズ・コーデンさん演じるフランソワが
自分vs自分で、confused(混乱)して
喧嘩するところです。
演技がアクロバティック超高速落語で
ほんとに自分vs自分で取っ組みあってるように
見えました。当たり前だけど、
あの巨体で結構動けるんですね笑。(失礼)
天晴れって、感じです。
とってもチャーミングで憎めない道化感。
ターニングポイントになった役だって
どこかで仰ってましたが
まさにその通りだと思います。素人目ですが。

あとAlfieねAlfie。観た方はわかりますよね笑。
f:id:monsa_sm:20200405095442j:plain
(National Theatre Live 公式Twitter@NTLive)
給仕の彼を忘れちゃいけない笑。
各々全員面白くてヤバかったけれど
あの人が一番ヤバイ笑笑笑笑笑笑笑笑笑笑。
あんだけ震えてて逆に落とさないのがすごい笑笑。
ホラーな見た目で動きがコメディすぎるから
抱腹絶倒不可避です。会場もドッカンドッカン。
ドア開けた瞬間に内側に立ってたところなんて
見てこっちも思わず"Jesus!"って
なっちゃいました。
開けてしまった宿の主人に同情します。
老人って言うのはもはやコメディの定型ですね。
古典原作なところがチラチラ見えます。素敵。

あとは本当にもう各々ツッコミどころが
多くてもうツッコミきれない程楽しいです。
(以下、 笑多めです)
アランはシェイクスピア勉強しよ?
ハムレット』とか『お気に召すまま』とかさ笑笑。
レイチェルの彼氏はド変態かな?
"I too enjoy pain.(痛みを楽しむ)"ってあんた上級者。
乳首抓られて喜ぶな笑笑。
あとプロポーズはレイチェルともども
パンツ履いてね笑。そこ橋の上だから。
ポーリーンはちょっと頭弱いし笑笑。
まあそこが可愛いけれど。
一卵性のと二卵生の双子の区別がつかない
チャーリーのそのことにたいする頑固さも
最後に綺麗に回収したし笑笑。
ナイス脚本!

あとフランソワが2人の主人に給仕する場面で
観客から選ばれてお手伝いをしていた女の人が
水(酒?)と消化器ぶっかけられるまで
ほんとに観客だと思ってました。
クリスティン・パターソンさん上手すぎです。
良かったわ仕込みで、ってホッとしました。
あの泡だらけじゃ帰れません笑。

あとそれに関係して、収録した日の観客の方が
とても最高でした。レスポンスがノリノリ。
もともと、役者にああいう劇場で
罵倒とか(劇の進行上で)されても
きちんと、フィクションの楽しみとして
受け入れられる空気があるって羨ましいです。
多分あれ日本でやったら苦情ものですよ。辛い。

それにしても観客さんのハイライトは、
"誰かサンドイッチ持ってないか"って
お腹空きすぎたフランソワが尋ねた時に
(そのあとの"Seriously"の喋りのテンションにも
笑いました。深刻感が凄い笑)
実際に持っていたお客さんですね。
ほんと笑った。フランソワもビックリです。
いやあれはフランソワというより
ほぼ一瞬まじでジェームズ・コーデンさんに
完全に戻ってましたね。
それ込みで面白すぎる。
まあ直ぐにそれを利用して

"I don't really know what to do now!"
(今ほんとに何すべきかわかんないよ!)

って切り返してたのは流石!
それにしてもサンドイッチ持ってるって...笑。

"Of all the nights!"
(よりによって今日?!)
※多分よりによってNTLiveの収録日!?ってこと?笑

って突っ込みたくなるのもわかります。
なんで持ってるんだよ!ってなっちゃいます。
しかももっているのがhummus(フムス)って笑笑。
もう笑いころげるしかない。
なんで普通にチーズとかベーコンとか
ハムとかじゃないんでしょうか笑。
頭抱えてたよフランソワ笑。

"You'll learn in the not too distant future
you have somewhat messed with the play! "
(そう遠くない未来に、君がこの劇を
引っ掻き回したことがわかると思うよ!)
※意訳していいなら、"劇が変わっちゃったよ!"

たしかに過ぎて笑笑笑笑笑笑笑。
ほんと仕込んだんじゃないかなって思うぐらい
タイミングとかもバッチリでした。
天の配剤ですね。
いい劇には笑いの神様が降りるのかも笑。

あと、全部英語字幕で、しかも
この間の『Cyprus Avenue』よりも1時間ぐらい
長くて、合計2時間半という
中々に長丁場だったんですが
英語独特の言葉遊びとかも楽しめたので
結果オーライでした。
レイチェルとレイチェルの彼氏の写真と日記を
フランソワがとりちがえて渡しちゃった時に
苦し紛れの言い訳する時のDの言葉遊びは
英語じゃなきゃ面白さ半減です。
それにしてもよく舌噛まないなあ。凄い。

あと言うまでもなく幕間に入る音楽が
最高にエキサイティングでした。
図書館で観てた時はしませんが
家で観た時はノリノリにのってました。
誰も見てないし。コンサート気分で楽しみます。
上手い具合に物語に当てはまるような
歌詞になっていたのも考えられてます。
あと途中にビートルズの話とかも出てくるから
そこともイメージが繋がってていいです。
あれ、ビートルズもたしか4人だよね...。
俳優さんたちがそこにちょいちょい出てきて
ちょっと音楽的一芸披露していくの面白いです。
アランは胸太鼓してたね。いいのかそれで笑。

ラスト、全てが大団円にまるく納まったあと
みんなでまとめの歌を歌うんですが
そこのサビというかリフレイン部分というか
まあ曲のタイトルでもあるんですが

"Tomorrow looks good from here"
(ここから明日は良さそうだ)

っていう歌詞がほんとに良かったです。
今のご時世(コロナウイルス)考えても
バッチリメッセージが当てはまります。
欲張って2人の主人に仕えたがために
その場しのぎの嘘とかはったりで頑張って
たまにちょっと殴られたりとか大変だったけど
なんだかんだで明日は良い日になりそうだ!
っていう幸せな感じが伝わってきます。
大団円の喜劇の本質って
ここにもあるかもしれないですね。
明日はきっといい日になる。
この作品を、配信最初に持ってきたのは
NTLiveの意図かもしれません。

まあ唯一突っかかることがあるとしたら
(敢えていえば、の話ですが)
元本が書かれた時代が時代だから、
あと設定として1960sに軸を合わせているので
ちょっと差別的なニュアンスがあるところ、
ぐらいですかね。
ただちゃんと、差別された側も同じぐらい
仕返ししているので痛快です。
全然気にならない。
そういうことを批評の対象にするような
そういう劇では無いと思います。
仕返ししている例のひとつとして、
女権拡張主義者と思しきドリーの主張は
女性だったらそういう主張なしでも
"そうだそうだ"の大合唱ですね笑。
トイレのところなんか、もっとやれやれ、的な。

"あと20年ぐらいすれば、女性がトップよ"

って笑笑。多分サッチャーのことかな。
あんまり英国史詳しくはないんですが
どちらにせよ笑うわ。最高です。

よく古典作品を、
ここまで現代に受け入れやすいように
要素盛り込みで改作したと思います。
これを観てしまうと
去年のムロツヨシさん主演でやられた
元本が同じ作品の『恋のヴェネツィア狂想曲』
(2019/07/07 新国立劇場 中劇場)
失礼ですが「噴飯」ものだったなあと思います。
あ、実際に「噴飯」されたんです。
多分前のお客さん、かかったんじゃあないかな。
よく覚えていませんが。

はあーそれにしても外国の喜劇は
日本に比べて、キャストスタッフ観客全員が
全力で振り切って楽しんでやってくれるので
最っ高に面白いです。
頭が空っぽになるおもしろさが素敵過ぎた。
しかもシネ・リーブル池袋とかに行かないで
Youtubeでタダで観られるという。
2500円が、タダ...空いた口が塞がらない。
あ、大人だと3000円なのでさらに凄い。
1週間と言わず1年ぐらい流して欲しいです。
無理ですかね...(´◉ᾥ◉`)