感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『海からのてがみ(Wycinanki. List z morza)』

2020/04/16
Youtube Teatr Polski Bydgoszczのチャンネル
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新国立劇場の公式Twitterにたまたまあがってて
"へー。ポーランドかあ。観たことないなあ。
あ、セリフ少なくて子ども向け?ならいけそう"
ぐらいの軽い気持ちで観たら号泣しました。
うつくしすぎて語彙力崩壊です。
30分と短めですが感動は無限大...。
これ、消える前にもう1回観ます。絶対。
てか消えないでお願い...。

まず最初っから凄いですね。
ざぶーん、ざぶーんって俳優さんが
折り紙の船持ちながらオノマトペ言って
くるくる回っているだけなのに
完全に水とが海が見えます。
それを見ている周りの俳優さんの視線も最高。
どこか懐かしむような暖かいような
それでいてちょっとだけ哀しいような
なんというか慈愛とでも言うのかな...。
もうそれによって作り出される雰囲気が
すっごくやさしい。
白い簡素な衣装も
パステルっぽい色とりどりのセットと照明も
ピアノのやさしい音も
薄い布で波や風を表現しているのも
どこまでもやさしい印象です。
出ている人もどちらかというと
人間としての役を演じているというよりは
妖精とか表現した方がしっくりくるぐらい
牧歌的で理想郷的な雰囲気です。

セットに関しては、ほとんど全てが
幼稚園とかのお遊戯会レベルでもつくれそうな
簡素な紙の船だったり、
紙の花、木でできた操り人形みたいな動物たち
壁に平面的に描かれた木々の風景、
ぐらいのものなんですが
徹底して簡素であるため統一感もあるし、
何よりもそういう素朴なつくりのなかで
のびのびと自由に心から楽しく、楽に演じると
ここまで色鮮やかで豊かなplay(遊び、演劇)
になるなんて...。
今まで何を観てたんだろうと後悔するレベル。
(それがあっての今ですけれど笑)
息苦しくない演劇、縛られていない演劇って
こんなにも素敵なんだなあと実感しました。
演劇の原始の喜びの形を垣間見た気がします。

だから隅から隅まで舞台空間そのものに
自由がのびのびと広がっていて、
さっきも書いたんですけれど
演じている人達もどこか
人間離れした妖精のように、
あるいは子供のように、
ただひたすら純粋に目の前のことに
リアクションしているので、
歌もピアノ音楽もすごくマッチしています。
歌に関してはそのものの曲調
とかいう意味ではなくて、
(もちろん曲調も合ってます最高!)
歌うことが、心の高鳴りのまま歌う行為が
すごく自然でした。
ミュージカルの本質ですね。
今まで観たどの音楽劇よりもミュージカルよりも
感動しました。これはマジ。

そしてセットが簡素なために
全てをくまなく利用する想像力の豊かさに脱帽。
紙のガサガサした質感すら
音響に使ってしまうなんて...!
後半で船を破くときの
空間すら切り裂くような激しい音や、
動物たちが一旦死んで
生きている木の操り人形的なものから
死んだ紙細工になってしまったときに
ガサって地面に墜落する重い音が、
それこそ、胸が張り裂けそうとはこのことか、
と思うレベルで辛かったです。

いやほんと見つけられてラッキー過ぎました。
今日はいい気持ちで寝れそうです。
明日のNTLiveも楽しいといいなあ。