感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『ヘンリー四世 Part1、2』

2020/08/01-08/02
シネ・リーブル池袋
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昨日の夜眠くて書けなかったので
2つまとめて書きます。

(ケッシテサボッタワケデハナイ...)

舞台でやっても4-6時間ぐらいになるけど、
映画にしてもやっぱ4時間超えるって、
まじで当時どういう風に上演してたのか、
タイムマシーンできたら見に行きたい。

正直『ヘンリー四世』『ヘンリー五世』は
話自体はそんな好きじゃないので、
( ゚д゚)、ケッって感じで見に行ったんですけど、

(でもサイモン・ラッセル・ビールさんの
フォルスタッフはとっても楽しみでした)

なかなかどうして面白かったです。(上から)
ただまあやっぱりなんかド級シリアス...。

フォルスタッフがいるはずなのに...?!!
ってなったので上映中ぬんぬん考えてたら、
観客が映画の中にはいないからかなあ、と。
そんな結論に達しました。

役者さんが"見せつける余裕"がないのかな、と。

"今からかっこいいこといいますよー"
"罵倒しちゃうからね!"
"今から超絶言葉遊び始めます!"

そういう余裕が、リアリズム至上主義ぎみの
映画だと、当たり前だけど全くないので、
罵倒とか葛藤とかが、言い争いとかが
舞台よりも本気になるので超絶シリアス。

Part1だと、ダグラスとホットスパー
めっちゃくだらない揚げ足取りとかが、
ありえないぐらいシリアスになってたのも、
そんなこんなが要因の一つなのか...?
ってなってました笑。
ちなみに舞台でやったことを想像して
1人笑いを耐えてたヤツは私です。
声出してなかったので許して...ヾ(:3ヾ∠)_

あと舞台だとどうしても
ちょっとチャンバラっぽくなる戦争シーンが
映画になるとすっげえ迫真...てかグロめ。
POVショットとか入ってて
ちょっと酔いそうでした。
そういえば日本の大河ドラマでも、
小型カメラ使ったこういう主観ショットあって
初めて観た時"大河すげえな"ってなったなあ...。

前置きはこの辺で以下Part1とPart2で
なんとなーく分けて書こうと思います。

【Part1】

劇伴からして雰囲気が
『リチャード二世』と全然違って
ちょっと面食らいました。
『リチャード二世』わりと賛美歌賛美歌(表現)
してたんですけど、庶民の踊り風の
中世っぽいリズミカルな音楽です。
映画館じゃなきゃノッてた。(はた迷惑)

はーい、そして来ましたハル王子ー!
トム・ヒドルストン...トムヒさん?あってる?
すっごい正統派の魅力溢れる王子って感じ。
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映画の方が映えるんじゃね?と
失礼なこと思いました。すんません。
でも民衆の中でぱっと目をひかれて、
"わー王子キタ━(゚∀゚)━"
ってアホ丸出しの感想持ちました笑。
衣装もっぽかったしね。目立つよね。

色んな独白のところとかも、心の声になってて、
今回は大分映画映画してました!
妙にテンポが早かったり、
変に間延びした感じがしないので、
うわあ、上手いなあと思いました。

あとあと、ヘンリー四世が
ハル王子のことを、ノーサンバランドの息子の
ホットスパーと比べて

"あっちのハリーがわしの息子ならな...ぴえん"

ってする時に(ごめんシェイクスピア
ハル王子とフォルスタッフの
ぐーたらショットが入り込んだりして、
こういうのも映画ならではかなあと思いました。
離れた場所での同時進行のアクションを
綺麗に滑らかに見せられるのって
ちょっと映画の特権な気もします。

あ、そういえばホットスパー
見た目は大分強そうなんですが、
ちょっと声がいまいち弱くて...うん、
ってなってました。(酷い)
いやあ、声って大事だよね。
ラインハルトも言ってたし。偉い演出家だし。
ヘンリー四世のジェレミー・アイアンズさん、
どストライクの声...最高かよ...!
『ある天文学者の恋文』でも思ったけど...!

でもロリー・キニア(ボリングブルック)が
どう歳を取ればジェレミー・アイアンズさんに
化けるんだ.....???•́ω•̀)?(失礼すぎる)

そしてなんと言ってもフォールスターーッフ!!
サイモンさーん!お茶目ー!

(でも出来れば舞台でみたーい
もっと笑えるフォルスタッフでみたーい)

全体的にマスコット感ある方なので(酷い)
とってもチャーミングなフォルスタッフでした。
でもどこかこう...何となく達観してるような...
...目かな...独特の目ですもんね...。
いい意味で空っぽの時があるというか...。
ちょっと虚しさがあるフォルスタッフです。

"What is honor? A word.
What is in that word “honor”?
...(略)...
Honor is a mere scutcheon.
And so ends my catechism.
"
(名誉ってなんだ?言葉だ。
名誉って言葉は一体なんなんだ?...
名誉なんてただの墓標だ。
これが俺の持論だ)

みんながみんな名誉をかけて戦う中で、
フォルスタッフの心の声がいい...好き。
戦いに加わらず、隠れながら、なので
余計彼から見た"名誉"の空っぽさが
ひっしひっしと伝わります。
しかもなんだかんだでちょっとコミカル。

ハル王子はどっちかと言うと、
王になった時に威厳が出るよう、
敢えて放蕩してるだけなので、
なんだかんだで"名誉"とか何やらを
重んじちゃうタイプなので、
フォルスタッフは決定的に持ってる原理が
違っちゃうんだなあー、と。

舞台でやるとら結構、打てば響くのいいコンビ、
に見えるんですけど、
映画になるとこのズレみたいなのが、
シリアスなのと、割と現実に近い時間の間で
結構伝わってきます。
上手く噛み合わない違和感というか、
(-_- )ってなっちゃうもどかしい感じ。
これはPart2のラストに効いてくるよね...多分...。

Part2に効いてくる、で思い出したというか、
英語で聞いてみて初めて気づいたんですけど、
ハル王子が

"もうおやすみってよりおはようの時間だろ"

って言うのってなかなか意味深じゃない?
最初の独白のところで、
"太陽たる王として輝き出すー"とかなんとか、
言ってるので、そういうハル王子が
「おはよう」するのは
「王になる時がそろそろだぜ」ってことっすか。

うえええ、これ冒頭からはいってんの...
やべえとしか言いようがない。かっけえ
そこに痺れる憧れるぅとか言い出したい気分。

"Good night, my noble lord."
"I think it is good morrow, is it not?"
"Indeed, my lord, I think it be two o'clock."

なんか宮廷の人(おやすみなさい、殿下)
ハル王子(おやすみってよりおはようじゃない?)
宮廷の人(確かに、殿下、もう深夜2時ですね)

"...(略)...and so, good morrow, Peto."
"Good morrow, good my lord."

ハル王子(そんじゃ、おはようだな)
仲間(おはようっすね、殿下)

ここかな。2個目の引用の訳は、
確か字幕だと「またな」とかになってた
と思うので、考えすぎかもですけど、
なんかかっこいい。誰か分かって。PLEASE

こんなとこかなあ...Part1は。

...あ、ヘンリー四世がリチャード二世を
ぶっ殺したことを後悔してなのか知りませんが、
巡礼の旅に出たことと関係してるのか、
『リチャード二世』に比べて
大分映画全体の色味の華やかさが
無くなってましたね。
なんか血の赤と泥の黒しかない感じ。
これもPart2に効いてくるといえばそうか。

じゃ次Part2いっちょいきます!

【Part2】

フォルスタッフが、ちょっと
小綺麗になってるはまあ置いておくとして...。

言葉の掛け合い超面白いはずなのに...
どうしてこんなに暗いの...((;゚Д゚)

あ、あと凄くどうでもいいんですが
舞台のほうの『怪物はささやく』の
主役の方が多分王子役で出てました。びっくり!

(最近西洋系の顔の見分けが
前よりちゃんとできるようになった気もする)

Part2だとハル王子とフォルスタッフが冒頭で
冗談で通んないような、ピリッとした
雰囲気になるので、もうズレが決定的すぎる。
フォルスタッフのしょんぼりが可哀想やら
ちょっとかわいいやらで忙しいです笑。

あとはヘンリー四世の見せ場が凄いですね。
ぶっ倒れる時に"My brain ..."って言ってから
王冠カランって落ちるのやばやばのやば(語彙)
"ヘンリー五世が来るで...ソワ( •ω•` 三 ´•ω•)ソワ"
みたいになります。
ハル王子がおとーさん死んじゃったと勘違いして
王冠持っていった時の剣幕たるや。
声が響ききってないのが
老いと死期を感じて逆にいいというミラクル。
でも松坂桃李さんのやつだと、
ここなんか結構笑った気がします。解せぬ。

でまあ、割と色々すっ飛ばして
戴冠式なんですけど(決して寝てたワケデハナイヨ...)
赤と金で、同じ映画?ってなるぐらい
きらびやかな感じでした。
『リチャード二世』の色味のバックに
茶色混ぜたみたいなシックな感じではあったけど。

でハル王子がヘンリー五世として
戴冠したって言うのを聞いて、
フォルスタッフが、"夜"のうちに、
泊まることになってたシャロー判事の家から
かけ出すショットがあるんですよね。

んで、戴冠式に着いた時は例によって
きらきらで多分"朝or昼間"なんですけど、

こうなってくると

"Good night(おやすみ)"
"Good morrow(おはよう)"

結構効いてくると思っちゃうのは私だけかなあ。
ヘンリー五世は暗くて放蕩三昧の虚偽の夜から
王としての光が全てを照らす朝へ、
フォルスタッフはぼんやり明るく楽しい夜から、
全てのことが明るみにでちゃう(悪事とか)
眩しすぎて目も開けられない朝に、
って言う対比に見えなくもない...。
どっちかと言うと楽しい夜の住民だから、
ヘンリー五世の光で、なんか、
ジュッって吸血鬼が消されるみたいに、
追放されちゃうのもイメージ的には
あってなくもないような...。

(考えすぎかな)

どっちもgood morrowだけど、
意味合いがかなり違って見えます。

最後、イーストチープの女たちが
捕まえられちゃうときに

"こんな時、ジョンがいれば..."
※フォルスタッフの事です。
サー・ジョン・フォルスタッフだったと、思っ、
あれ、ジャックだったっけ?まあいいや。

っていってるショットから
フォルスタッフの顔のアップの長回しショット。
めっちゃ虚無ってる顔です。
しょんぼりってレベルじゃない。

最初に『ヘンリー四世』観た時
(蜷川さん演出のやつを映像で)

"えっ、フォルスタッフ追放されちゃうの?!"

って結構びびったんですが、
今回の見るとまあ分からなくもないか...。
ってなったので収穫大だった気もします。

てな感じで感想はいっかな。疲れた笑!

今日からはとりあえずNTLiveアンコール週間!
また来週『ヘンリー五世』から
『嘆きの王冠』は観ようと思います。
順番に見なきゃ意味ないよね...ほんと。
ちなみに今日は『橋からの眺め』と
野田秀樹さんの『赤鬼』ハシゴです。
ちょい寝不足だけど、元気いっぱいなので
感染対策万全でがんばりますー。