感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

I, Daniel Blake『わたしは、ダニエル・ブレイク』

2020/09/01
家のTV
f:id:monsa_sm:20200901163932j:plain



ちょっとぶりにいい映画に当たった気がします。
(基本映画は地上波で流れるやつを、
もったいない根性で観るくらいです。)

高校で何故か世界史Bと日本史Bをとってて、
社会保障とかナニソレオイシイノ...?
状態だったんですけど、あかんわコレ。

日本は知らんけど(駄目です)
英国の社会保障とか福祉ってこんななの...?
えっ、じゃあ日本も多分こんなもんだよね...?
まじか...役所まじか...。緊縮財政まじか...。

って感じになりました。
犠牲になるのはいっつも貧しい労働者階級ってか...。

お役所仕事に無駄しかないのは
分かってたつもりだったんですが、
もはや無駄通り越して拷問だろこれ。
(役所に来る人にとっても、
役所で働く人にとっても、って意味です。
そもそも制度的なあれが問題な気もする)

ケン・ローチ監督激怒
画面からなんかこっちまでくるよ...。
そりゃ怒りたくもなるわなあ...。

多分色んな映画サイトで書いてるんだろうけど、
フードバンクでシングルマザーのケイティが、
突然缶詰を開けて無言で啜り出すのが、
結構、というか、かなりショッキングでした。

変に音楽とか編集とかで感動を煽ったりしてないのが、
真摯に向き合ってる感じがして好きだったし、
そもそもそういう態度で向き合うべき問題だよね...。

ダニエルが最後あっけなく死んでしまって、
なんか肩透かし、みたいな感想チラホラ見たけど、

"それこそがどうしようも無いリアルだろ..."

って思いました。個人的にですが。

「涙と感動の最高傑作」って、
日本版の宣伝文句もどうかと思うんですけどね。

ダニエルが不服申し立ての時に読もうと思って、
用意してたけど、結局心臓発作で死んでしまって
自分自身では読めなかった手紙を
最後にケイティが葬式で代読するんですが、

"I am not a client, a customer,
nor a service user.
I am not a shirker, a scrounger, a beggar,
nor a thief.
I am not a National Insurance Number,
nor a blip on a screen.
I paid my dues, never a penny short,
and proud to do so.
I don't tug the forelock,
but look my neighbour in the eye
and help him if I can.
I don't accept or seek charity.
My name is Daniel Blake.
I am a man, not a dog.
As such, I demand my rights.
I demand you treat me with respect.
I, Daniel Blake, am a citizen,
nothing more and nothing less.
Thank you."

(私は依頼人でも、顧客でもユーザーでもない。
怠け者でも、たかり屋でも物乞いでも泥棒でもない。
国民保険番号でもなく、エラー音でもない。
きちんと税金を払ってきた。それを誇りに思ってる。
地位の高いものには媚びないが、隣人には手を貸す。
施しは要らない。
私は、ダニエル・ブレイク。
人間だ、犬ではない。
当たり前の権利を要求する。
敬意ある態度というものを。
私はダニエル・ブレイク、1人の市民だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
ありがとう。)

こんな素晴らしいセリフのどこに、

「人生は変えられる。隣の誰かを助けるだけで。」

なんていうのほほんとした(酷い)広告の
耳障りの良い宣伝文句に歪む要素があるんですかね...•́ω•̀)?
まあ宣伝なのでしょうがないけれど...。
それで多くの人に観てもらえるわけだし...。

感動超大作ももちろん大好きですけど、
「感動」の一言で、安易な同情と共感で
くるんじゃいけないものもある、
っていうのを改めて実感しました。

...先生!これが映画の倫理問題だよね!?
春学期にやってイマイチ理解しきれなかった、
アウシュヴィッツ関連映画から始まった講義の話、
なんとなく納得できたような気がします。

それにしても歯列矯正が思ったより痛い。
歯医者の先生がノリノリで
「全部やっちゃうか〜!」
ってワイヤーいきなり入れやがった。
早いのはありがたいけど、心の準備待って...。
まじで待って...ほんとに...。
...明日になればひくかしら...痛み...。