感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

João, O Maestro『マイ・バッハ 不屈のピアニスト』

2020/09/16
シネ・リーブル池袋
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NTLiveアンコール上映コンプリートしてる時に、
もう名前を覚えるぐらいに
この映画の予告を観てたので観てきました。
もちろん水曜日だよね。安いもんね。

ご存命の方の伝記的映画
ここまでぶっちゃけていいの?いいんだね?
ってぐらいぶっちゃけてたよね!

正直女性関係がなかなかにクレイジー
政府に招かれて行った国で、
手配されてたホテルじゃなくて娼館には泊まるわ
(なんなら初体験もちゃっかり済ませる)
不倫はするわ、美人局被害に合うわで散々すぎる。

懲りないところがまたすごいと言うか...。
...まあ天才だもんね。
多少のことではへこたれないか。うん。(多分違う)

クラシックの天才って聞くとなんか、潔癖?
みたいなイメージがあったんですけど、
ちょっとお調子者な感じがあって
天才としては、割と親しみやすく
描かれている主人公だなあ、と思いました。

演奏会後に手を氷で冷やしてたシーンとかで
お仕事関係の人が来て握手を求めた時に、
なぜかわざわざ氷から手を抜いて、
びしょ濡れの方で握手をするところとか結構好き。
なんで反対の乾いてる手で握手しないの笑笑。

あと冒頭の方で、ピアノの先生が
優しそうな女の人から怖そうな男の人に変わる時、
外でドゴーンってなってたりして、
(なんなら男の先生、薄暗い部屋で笑ってるし)
演出もなかなかコミカルタッチ。
...まあ笑ってたの私だけですが。(すみません)

ただなんか、主人公中心すぎて
周りの人間関係がものすごく掴みづらかったのと、
ウン十年の人生を全て2時間に凝縮しまくってて、
早めの展開のテンポに慣れる前に終わっちゃって、
イマイチ感情移入がしきれない感じ
はちょっとありました。
…不倫してた時にかかってた、
テンポのいいボサノバ風な曲とかがある時は、
割とすんなりついていけたんですけど...。
その他はほとんどクラシックだからなあ(当然)

芸術への「破滅的な追求(devilish chase?)」が
一応テーマみたいに何回も言及されてて、
なんなら最初に、ワイルドの
「芸術は痛みによって完成される」
てな感じの格言まで入ってるから
ダークな感じに突き抜けているか、と言えば、
そもそも主人公、根は明るい上に、良い人だから
そうでもない感じだし...。

あ、でも鉄?のギプスをつけて、
白と黒の鍵盤の上にドロドロしたを流しながら、
一心不乱に指の残像が動き回るシーンは
めっちゃカッコよくて好きでした。狂気だね。

映画化するにあたってどこまで改変したのかは、
ちょっと詳しくなくてわかんないんですけど、
割かし淡々とライトに進んでいく感じが
人生って意味ではまあリアルかな、って思いました。
でも、もうちょいどっかの期間に絞って、
深く掘り下げて極端に描いて
号泣不可避な感動作品にして...
欲しかったような気が...しなくもない...。

まあ個人的な好みなんですけれど...。

でもとにかく映画館の音響設備で
本人の録音された音楽を聞けたのは儲けもんです。
(全部の曲が本人の音源らしい)
ヒナステラのめっちゃムズいかっこいいやつとか、
あと、特に左手だけで演奏するやつとか、
どうしたらピアノからそんな音でるの?
ってぐらい音が厚いし、表情がすごい。
(あとその音に合わせてちゃんと指動いてる
俳優さんたちが普通にすごい)

クラシックなんて全然詳しくないんで、
曲名とかサッパリなんですけど、
吹奏楽部に入ってたからって詳しくなる...
訳では無い、よね。辛。)
なんかクラシックのコンサートとか、
行ってみたくなるような感じでした。感動。

そして相変わらず映画だと感想がもっと薄くなる。
…お勉強頑張ります…いつか厚くなることを祈って…。