感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『森 フォレ』感想の後半 ※基本的にポジティブな感想です

2021/07/14と07/18

世田谷パブリックシアター

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ネガティブな感想ばっかりの前半☟

 

monsa-sm.hatenablog.com

 

 

そしてようやく書けるよポジティブな感想ーーー!!!

戯曲持っているんで、順番通りにつらつら書いてまとめておきたいと思います。

たぶん箇条書きっぽくなるけどいいよね…。

 

 

 

 

1.エメの脳

冒頭~最初のエメの発作まで

「外は極寒。中ではパーティ。」とかわけわかんないト書きから始まっているので、これどうするんだ??とか思ってたら、舞台後方がぶわっと開いて、真っ暗な中に雪がちらちら降ってきたので、「極寒だ…!!」となりました(アホ)

 

中でのパーティ部分は、音声だけで処理していたのも、綺麗だなって思いました。

舞台上が外で、中は舞台袖で見えないことにしたんだなって。たぶん…??

 

でも途中から外に出てみんなパーティしだした、みたいな感じになっていて、クリュタイムネストラ役の麻実れいさんが寒そうにしてたり「寒いんだよ!(ちょっと小声)」みたいに( ゚д゚)、ケッってなってたのが面白かったです。かわいい。

 

それにしてもその後、ガチでクリュタイムネストラのセリフ言いはじめた時の神々しさったらないよな…。

ちょっと気取った感じで、「さあ今から言うぜ」みたいな感じで言い始めたのに、いつの間にかあんなゴツゴツしてる台詞に観客引き込まれてるんだもん…。すごい…。

あと衣裳がちょっと赤と紫みたいな不思議な色だったなあ…。この舞台の衣裳、至るところに赤が使われていた気もします。エメとかリュディヴィーヌだけじゃなくて、ルーの口紅とか、確かレオニーの血とエレーヌにもなんかあった気がする…。

 

ただ、戯曲だと全部クリュタイムネストラ役のセリフなんだけど、後半の数行、「娘を取り上げるなら~」当たりからエメが引き継いで言っていたのがびっくりしました。

内容的に「娘を母から引き離したいならまず母親を殺しやがれ、夫よ!」ってこと喋っているので、「え、エメこわ…モンペじゃん…」と謎の感想を抱いたという…。

 

ここびっくりして面白かったけど、なんでエメが言っているのかわかんなかったです。誰か教えて…。

 

あと、てんかんの発作の表現も謎でした。てんかんの発作ってかなり種類あるから、私が知らないだけなんだろうけど、最近舞台で「実際にそうじゃない俳優さんがあたかもそうであるように上手に演じる」のに対する違和感が個人的にすごいので(病気とか障がいについては特に)そのせいかな…。

 

とりあえず、早くも預言とかクリュタイムネストラとか、とにかくギリシア悲劇とかギリシア神話感が満載の冒頭だった気がする…。

 

ルーとダグラス登場から「レオニーの血」まで

やべえ成河さんが普通の人だ…

観たことあるのが、フマーユーン、義経、あと映像で天魔王、私(レイ)、ぐらいしかないので上手いけどヤバい人のイメージしかなかった(偏見)。あと噂では聞いてるヘロデ王。ねじまきも観たな…結構観てんな…。

あと瀧本美織さんが不良になってる…

でも似合ってるし変わらず綺麗でかわいい。

 

とみんな思ったはず。だよね??

もう1回トレーラー貼っておくから見てね…あと公式の舞台写真も…。

youtu.be

 

『森 フォレ』 | 主催 | 世田谷パブリックシアター

 

ふざけた感想はおいておくとして、この部分に関しては、レントゲン写真を通した過去と現在のやり取りがようやく始まってくるので、ムワワドキターーーーーー!!!と心の中でルンルンしてました。

『岸 リトラル』で好きになったのもこういうとこだぞ。

異なる時空間が、舞台の同一平面上に並置できるのってマジ演劇の強みだよね。最高…。

 

しかもレントゲン写真の部分は、現在のダグラスのレントゲン写真に関する説明と、1989年(90年?)のフリードマン医師の説明が交互に繋がる部分とかもあってヤバいです。興奮します。

それにバチスト岡本健一っていうどちらの時空間にもいた登場人物を同じ俳優さんが演じて2つの時空間を自在に行き来するなんて映画とかじゃほぼ無理じゃん??

そのせいかバチストを舞台中央に配置して、上手にエメとフリードマン(1989-90年)、下手にルーとダグラス(今、2010年)、って感じになってた。

しかも1989年(90年?)のバチストがフリードマン医師にした質問に、なぜか今のダグラスの方が先に答えるみたいな最高な部分とかもあって、戯曲読んだときからニヤニヤしてたけど、劇場でもニヤニヤしてました。ありがとうマスク。

 

でもてっきり時空間をまたぐモノとしてのレントゲン写真、舞台後方にプロジェクターとかで投影するのかと思ったら、それぞれが1枚ずつ持っている感じでした。1階席からだと見えないなあアレ。残念。

 

あとフリードマン医師が最初絶妙に胡散臭いのがツボでした。登場シーンの最後らへんには、あ、たぶんすごい良い人なんだろうな、感はあったんだけど。

なんだろう声の質なのかな。

それとめっちゃ細かいことだけど、そのフリードマン医師のセリフで「お酒は摂取しますか」ってのがあって、戯曲でもそうなっているんですけど、なんとなく「摂取するのはアルコール」「飲むのはお酒」なイメージがあるので、ちょっと耳に引っかかりました。

 

それにしても、ルーがダグラスの職業を「パンタロジスト」って言い間違えて、「パレオントロジスト、古生物学者って訂正するくだりが、何故かこの短い場面で2回も挿入されていて、2回目では笑いを誘いたいんだろうな、とか戯曲読んだ時は爆笑してたんですが、実際に劇場で観ると、話についていくのに精いっぱいで無理。意外と笑えない。

全部が終わった劇の最後に、逆にダグラスが自分の職業をわざと冗談で間違えて、それをルーが正しく訂正するっていう仲良しシーンへの布石なんだろうけど(2回目観に行った時にここで笑いが起きて初めて気が付いた)それにしてもこの2回の、セリフまでほぼ一緒の繰り返しはなんだったんだろう…。

あまりに同じに演じているからループ物みたいにも見えなくもなかったぞ…??

 

あ、でもこの場面でルーがダグラスの態度にイラついて

 

「おいこらフランス人テメ耳ついてんのかオイィ!!」

戯曲だとたぶん「あのさ、このフランス人、ファック・ユー!」かな…随分滑らかな日本語になったな…。

 

って息継ぎなしで捲し立てるのは素敵でした。ルー、かっけえ。

そして若干あわあわしてるダグラス、良き(どういう感想)

胸倉掴んだりとか結構体当たりな感じでした。後半にあるアクションもだけど。

 

モントリオールの事件の取り扱い方へのもやもやは感想の前半に書いたからすっ飛ばすとして、なんやかんやあってルーがいよいよ自分のルーツ探りをしていくぞ、的に「レオニーの血」へとつながっていく部分が最高に素敵でした。

リュシアン(亀田佳明)っていう第一次世界大戦の脱走兵の話になっていくんですが、そのリュシアンがまずわっと出てきて、舞台奥、上手方向に向かって1発、舞台前方、下手方向に向かって1発銃弾ぶっぱなした後、舞台中央付近にいるルーに向かってもう1発銃弾を撃ちます。

もちろん時空間が違うのでルーが物理的な傷を受けるはずもないんだけど、衝撃は受けたような身体の反動があって、ルーがちょっとびっくりした顔してて。

 

「うわーこっからルーの過去への旅がスタートするんだな」って感じがして、ここの演出、すごい好きでした。

 

それにリュシアンは「弟を殺した」っていう前提で「レオニーの血」の部分が展開していくので、彼による殺人に近い場面を前もって見せられるとそのあとセリフで言われた時にイメージしやすかったというか…。

 

2.レオニーの血

レオニー関連

最初に三人姉妹が出てきます。レオニー岡本玲とジャンヌとマリ。

物語に直接関係してくるのはレオニーだけなんですけど、初見で読んだ時はこの三人を区別しながら読むのに相当骨が折れて…。

 

いざ舞台で観てみたら、全体的にマクベス』の三人の魔女みたいな風貌なんだけど、レオニーだけがはっきり顔出ししていて、あとの2人は、腕がなかったり杖を突いていたりっていう特徴はあるけど、顔がよく見えなくて、「とりあえずレオニーだけ認識しとけばOK」な雰囲気があって、すごい観やすかったです。

あとレオニーのマントみたなのの下に着ている青緑の衣裳がめちゃかわいい。好み。

エレーヌを演じる時によく見えたけど。あとすごい似合っている。スタイル良すぎ。

 

それと、この森の場面でたしか、トレーラーにも使われている最ッッッッ高にかっこいい音楽が使われているんですけど、その音楽がリュシアンがうなされる部分で、リュシアンのうめき声と溶け合うみたいなのがなんか上手く言えないけど好きでした。

森の外から来たリュシアンがうなされるような(もちろん戦争のこととか弟のこととかでうなされているんだろうけど)「すごい綺麗なんだけ外側から見た時に不快な感じ」が「この森」にあるみたいな印象を持って(実際後半で分かることだけどこの劇で1番やべえアルベールが作ったユートピアの残骸が森だし)素敵かよ…!!となりました。

あと何回でも言うけどマジで音楽が最高。かっこいい。

 

あとはちょっとリュシアンとレオニーのセックスシーンがやたら体当たりだなあ、ぐらいかな…。性交しているというよりは格闘でもしてんのか、レベルで激しかったです。

お互いが同程度に生きるのに必死なんだろうな、って感じはあって、そこまで見ちゃいけない感がなかったのは個人的に好きでした。

後半のアルベール岡本健一とエレーヌ岡本玲のやつがどう頑張っても気持ち悪すぎるからこれで中和しろってことか?ごめん無理(笑)。

 

それにしても、レオニーの血をリュシアンの顔に塗っておけば、その血の匂いで時間稼ぎが出来るってどこの歌舞伎展開だよ…となりました。

すみません春学期通して『摂州合邦辻』とかの血がパワー持ってる系の浄瑠璃・歌舞伎に関しての発表があってですね…謎感想だね…。

あと亀田佳明さんを観たのが『タージマハルの衛兵』以来だから、この人いっつも血まみれになってんな…と変なイメージがついたという…。

 

ダグラス、その他

あんまりにもルーの態度が酷いので、ここらでダグラスがキレます(笑)。

 

両手を髪の毛に突っ込んでわしゃわしゃ( ゚皿゚)キ─︎─︎ッ!!みたいな。

そして髪の毛が見事にぼさぼさになるという…

大の大人(ダグラスはアラフォーの設定)が両手はないだろwwwせめて片手だろwwwwと謎のツッコミが手元のメモに残ってます。

 

「それと言っておきますが、別段楽しくもないですよ!(!!!!!???)

 

戯曲にはないはずのカッコ内に含まれた強調マークを感じさせる音量音程のあげ方に「あッ成河さんだ…」となった観客は私だけじゃないと信じてます。(強く主張)

 

あと幕間で「えッ、骨ってどういうこと…?」とやや困惑した方の声が聞こえてきたんですが、あんまりそこは気にならなかったという…。

バニシングツインとかあるしな普通に…。このニュースとかまんまエメだしな…。

www.excite.co.jp

 

あと正直今のアニメとか漫画の方がトンデモ設定が多いので、もうこのぐらいのファンタジーな設定は、あるかもね~、程度でスルーできちゃう感じがしました。

上の世代の感覚は知らんけど。

そして劇場の感染対策的におしゃべりすべきではないんだろうけど、こういう込み入った雰囲気の謎解き系の劇観て、幕間に喋んなっていうのも結構酷だよな…とも思いました。

 

私はいっっっっつも1人で観に行っているので関係ないけどね!!?

観劇友達が欲しい…ほんとは大学の講義で作るはずだったのに…コロナめ…

 

それとちょっと記憶があいまいなんですけど、たぶんここらへんで、ルーが傘を持って出てくるシーンがあって、その時に傘に水滴がついていて、閉じると水滴が飛び散るんです。

なんか、舞台にガチで雨降らせちゃう演出か、傘だけで水は一切出さない演出しか観たことなかったので、こんなハイブリッドな雨の演出があるんだーと思いました。

それだけなんだけど。うん。

 

3.リュスの顎

言うまでもないですが麻実れいさんが最高

舞台奥でタバコ吸ってるだけで誰よりも存在感あるとか

強すぎかな…。美しすぎかな…。

 

あと声張ってないのにどうしてこんなにクリアに聞こえるの…?謎…。

 

あと2回目観たときは大体同じレベルになっていて気にならなかったんだけど、1回目観た時はセリフの落とし方のレベルが各々違っていて(その違いが面白いタイプの劇ではない気が個人的にしたので気になった)、麻美さん演じるリュスが1番深くて、凄すぎやん…と謎に関西弁になるほど感動しました。

にしても1回目と2回目、そんなに日数ないのに一体何がどうしたんだろう…。

単に私の体調のせいかな…。たぶんそれかな…。すみません…。

 

あとリュス麻実れいに対してルーが「クソバババア」と噛みついたりするのが相当に面白かったという…。リュスはリュスでめちゃくちゃにやさぐれてるし…。やさぐれてても綺麗だけど…。混乱…。

 

とにかく祖母(リュス)と孫(ルー)の再会のムードが険悪すぎて、男性陣(ダグラス、リュスの夫のアシル)が居心地悪そうなのが最高にツボりました。

 

そもそも悪口の応酬が、記憶違いじゃなければアシル(大鷹明良)を真ん中にして、ベンチにぎゅうぎゅうに座ってやってたからwwwなんでわざわざアシルを挟むんだwwww

ダグラスは挟まれているわけではないけど、ベンチの背もたれ越しにアシルの真後ろに立っているから、正面からみるとやっぱり険悪ムードの2人に挟まれているようにも見える…。どんまい…(笑)。

 

あととにかくリュスの存在感と迫力が強すぎなので、ダグラスが根掘り葉掘りリュスに聞こうとしたら「なんで初対面のあんたなんかに教えなきゃいけないわけ?」ってごく当然の返しをされちゃって、その後のダグラスの返しが戯曲だと

 

「ルーのため、エメのため、あなたのためです。」

 

て淡々としている感じなんですけど、上演だと全部語尾上げしてて

 

「ルー…のため?エメのため??あなたのためです?!(だんだん加速する)

 

みたいになってたので、なんかもう頑張れ負けんなダグラス…、って生暖かい気持ちになりました。あのリュスの迫力はすごいもんね…私だったら逃げるわ…。

 

そして耐えかねた半分、リュスとルーを2人っきりにしてみようの画策半分で、男性陣がすたこら逃げ出すというオチつき。

 

ダグラスがアシルの足を「(察しろ…!)」ってバンバン叩きながら、「あッそういえば私行かなきゃいけないとこあったんだああ忘れてた」みたいなセリフを喋るんですが、もう無理しかないけどいいのかダグラスそれで(笑)。

アシルも察して「そこ結構遠いですよねえ送っていきますよ!?(汗)」みたいな。

 

そしてやや引き気味にその茶番をジトッと見つめるリュスとルー。最高かよ。

 

てか改めて書くとこの場面結構コミカルなつくりになってんな…。

1回目観に行った時、1幕で撃沈してた前の席のおじいちゃんも2幕からはしっかり起きていたので、笑えるのって大事かもよ…。

 

好きなセリフがカットされてました!

この部分で結構好きなアシルのセリフがカットされていたのが残念でした。

ダグラスがアシルに「それで、あなたは?」って聞くんですけど、それに対して、

 

「リュスの人生のただのラヴ・ストーリー」

 

って言うんですけど、なんかこういう1歩引いたみたいな視点の、印象的なセリフが男性陣の口から発せられてのあの「男性が女性を見つめる」ようなラストだと、また舞台の印象変わった気もします…。個人的な好みですけど…。

 

4.オデットの腹

アルベール関連

ずっとバチストしか演じてなかった岡本健一さんが、アルベールを演じ始めるんですが、まず声色から違うのがすごいなあ、と。しかも今回は2回観に行ったんですけど、2回とも同じトーンだったんで、プロやば…となりました。

あとそれまで外側に向いていた身体の色々な向きが、内向きになったりしてたのでかなり別人に見えるという。プロやば(2回目)

 

それにしてもアルベールのファザコンっぷりがヤバいです。パパ大好き!って意味のファザコンじゃなくて、マジのコンプレックスのほうのやつ。

この部分の冒頭の父と息子のやり取りの最後にアルベールが父アレクサンドル(大鷹明良)に向かって

 

「愛情は感じていませんが、私の人生の中心には、あなたという男がとどまり続けるでしょう」

 

とか言っちゃってるもん…。しかも年輪の真ん中らへんにアレクサンドルとかが座りそうな椅子が置いてあるし…。うわあ…。

 

オデット関連

エメを演じられている粟田桃子さんが演じられているので、「リュディヴィーヌの性器」の部分でルーが叫ぶ「まるであの女(エメのこと)が世界の中心みたいに」っていうセリフが、より意味深に聞こえました。

ルーが示しているのは明らかに自分の母のエメのことなんだけど、同じ俳優さんが演じているので、なんとなく始まりの女性でもあるオデットのことを「世界の中心」と称しているみたいにも聞こえて、うおおおおってなりました。

 

あとどことなく漂うファムファタル感な…あれは父息子揃って落ちるわ…。

 

エドモン関連

わーいエドモン!!ようやく書ける!!

戯曲だと「ちびキリンのエドモン」だけど、上演だと「こどもキリンのエドモン」になってました。「ちび」は色々アウトだったのかなあ…。

私が「でか」だから、「ちび」はかわいい感じで良いなとか思っちゃうんですけど…。

 

てか戯曲でのリュディヴィーヌとのやり取りで、精神病院らしいころにぶち込まれた感がある(病院っぽい電子音が舞台でも鳴ってた気がする)エドモンが、めちゃくちゃ意味不明な詩をべらべら喋っているのに、リュディヴィーヌが「あなたは黙ったまま、何も言わない」とかいうので「いやめっちゃ喋ってるけど…??」てなって謎だったんですが、舞台観て解決しました!

 

まさか若い時のエドモン(亀田佳明)と老いたエドモン(大鷹明良)セリフが分かれるなんて!!

 

リュディヴィーヌが喋っているのは老いたエドモンなので、リュディヴィーヌとのやり取りは老いたエドモンが喋って、それ以外の意味不明に近い詩の部分は全部、老いたエドモンの後ろに亡霊みたいに立っている若いエドモンが喋ってました。

たしかにこれじゃ老いたエドモンはほぼ喋ってないわ…。納得…。

 

あと単純にエドモンの着ている簡素な服が好きです。雰囲気あって。

公式の舞台写真にあります。たぶん1番最後の写真。

『森 フォレ』 | 主催 | 世田谷パブリックシアター

左端が若いエドモンで、右側が老いたエドモンとリュディヴィーヌ(松岡依都美)。だと思う。

 

その後の、舞台奥では、下手から上手側に向かってのびた長方形の細長い光の区画にリュディヴィーヌと老いたエドモンがいて、舞台前方では、反対に上手から下手に向かった同じような光の区画に若いエドモンが立っている、みたいな構図も好きでした。

若いエドモンが切り離されたので、これからこっちの話に入っていくのかな感もあったし、あと単純に絵力がある亀田さんがぽつんと立っている構図が好き(笑)。

詩の部分のセリフの読み方も好きでした。意味と言うより音重視の読み方で。

 

それ以外

フランス語にかけた(んだと思う)「ミサmeese、カタカナ発音だとメッスになるはず)」と「メッスMetz」の聞き間違い的なダグラスとルーのやりとり、やっぱ日本語だと厳しいよね…と思いました。

 

あと、色々資料を、ダグラスとルーのために調べてくれるなんか役所とか施設の人達がめちゃくちゃに親切で優しいので、やっぱりこの作品って

 

血縁とか関係ない約束、絆>>>血縁

 

なんだな、と2回目に観た時に思ったという…。

だとしたらなんで最後のコート…でもここの、うだうだ感は感想の前半に書いたからいいや…。

 

あ、それと、3世代ぐらいが集まって(しかもリュスはルーとの電話越しに)、大聖堂の鐘の音を同時に舞台上で聞いてたのは、「演劇…良き…」となりました。理由はさっき書いたよね。うん。そんな気がする。

 

5.エレーヌの肌

アルベールの気持ち悪さが天上突破してる

セリフ自体もかなり生々しくて、なんかこれ出来の悪い官能小説の一部部分抜粋してきたん??レベルなんですけど、よくあそこまで、気持ち悪さはそのままに、観客に聞かせるなあ…すごいなあ…っていうのがありました。

 

でもとにかく気持ち悪い。ヤバい。

許されるなら劇場から逃亡したいレベル。

 

あと、アルベール含め、彼の家族の服が、前幕に比べて裾が汚れていたり、文明的とはとても言えなかったり…とどことなく衣裳でも歪で不穏な感じ出しているのも良かったです。

それにしても彼の子供に当たるエドモン(亀田佳明)エドガー小柳友って、どう頑張って見てもリア王だよな…。ダグラスとルーもそうだしリュディヴィーヌもリュスもそうだし、この劇、名前にめちゃくちゃ意味が込められている感じもします…。

あんまりフランス語詳しくないから分からんけど…。

秋学期、対面だろうしノリで先生に聞いてみる…??それも無しではないよね…。

…ダグラスに至っては自分で自分の名前ほとんど連呼しているし、最後のルーの詩でも、「名前」はものすごく重要な意味を持っている…。

そういえば夢枕獏陰陽師シリーズ読んだ時、安倍晴明「名前はこの世で一番短い呪(しゅ)」とか言ってたなあ…。

呪(しゅ)って呪(のろ)いじゃなくて、存在を縛るもの、って意味だったはず…。まあ言霊的なアレです…。ソシュール的なアレでもいいけど…名づけることで初めて存在する…、みたいな…。

てかその意味では約束に似てるか…。それに名前がない人はこの世にいないも同然だしな…。

そっか…じゃあこの流れで行くと、ルーが世界に自分の名前を固定する話にもなるんか…。

そのことを強調するために、最後の場面でダグラス、「ルー、こっちを見て。僕がダグラス、僕が、ダグラスだ」ってわざわざルーの顔に触れながら?(一人称とか動作とかうろ覚え。でも戯曲にあるように「私」じゃなかった感じがする…。)強調するのか…。

ごめんダグラス1回目観た時「なにこの名前連呼野郎」とかメモに書いてて…(実話)

 

で、アルベールとエドガーの取っ組み合いな!!!

あそこまでやるか!?!?!ってぐらいに派手派手でした。

岡本さん、なんか吹っ飛んで、しまいには顎とか床に打ち付けてなかった???

あれお互いに大丈夫なの???

 

って心配になるレベル…。よく舞台セットもあの激しさに耐えたな…。

スタッフの方にアクション専門があったから、なんか激しいアクションするのかな、ぐらいの予想は立ててたけど、ここまですごいとは…。

あと勝手に成河さんあたりがなんかやらかすのかと思ってた…。

今回はほぼ突っ立ったままなんですね…珍しい…(偏見)。

 

あとこの後に続いて、だったと思うんですけど、エドモンの説明に合わせて舞台上で物語が進行していく形で、エドガーによる父殺しとエレーヌへのレイプが描かれるんですが、なんか父殺しに使ったナイフをそのままファルスとして象徴的に使って、エドガーによる近親相姦レイプ行為を表現していたのは、すごい、と思ったような、予想通りでもあったような微妙な感じ…。

とにかくなんかもう森の中で起きていることがヤバすぎです。みんな逃げて。

 

エドモン関連

とりあえず頭の部分のエドモンの「でも幸せだったー!、と、思う…。」って言い方がめちゃくちゃに好きです。しんどい。2回目だとこの後に明かされることも知っていたので余計にしんどかったです。

 

あと、この部分、結構エドモンの語りが推進力となって、物語が進んでいくので、特に、舞台中央、斜めになった部分に置かれたテーブルの上に、はだしのまま、あの恰好のエドモンが真っ直ぐに立って、つらつらと語る様子が、白っぽい衣裳が照明を綺麗に反射するのと相まって、マジでご神託でも預かってきてこの人今喋ってんのか?って思うくらい綺麗でした。

 

エドモンの頭が高く抜けているので、構図がそもそもキリンっぽくて好き。

 

そういえば照明に関しては、オデットがメンタル崩壊して(そりゃ自分の夫が娘を犯しているのを見続けたりすれば崩壊もするよな)自分の顔を鏡(舞台上にはない。舞台前方に出てきて観客席を見つめる)にうつして「これ、人間??」って問いかける時に、舞台後方の壁に、オデットの影が、まるで人ではない獣のような歪な形と大きさでおどろおどろしい雰囲気でうつっていたのでマジ照明さん最高過ぎる…。

 

その後に「その時、母さんへの愛がどれほどのものであったか気づいた!!母さん!」的なことをエドモンが苦しそうに叫ぶんですが、そのあとやや暗転してどでかい心音で観客席まで埋め尽くすので、なんかエドモンの苦しさが音でも伝わってくる感じ。

このオデットの死らへんの演出、好きです…もうそれ以外なんて言ったらいいのか…。

 

あとエドモンの「天使の静かな足音はいつでも、まったく期待しない方から(「思いがけない方から」だったような気もする)やってくる」ってセリフ、これもやっぱ血縁じゃなくて約束の方が救いになったりする的なことを言っているのかな、と思いまいした。

綺麗なセリフで好きなんですが、エドモンみたいな境遇の人が喋ると、やや自虐っぽくも聞こえる…。

この森の場面のエドモン、年齢設定が不明なんだけど、なんとなく学習障害みたいなのがあってもおかしくないような感じにも表現されていた気がする…。

 

プティさんとルーのやり取りが唯一の癒し

観た人なら分かるよね。プティさん麻実れいとルーのやりとりかわいいよね。

公証人のプティさんのところに来ているルーが、電話越しに、たぶんダグラスに向かって「何遅刻してんだよてめえ。早く来いやあ(怒)」みたいにキレる部分で、勢い余って床を強く踏みつけるんですけど、それを後ろから見ていたプティさんが、「(あら床大丈夫かしら…)」みたいに眼鏡を支えながら優雅に見たり、何故かルーが「今さっきプティさんがこうこうこういうことを言ったの!」って電話越しの相手に伝える時に何故か軽くプティさんのモノマネしちゃったり、そしてそれをまたプティさんが後ろから興味深そうに見てたり…、みたいな。

 

なにこれかわいい(笑)。

 

この辺の唯一の癒しでした。

 

最後に電話を終えたルーが、電話での言葉遣いと態度とうってかわって、わざとらしいほどよそゆきのニコニコ顔でプティさんに接していたのが余計ツボというか。

 

よくあるよねこういうこと(笑)、と思いました。

あとプティさんが綺麗。大勝利しかしてない。

 

6.リュディヴィーヌの性器

コウノトリ・ネットワーク

っていうリュディヴィーヌの所属していたレジスタンス組織の写真が、前章の最後に出てきます。

ルーとダグラスにしてみれば、謎解きの手がかりとして。

 

正確にはその写真を撮った瞬間が前章の最後にちらっと出てくるんですけど(だから組織に所属するリュディヴィーヌ含む登場人物が舞台に並んで写真を撮っている)、すぐにこの章では、ルーとダグラスが、その写真に写っている人の子孫を尋ねに行く場面になっています。

 

写真を撮ったあとすぐに組織の人たちは舞台上にばらけて、上着を軽く脱いだり脱がなかったりして、すぐに「子孫」になるというすごい演出。

 

そんでもって実際に会ったダグラスが写真と見比べてあまりにもそっくりすぎてビビるという。

 

で、観客としては「そりゃ似てるよな同じ人だもんwwwww」と爆笑するという。

 

最高かよ。 好き。

 

あとアコーディオン弾き(亀田佳明)アコーディオンの演奏が生演奏でびっくりしました。普通に上手いしですげえ。

『タージマハルの衛兵』の再演はずっと待ってます…執念深く…再演するならそれこそ2回は観に行く…yyy約束ッ…するッ…!!

 

サミュエルに関して

『超越的進化論および同類のアスパラガス』っていうダンス公演の内容も気になるし、あのデッサンモデルの時のポーズは何をお手本にしたのか気になるなあ、っていうのはおいておくとして、サミュエルというより、サミュエルとバチストを同じ俳優さんが演じると、ここで面白いことになるのかあ、って感じでした。

 

あの、さっき「オデットの腹」でも書いた「まるであの女が世界の中心みたいに」ってルーのセリフがあるとこです。

 

ここ、サラ⇒サミュエル、ルー⇒バチスト(電話越し)で結構深刻なことが話されていて、サラは妊娠…あれ戯曲だと妊娠だけど、上演だと「私のこと愛してる?」的な問いかけだった気がするな…とりあえずなんかそんなことをサミュエルに投げかけているし、ルーはルーで、「理工学校集団殺人事件のことなんか忘れて、自分の奥底にある殺人のことだけ(1回はルーの中絶を考えたこと考えて!」って、パパに、電話越しに投げかけるには、かなりヘビーなこと言っているしで、なかなかすごい場面。

あと、このフェミサイド事件とエメの出産の決心について結びつけるような書き方がイラつく、って感想の前半で書いたんですけど、ようやく娘側のルーから、それに対する非難みたいなことを聞けてちょっとイライラが中和されました。

 

雰囲気の重さがどっちも似ているので、バチストとしてルーに答えたあと、そのままサミュエルに移るのが、なんかいいなと思いました。

 

ダミアン関連、影絵の通行人。

ダミアンっていう青年がナチスに殺された様子をサミュエルが語るシーンがあったんですけど、ここの照明がマジで大優勝しかしてない。

 

サミュエルを舞台前方中央にして、10人…たぶん麻実さん除いた10人全員が舞台上にいたような気がします。

 

サミュエルの語りもゾッとするレベルのリアリティなんですけど、その中で「通行人」ってのが出てきて、要は、ダミアンって人は街路で殺されちゃって、しかもよりによって「通行人」のなかにまぎれている父の目の前で(こんな挿話にもやっぱり「父」!)殺されちゃうんですけど、その場面でふっと舞台の奥を見たら、10人の人影が照明で何倍かに増えて、影同士重なったりして濃淡ができて、街ゆく大勢の通行人っぽく見えたんで、もう照明が最高!ってなりました。

 

語られている内容はヘビーすぎるけど。

 

それ以外

ダグラスの「本当のことは、時に口にだせない」ってセリフが結構印象に残っています。

あとから戯曲で探したんですけどなんか探し方が悪いのか見つからないので、上演台本の段階でできたやつなのかな。

たぶん、なんでサラはリュスに、自分が本当の母親だ、って言わなかったの?的な流れだと思うんですけど…。

 

7.ルーの心(臓)

ダグラスのセリフ

前半の感想にも「ルーとダグラスの関係って、色々な点で、リュディヴィーヌとサラの関係にそっくり」とか書いたんですけど、近くにあったリュディヴィーヌのセリフと、ダグラスのセリフがあんまり似ていたのでそう思った、っていう方が近いです。

 

前章でリュディヴィーヌが、サラを助けるために、彼女と入れ替わったあと、サラに向かって

 

「リュディヴィーヌ、見て、私がサラ、私よ。」

 

て言うんですけど(上演だとちょい違ったかも?うろ覚え…)さっきも名前関連で書いたように、ダグラスの最後のセリフも

 

「ルー、こっちを見て。僕がダグラス。僕が、ダグラスだ。」

 

的な事を言うので、めちゃくちゃに重なって見えたという。

しかも構図も、相手に向かい合って、確か片膝ついて、相手の頬あたりに触れて…みたいな感じだったような…公式の舞台写真の1枚目って、ルーがあの赤いコート持っているから、この場面か…?

『森 フォレ』 | 主催 | 世田谷パブリックシアター

 

どっちも血縁じゃなくて、友情っていう絆(約束)でつながった仲だしなあ…。

それにしても、リュディヴィーヌとサラの関係(もちろんルーとダグラスも)を「友情」って言葉だけで済ませてしまうのにものすごく違和感があって、その言葉じゃ掬いきれない部分を切り捨ててしまっている感があったので、ダグラスが最後に「友情…?」って含みもたせたまま語尾上げしてくれて、救われました。

…え、1回目は覚えてないけど(マジで記憶が朦朧としている)2回目観に行ったときは上げてたよね…?

 

赤いコートの場面での笑いに救われた

1回目に観た時に、余りの気持ち悪さにゲンナリしてしまったのは前半にもう書いたんですけど、2回目観に行った時に、ダグラスが「あなたの好みの色じゃないかもしれないんですけど…」みたいにルーにコートをプレゼントするときに、観客席でクスっと笑いが起きたので、そこまで深刻に色について考えずに済みました。

言い方悪くていいなら「ダグラスのセンスwww」程度で片付けられたというか。自分の中で。

 

ルーが、ダグラスという男性から贈られて関連の縦糸(死者とのつながり)を受け入れる、というよりは、自発的に受け入れて、本当の自由にようやく一歩踏み出せた感が最後にあって、マジで1回目観た時と印象が180度違ったので、感想がこんなに長くなったんですけど!!!どうしてくれるんだ!!(責任転嫁)

 

1回目はね…マジでエメのコートとかレオニーの血とかリュディヴィーヌの変装の衣裳の赤色が連想ささって、もう「呪われてんじゃん…ルー…」ってなっちゃったので…。

 

自由に関して

あの…この芝居観ながら謎にずっと頭の中で、ブルデューの、自由に関しての言葉の

 

「重力があるから人は空を飛べる」

 

っていうのが謎に回ってて…。

 

たぶん2回目のラストの笑いのおかけで気が付いたんですけど、ルーとかと違って、アルベールが求めたのって、たぶん「重力なき自由」、言い換えると「際限なき自由」、要するに「他人の自由すら不当に侵害してしまう自由」だったんだな、と(例えば森の外に出たいというエドガーの自由とか)

ある程度社会とか集団でないと人間生きていけないのに、各々が各々で「際限なき自由」求めちゃうと、それこそ「闘争状態」になっちゃうよね…そうならないためにはある程度、「自由」を制限するような「約束」みたいな「何か」を、あんまり気が進まなくても、ルーみたいに受け入れる必要もあるか…、と、なったってだけの話です。

ただこの話に出てくる「約束」って大体立場的に力のある方・年齢が上の方から、ない方・下の方へ要求されがちだったので、そこはやっぱちょっと嫌だな…、となるので好きと嫌いの堂々巡りです。

 

 

長くなりすぎてどうしていいか分からなくなってきた

どうでもいいこと

ルー、だけじゃないんですけど、なんか妙にしゃがむなあ、って。

西洋人の設定なんだから、片膝つくぐらいでいいんじゃないかなあ…。

特にルーに関しては、オオカミっぽく身体動かしているの??ってなるくらい地面に身体が近くなる時があって、妙に、うわ日本だあ…となったっていう妙な感想です。

…どうでもいいですねこんなの。ごめんなさい。

 

どうでもいいこと、でも萌えたこと

14日にポストトークがあって、

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セットでいっぱい使った椅子をそのまま使って…って感じだったので、他は普通の感じの椅子なのに、豪華な椅子が1脚舞台上に置かれてたんですが、やっぱりなんとなく麻実れいさんが座ることになっていて、だよねwwとなりました。

 

あと、トークの内容はほとんど覚えていなくて(司会役の岡本健一さんが、結構イイ性格してそうだな…と失礼なことを思ったことだけは覚えている)

最後に降った赤いキラキラを麻実れいさんが頭に付けたままで(かわいい)、それをサラ役の前田亜季さんがとってあげていたのにきゅんときた、っていうIQの低い感想で終わりたいと思います。

 

頼りにしてるよTwitter

今回Twitterのほうにいっぱいメモったので、そのリンクも貼っておく!!
一応備忘録だしこのブログ!!

 

 

 

正直Twitterの方が分かりやすい気もする…。この無駄に長いブログより…。

 

今度は『検察側の証人』観に行っちゃいます!!

なんかチケット取れちゃったんですよ…びっくり…。

「高いし倍率ヤバそうだしぜってー無理wwww」とか思ってたら取れちゃったんですよ…どうしよう…。

 

でも小川さんの新翻訳はめちゃくちゃに気になるのでこうなったら全力で楽しんできます。

 

でも観客席の雰囲気がちょっとすごそう…だって若手の?ジャニーズ主演…どうしよう…(エンドレス)

 

あ、Le Fils 息子』はもちろん行くよね。

このあいだアンソニー・ホプキンス主演の『ファーザー』も観たし。

 

monsa-sm.hatenablog.com

 

というわけでコロナの感染状況が心配すぎる。頼むから落ち着いてくれ。

この間から引きこもってるのでなんかもう軽く願掛けみたいになってます。

8月後半と9月頭にチケットたくさん取っちゃったから頼む…。

頼む…。ほんとに…。