2021/11/28
シアタートラム
久しぶりにシアタートラムに行きました。
現代能楽集X『幸福論』以来だから1年ぶりぐらいか…。
嘘だろ…そんな来てなかったっけ…。
☝この時も10カ月ぶりって…。
渋谷から電車1本ってことで、心理的にKAATと同じぐらい遠いんだよなあ…。
あと世田谷パブリックシアターの方に行きがちっていうのもある…。
悩ましい…。来年こそ…。
ちなみに大学の先生も観に行ったそうなんですけど、コミュ障こじらせているので突撃隣の観劇感想!できませんでした(そんなものはない)。
卒論指導とかで(強制的に)仲良くなれたら聞いてみたいけど…いつになるやら…
公式の舞台写真とかちょっと映像とか
戯曲が、たまに見るタイプの、句読点一切ないうえに、どこからがセリフでどこからがト書きなのか、そもそも1部と3部は1人語りのよう書かれているから何人で演じればいいのか…、と演出家の人が見たらたぶんワクワクする半面、こういう書き方を決定的にやり始めちゃったであろうハイナー・ミュラーあたりに製作途中で1回キレそうだな…、となるやつだったので、意外とポップな雰囲気の演出で驚きました。
私は、このタイプの戯曲は黙読が出来ないので、ブツブツ音読したんですが、句読点がないとどこで切っていいかマジで分からないので、「???」となりながら読んでました。
☝あ、今回の翻訳とは違うけど戯曲も読めます!
あと、あんまり舞台の内容とかには関係ないんですけど、観に行った日、第1部の最後らへんで、ブチッとかなり嫌な音がしたのでびっくりしていたら、ネオンサイン(でいいのかな…?)が1本切れてしまっていたんです。
第3部までそのままで続行していたので、ライティングが綺麗な舞台美術だった分、すごく気になっちゃったし残念でした…。運が悪かった…。休憩中に変えるとかは…無理っすよね…。うん…。
演出を楽しむ舞台だった気もする…
物語的には全体として、「どこでも、どんな状況でも、具体的な人間の具体的な生活って、細かく描写すればするほど、色々共通点とかが見えてきて『どこにでもありそう』になるよね…」と、戯曲読んだ時から思っていたので、特に驚きも感動もなかった気が…。
まあ心が動かなかったのは、物語うんぬんではなくて疲労困憊で私のメンタルが死亡しているせいですけれど…。
社会主義体制下の東ドイツ(開場後すぐに劇場に入ったら、真ん中に穴が開いたドイツ国旗がぶら下がっていたから、「そういえば統一前のドイツ国旗って真ん中になんかデザインが入ってたなあ」とは思ったけど何でそれをくりぬいたのかは謎)っていう状況ならでは、みたいな息苦しさは全体を通してあるんですけど、基本的に演劇やる人も、私みたいに演劇観に行く人もそういう息苦しさ抱えている人ばっかりなんで(ド偏見)、「まあうん、いつでも、どこの社会でも似たようなことはあるよね!分かる分かる!!」と、疲れていたせいもあって、ちょっと思考放棄してしまった感があります。
もうちょっと頑張れなかったのか自分…、と観劇直後のメモを見て思っている、なう!です!!
やけくそ
あと生演奏ってやっぱいいなあ、と思いました。
最近なんか、立て続けに生演奏のやつ(『アルトゥロ・ウイの興隆』、『あくと』とか)観に行っている気がします。
1部「ある青春/コーラス」、はすごいスピード感
なんか歌付きのトークライブみたいだなあ、というのが第一印象でした。
若者の青春から、場面ごとに写真で切り取ってきたみたようなことを並べた内容だからか、一気に駆け抜けるようなスピード感で話が進んでいきました。
ただ、混乱する、とかはなくて、「このスピード感で混乱しないとは…すごい…」ってなってました。
結構な登場人物がでるので、どうすんのかな、とか思っていたら、半円形にライトを並べてアクティングスペースを作って、その外側で、俳優さんたちが、出番に合わせて早変わりしていく感じでした。
観ている分には違和感もストレスもないんですが、衣裳チェンジとか、配置とか、誰にどの役をやってもらうかとかは考えるだけで眩暈がしてきそうなレベル…すごい…。
基本語り手の「僕」が中心で、マイクとかも使ってたりして、ほんとにスピード感と相まってトークライブみたいなんですけど、その「僕」の語りに反応して「役」になるみたいな演出もあって面白かったです。
「犬」が出てくる時、「僕」が「犬だよ!」的なことをいったら、該当する俳優さんが「えっ!?」って顔して、ちょっと戸惑いながら「犬」を演じていたり…とか。
自殺とか西側への逃亡とか徴兵とか、だんだん重めな話題が入ってくると、アクティングスペースを作っているだけに見えた半円形のライトが、あの壁っぽく見えてきて、かなり舞台が狭く見えてきたのも面白かったけど、面白かった以外の感想がなぜか出てこない…。うーん…。
あと、「僕」が「黒板に紙パックのミルクを投げつけた!」的なことを言った瞬間に、後ろでネオンサインが、一瞬でパッと白くなったので、ほんとにミルクをぶちまけたみたいに見えて、そこだけやたら記憶に残っています。
あと舞台写真でもあるけど、「僕」が、雪の上に寝そべる様子を、白シャツを着た人の上に寝そべることで表現していたところとか…、とにかく
「あんなどうしていいか分からない戯曲からよくこんな演出思いつくなあ…」
って感じで面白かったです。
2部「ある古い映画/グループ」、は割とスタンダードな感じ
さっきの半円形のネオンサインの前に、観慣れた感じの舞台美術が組まれていました。たぶん3作の中では、1番ストーリーがつかみやすいかなって感じです。
戯曲のほうでも、ト書きやセリフの区別が、いわゆる普通の戯曲のようにハッキリしているので読みやすいです。書いている内容には「???」となったりするんですけど…。
たとえば
ペーターはハーゲンの顔に殴りかかりたいがハーゲンはめがねをかけているのでそれはできない
とか、これ一応ト書きの部分として書かれているんですけど、「いやこんなんどうやって醸し出すんだよ…!!」と思ってたら、ト書まで全部セリフとして読み上げていくスタイルでした。
「カット!」
って浦井さん(ブロイアーおじさんとミランを演じていた気がする)が、頻繁に言うし、あと高岡早紀さんも言っていたような…、ちょっとうろ覚えなんですけど…。
ドライブのシーンとかで、劇世界内の人に車のハンドルの小道具を渡したり、劇世界内の人が飲み物を回し飲みするときに隣にいて無言で催促してるのに、劇世界外の人物だから、劇世界内の人物に無視されちゃう高岡さんがお茶目で可愛かった…。
えっと、要は、なんか語り部的な、劇世界外の人物が舞台上に常にいる感じで、なんていうか、自伝的な映画を撮っている様子が舞台上で展開されている、っていうのが一番印象に近いかもしれないです…。パンフ買ってないんでよく分かんないんですけど…。
最後、浦井さん演じる監督っぽそうな感じの人(恰好はブロイアーおじさんかミランのままだったけど)が、あえてこう言っていいなら「映画のセット」「だった」ミラーボールを、ちょっと名残惜しそうに回した後に(キラキラしてて綺麗だった)、「映画」の中で何回も印象的に使われていた「青い壁」のセットが、暗くなっていく舞台上で印象的に浮かびあがって、その後で幕、になっていたのを観て、「の、ノスタルジー…!!!」と謎の雄叫びを心の中であげたんですけど、あれはそういうことだったんですかね…。自分の青春時代を振り返った映画を撮り終わったあとの感慨…的な…。
でも、ブロイアーおじさんかミランを演じていた、のだとしたらこの解釈通用しないのでムズイね…。
…まあいっか…私はそう思いました!!
ところでブロイアーおじさんのセリフ、声が小さすぎる……
…のはたぶん敢えてなんだろうな…。
この人、反体制派の人で、「たった一度だけ口を開いた」がために12年も「クリーニング」されたんだもんな…。そりゃ声を出すのにも、語るのにも慎重になるか…。
こういう感じで、「ならでは」の息苦しさも結構あるにはある…
あと、ペーターが、アメリカに行くディルクと別れた後に、アドリアーナと一緒になってクリスマスツリーのそばでクリスマスを楽しそうに過ごしていたと思ったら、アドリアーナが一旦ハケて、悲しそうな顔でペーターに制服を持ってきたので、一気に時間がたって「ペーターはこれから兵役なんだな…」というのが、視覚的に分かりやすくなってて、親切だ…と思いました。
戯曲読んだ時、「兵役…??たぶん…??たぶん兵役…??」と混乱してた人
それと全然関係ないんですけど、『森 フォレ』の時にも、絶妙に胡散臭かった(失礼)小柳友さんの、胡散臭めなお医者さん姿パート2が拝めてちょっとテンション上がりました...!
今回は産婦人科のお医者さんかな…。
何ていうか、神経科医(『森 フォレ』)でも産婦人科医って感じでもないんだよね…美容整形外科とか形成外科のお医者さんっぽいというか…誰か分かる人いませんかね??
お医者さんはアレだったけど、ディルクはすごいハマっててかっこいいなあと思いました。
3部「ある愛/2人の人物」、は超大人っぽくて(内容にしても)難しい
身も蓋もない言い方してしまうと不倫した男の1人語り風の話なので、「…??」となってしまいました。これはしょうがないかな…。
第1、2部で使ってたセットが、バリケードみたいにグチャグチャに組み立てられて、なんだか世界が崩壊したのかと思いました。
蛍光灯もあっちゃこっちゃにぶら下がっていて、たぶん雰囲気としては1番暗い。
愛する人と別れることってたぶんそれこそ、ラストに言うように「惑星の光が消えた」レベルのことなのかもしれないから、この暗さなのかもしれないしれないな…とも思ったんですが、どうなんだろう…。
あと1人で語るのかと思っていたら、女性のパートは高岡さんが語っていました。
周りの椅子に他の出演者が座っていて、要所要所でちょっと出てたかな…って感じです。
それにしても、最後の音...銃声...??
な訳ないよね…たぶん…まさか自殺…??
とかなっちゃいました。でもこの第3部は正直、内容もよく分かんなかったです。雰囲気はそこそこ好きだったけど、人生経験的な問題な気がする…。
疲れてる時に観に行くもんじゃない…
なんかぼんやり観てしまいました。
基本的に大きくて派手で、爆笑して同時にしんどくなるようなやつが好きなので、もしかしたら戯曲がそもそもあまり好みじゃないのかもしれない…。
よくわかんないですね…。うん…、とりあえずお腹空いてきたから終わろう…。