感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

Der Vorname『お名前はアドルフ?』

2020/10/24
キネカ大森(初めて行った!)
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もはや題名だけで興味深々だったやつ。

"赤ちゃんにヒトラーの名前のアドルフって
付けようとした in ドイツ"

ってだけでだいぶクレイジー!って思ったし、
もともと舞台作品だったらしいので、(たしか仏)
もうこれは行くしかないと思って行ってきました。

キネカ大森のシステムがよく分からなくて混乱。
でも次行く時は大丈夫。イける。やったね。

たぶん、邦題は英題の

How About Adolf?
アドルフ、ってのはどう?ぐらいの意味かな)

こっから取ってきたのかな、って感じです。
原題はドイツ語なのでワケワカメ(死語)
だったんですが、Der Vornameって
直訳すると名前らしいです。まんまかな。

実際、赤ちゃんの名前騒動だけじゃなくて、
色々なものや関係や人の名前と中身に関して、
考察しようと思えばできそうなエピソードがぎっしり。
まあ、やりませんでしたけど笑。
だってただひたすらに笑いたかったし笑笑

まあでも例えてあげるなら、

"俺は物そのものに価値を置くって言うより、
内面を重視するんだ。お前と違って"
お前、はトーマス(義弟)です。

的な事をシュテファンって教授先生が言うんですけど、
そのすぐ後に自分の奥さん(エリザベト)の
親友のレネを外面的な部分だけでゲイだって判断したり、

エリザベトの弟のトーマスはトーマスで、
自分のママが、単なるドロテアという女性として、
レネと付き合っていることに拒絶を示したり…

とかとかですかね。
こんな感じで、うっすら名前つながりでの
超ドタバタのカオスなコメディ。
実質5人しか出てないのに、
ここまで人間関係が急展開していくか!って感じです。

最高だったのは、クライマックスでプッツンした
エリザベトが、電話越しの母ドロテアに向かって、
今夜起きたこと、暴露されたこと、したことなんかを
とうとうとよどみなく告げた後に、
今までため込んでいたみんなへの不満を
がーーーーーーっと面と向かって叫んで、

「みんなくたばって!」

っていいながら部屋から出ていくところかな。

改めて聞くと、「今夜起きたこと」が
いかにカオスなのかよく分かるシーンだったし、

(それが、当人たちにとっては限りなく深刻なのが
逆に笑えるという奇妙さもある)

この大爆発の後に、終息・修復に向かうので
(人間関係ってそんなもんだよね、たぶん)

なんかちょっとスッとする場面でした。
その意味ではまあ、カタルシス的かも?
(憐れみとおそれ、ではないですが…)

それと、舞台での上演が透けて見えそうな
カメラワークとか構成も結構好きでした。
(回想シーンは入れるにしてもできるだけ短めで、
なるべく語りで行けるとこは行く、とか、
手持ちカメラのブレ感のドキュメント的なあれ、とか。)

あと、ドイツ映画って他に
帰ってきたヒトラーぐらいしか
観たことがないんですけど(色々専攻的にやばい気もする)
その映画にゼンゼンブリンク役で出てた
クリストフ・マリア・ヘルプストさん
シュテファン役でして…しかも今回の映画の中で

"帰ってきたヒトラーみたいだな"

って台詞を喋ってて

"いやあんた出てたじゃんかよ"

ってこっちも思わず突っ込むという…笑。
カオスの極みでした。ナニコレ楽しい。
ちょっと最近気分が塞いでしまってたので、
観に行ってよかったなあ、と思いました。

ついでに品川周辺とか銀座も(かもしれない)
ぶらぶらしてきたり…。
天気が良くて良かったです。歌舞伎座の場所も確認
これでいつでも観に行けるね!

(まだ生で歌舞伎を観たことがないという、
こっちの方が専攻的に大問題でとにかくやばいのは
重々承知なんだけど、如何せん能の方が好きという、
マジ厄介としか言いようのないジレンマ笑)