感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『Cyprus Avenue』

2020/03/27-04/01
Youtube!
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Youtubeで観られるんですよ!凄い!
実は明日からNTLiveでも配信始まるみたいで
今日中に頑張って観ちゃおうと思って
辞書片手に頑張りました。
そう...辞書片手に...。
これ、言わずもがな英語字幕だけなんです。
端的に言って辛い。日本語please!
まあ学生で暇なんで良いんですけどね!( #`꒳´ )
英語、早く出来るようになりたいなあ...。
目下勉強中で、目標は『SHERLOCK』字幕なし。
推理シーン(のえげつないマシンガントーク
が聞けるようになったら、完璧ですね☆
..........先は長い...長すぎる...。

それにしてもこの『Cyprus Avenue』
観る前に多分、北アイルランド問題のこと
軽くググらないと駄目ですね。
世界史の知識がぼんやりあったので
なんとかついていけましたが
IRAとかUVFとかどっちがどっちだか...。
ありがとうGoogle先生。感謝感激。

あらすじもホームページに載ってました。
優しい。ありがとう。ただし英語。むん。

"Eric Miller (Stephen Rea) is a Belfast
Loyalist. He is experiencing a psychotic
episode and mistakes his five-week old granddaughter for Gerry Adams.
Generations of sectarian trauma convince
him that his cultural heritage is under
siege. He must act.

This hard hitting black comedy Cyprus
Avenue tells the story of a man struggling
with the past and terrified of the future. "

"エリック・ミラー(スティーヴン・レイ)は
ベルファストのロイヤリスト。
(ちなみにスティーヴン・レイさんも
ベルファストご出身です。偶然かな?)
(あとロイヤリストとは英連合を守る
プロテスタント系過激派。
対するはリパブリカンと言われる
カソリック系市民、アイルランド側)
彼は精神病によって自身の心の中に
起こる様々なエピソードを通して、
生まれて5週間の孫娘を
ジェリー・アダムズ(シン・フェイン党トップ)
と間違えて認識してしまう。
昔、宗派間で起こった様々な事に
トラウマをかかえる世代(である彼)は
彼の文化的遺産が包囲されていることを
彼自身に納得させる。
彼は行動しなければならない。

この辛辣なブラックコメディーは
過去にもがき未来を恐れる男の話だ。"

うん...かなりめちゃくちゃな翻訳ですね。
多分ところどころ間違ってるかもだけど
だいたいこんな感じです。きっと。(´TωT`)
まあこのあらすじが全てなんですが
もっと端的に現われてるのは劇中歌ですね。

I fought and died for my country
I did what I thought best
Here lies
A loyal soldier
Of the UVF

私は祖国のために戦って死んだ
考えうる最善のことをした
ここに横たわるは
忠実な一人の兵士
UVFの兵士

UVFってのはあの、ロイヤリストの方ですね。
で、IRAリパブリカン、だ...と思います。
厳密に言うとちょっと違うんだろうけど
対立構造としてはこんな感じですね。
ユニオニストナショナリストとかも
言い方としてあるんですが
あややこしいのでおいておきます。
とりあえずエリックはどちらかというとUVF側。

この劇を観て思ったのが、
北アイルランド問題って
世界史でやったぐらいのことしか
知らなかったけれど、当事者にとっては
ここまで複雑な問題だったんだということです。
それこそ、(多分子供時代に?)経験していた
エリックにとっては
彼自身のアイデンティティにかかわるレベルで。
(自分はBritishかIrishか、とか)
でも若い人にとっては、
つまり新しいジェネレーションにとっては
そんなことは大した問題じゃなくて
そこには埋められない隙間があるんだと思います。
ジェネレーションギャップっていうと
もっとイメージしやすいのだろうけれど
ジェネレーションというよりは
立場上のギャップの気もします。
他人事か自分事か、という意味でのギャップ。

またあらすじにあるように
エリックは常に過去に居て
未来を心配しているので、つまりは
昔のままの世界に精神的に生きている訳です。
でも周りの人は当然だけれど今に生きているから
どうしても隙間ができてしまう。
その周りからの疎外感が
未来に対してのエリックの不安を
ますます増長させてしまうため、
エリックは、自分の不安ばかり増長させて
自分の話を聞いてくれない周りにいる人間、
つまりは家族を殺してしまう。
未来ある孫娘まで殺してしまうのは
まあジェリー・アダムズに似てるから
(しかもここが笑いを誘うからタチが悪い笑)
っていうこともあるんでしょうが
ざっくばらんにいうと
歴史的な事柄を実感せずに、新しい感性のまま
生きていく人々が更に増えることが
本当に怖かったからなんだと思います。
自分だけがどんどんひとりぼっちになるような。

I'd forgotten how much I enjoy saying no.
(Noって言うこと、をどれほど楽しんでいたか
すっかり忘れていたよ)

エリックの、笑いながらの最後のセリフです。
その二場面くらい前の途中に
こういうセリフもあります。

Without prejudice, we're nothing!
If we don't discriminate, we don't survive!
(偏見がなけりゃ、俺たちは何でもないんだ!
差別しなきゃ、生きぬけないんだ!)

エリックはこういう時代に生きていたから、
というよりもまだ、もがきながら生きているから
自分と違うものに対して、
また今の時代に対して、
No!って言いたい...言うことで
自身の存在を確立したかったのだと思います。
そしてまた行動としてのNoが殺人だった、
ってことですかね。 多分。
老いの哀しさみたいなものも感じます。
しかも、カーテンコールが終わったあと
スタッフの方が舞台上のゴミとか鮮血とかを
淡々と片付けていく様子が映るので
まるでエリックがしたことが
そうやって掃除してしまえるぐらい
小さくてどうでもいいようなことに感じられて、
エリック自身の切実さもまた
歴史の、というか、歴史にすらなれない
ちいさな一部として忘れられていくのか...
と思ったら絶望と虚無感がすごい。
そこに至るまで笑いの連続だったので
なおさら酷いです。

この作品すっごいユーモア溢れてて
爆笑をかっさらう場面が沢山あるんですが
要約すると精神的に病んでいる老人が
自分の妻娘孫を殺す話で
しかも殺害理由が
「それが国のために必要だったから」
と述べる話なので、
外国的なホラーでもありますね。
娘の首をへし折る瞬間は、ひえってなりました。
それまでとの落差が激しくて。
カメラもいい感じの反応された観客の方を
ちゃんと撮ってて、やるな、と思います笑。
ユーモアとホラーって一緒になるんだなあ、と
ビックリしました。
あとスティーヴン・レイさんが凄い。強烈。
演出もそれに合わせて必要最低限のシンプルさで
どんどん次々と観たくなります。
辞書片手なので止めながらだったのが悔しい笑。

と、なんだかんだと感想まとめてきましたが
如何せん英語字幕オンリーなので
ところどころ間違っているかもしれない...。
日本語字幕が欲しいよお...。
明日からはNTLiveで
『ふたりの主人に仕えた男』が配信です...。
以前ムロツヨシさん主演の
『恋のヴェネツィア狂想曲』観たので
そんなに辞書使わなくてもいけるかな...
どうだろう...。
1週間限定の配信で次々アップするらしいので
急いで頑張って観きらないと、です。
楽しみなんだけれど、面倒でもあるというか
贅沢な悩みです笑。
COVID-19のせいでたくさんの劇場が
閉鎖されてしまっているのでほんとに嬉しい。
でもやっぱり日本語字幕を...!
早く英語ベラベラになりたいです。
星星みたいに。