Hamlet『ハムレット』(ベネディクト・カンバーバッチ)
2020/08/26
シネ・リーブル池袋
連日連日シェイクスピアの劇について、
もんもん考えてるのでそろそろ狂いそうです笑。
きっといいお友達になれるね、ハムレット。
この『ハムレット』は、前にも観てたんですけど、
そのときは『イミテーション・ゲーム』を
観たすぐ後で
"なんかこのSHERLOCKかなんかやってた
名前が変な俳優さんすごい!"
ってテンションあがってたので
実は感想自体あんまり残してなくて...。
もうあのKINGのジャケットしか覚えてない...笑
だから事実上ちゃんと観るのは今回が初めてです。
頑張るよ感想。ツッコミどころしかないから。
もはやツッコミを待ってるとしか思えないから。
そもそもバービカン・シアターが
やっぱりどう考えてもデカすぎで、
正直始まる前から不安しかなかったです。
キャパ1166人ってマジですか。やべえ。
しかもグローブ座みたいな
エプロン・ステージならまだしも、
ほとんど額縁舞台って...
(たしか部分的に少しは張り出してたような...)
主演が主演なのでしょうがないけれど、
(即日完売だったらしい。だろうね。すごい。)
正直劇場内で、しかも額縁舞台で演劇やるなら
個人的には800人ぐらいが、"みんな満足!"の
限界かな、って思ってます。
まだるっこしい言い方やめると、とにかくね、
あの大きさの舞台セットはやばいね?!
どっちかというとマイナス方面でやばいね?!
なんかYoutubeにインタビュー映像あがってて、
...舞台の後ろにある楽屋とかまでぶち抜いた?
って感じの大きさです。まじ映画撮れる。
というかケネス・ブラナーさんの
映画の『ハムレット』思い出しました。
すごくリアルで凝ってて、綺麗だなとは
もちろん思うんですけど...、
このリアルなセットとリアルな演出、
これは...ベネディクト・カンバーバッチさんを
...相変わらず長いのでイニシャルで...。
...えーとBCさんを主演に使うなら、
ちょっと、セットとか演出⇔主演の
この両者が両者に対して
めっちゃ勿体ない...感じでした...。
なんかその勿体ない感じが伝わればいいな、
ぐらいに感想まとめていきたいと思います。
最後に結論みたいに短くまとめらればいいけど...。
頑張ります。無理かな(もはや諦めてる)
ちなみにこの間の『コリオレイナス』同様、
この『ハムレット』も苦手です...。
"大好き!"って方は読まないでください...。
あ、でもBCさんは演技が好きなので
その辺は(どの辺だ)大丈夫かなと思います...。
⚠以下からやばいです。
とっ散らかるの思うので【全体】と【細部】に
分けて書きます。もはや不安しかない。つらい。
【とりあえずでっかく全体的なまとめ】
ちょっとでもシェイクスピアかじってたら
そういう人は度肝を抜かされた、と思います。
私は椅子から転げ落ちる心持ちでした。
みんなそうだよね...…( 。ω。)?
だって『ハムレット』が
"Who's there?"
っていうセリフから始まるのは有名だし、
で、多分、これが、
見張りの交代に"きた方"のバナードーが、
それまで頑張ってお仕事"してた"フランシスコーに
対して言う、っていう奇妙な状況なのも、
結構知ってる人多いのかな、と思います。
ちなみに、これ逆ですよね。普通に考えると。
見張りの仕事してたフランシスコーが、
暗闇の中から、不審者みたいに、ぬぼーって
交代にきたバナードーに対して言うのが
普通なんだけど、これは普通じゃない。
劇が始まった、本当に静かな一瞬に、
切り裂くようにこのセリフから入って、
しかもそれがどう考えても"はあ?"ってなるような
そんな不安で不条理な感じから始まっていく...
(後になると幽霊が出る噂がある事がわかるので、
そこになってようやく論理的に説明がつきます。
要はバナードーがビビリだっただけってこと?笑)
このわけわかんない感じ、不条理な感じ、
理不尽な感じが、劇全体を貫いている、
っていうのも、これまた一般的な(授業的な)
解釈らしいです。(実際習いました。ほんとに)
....いや、ほんと...まさかハムレットが言うとは...。
なんか自室にいて、アルバムみながら、
My Wayみたいな(My Wayではないけど)
シャンソン風なムーディーなレコード聞いて、
(ハムレット王の遺品なのかしら。
話知ってるから想像つくけど
知らなかったら分からなそう)
結構号泣?してる?よね?、なハムレットが、
"Who's there? Answer me.
Stand and unfold yourself."
(誰だ?答えろ、止まって名を名乗れ)
※何回も同じ意味の繰り返しになってます。
多分なんか、バナードーとフランシスコーの
2人のやり取りのセリフくっつけてる。どうして。
ってドアの向こうに問いかけると
親友ホレイショーが
"陛下ーおっひさー"
※こんなテンションではない。
みたいな感じに入ってくるっていう...。
...しかも、ホレイショーが謎のオタクルックです。
チェックのシャツ、黒縁メガネはアウトだろ。
いってらっしゃい秋葉原(偏見の塊)
でもリュックがバックパッカーっぽい上に、
身体中に刺青入ってるので...。
ハムレットは否定してるけど、お前絶対
"A truant disposition(サボり癖)"あるだろ、
的な見た目なので、謎に混乱しました。
まあ、ホレイショーの見た目はおいといて、
問題はこの始まり方ですよね...。
面白いとは思いました。見たことないし。
でも...あの...『ハムレット』って
国家の問題と個人の問題が強烈に関わる、
外部と内部が互いに互いを食い合うみたいな、
そんなバチバチな劇だと思ってたので...。
でもなんかそういうのより、
「人物の名前と、だいたいの環境だけを、
沙翁の『ハムレット』から拝借して、
一つの不幸な家庭を書いた。」
※沙翁=シェイクスピア
「かすかな室内楽に過ぎない。」
これは太宰治の『新ハムレット』の
冒頭の引用なんですが...正直こんな印象を
出だしの改変から抱きました。
もっと端的に書くと
"は???デンマークどこいった?"(雑)
唐突にそのあと出てくる
"Something is rotten in the state of Denmark."
(デンマークでは何かが腐ってるんだ!)
っていうの聞いてようやく思い出しました。
元々の戯曲のやつだと「城壁の門番」が
初っ端からベラベラ状況説明するので、
嫌でも最初っから国家規模の舞台を
想像させられますよね...。
あと"外"ってのも意識します。
でも今回は私室から始まってて...。
まあ一応、その後ろの幕が上がって、
さっきの写真みたいなバカでかい広間になるけど、
それでも"室内"ですよね...。
つまり劇最初結構な時間、
ずーーーっと室内なんですよ...。
(ちなみにハムレットも、最初の独白ぐらいまで
ずーーっと泣いてたような...。大変だなあの演技)
しかもそこで繰り広げられる
昼ドラも、裸足で逃げ出す、
ドロドロな母と息子と叔父との愛憎シチュ...。
...ごめん、舞台セットのスケールと
劇の内容のスケールがズレてる気しかしない...。
そのあとバルコニー?渡り廊下?
の部分を使用して、外のやぐらに登ってる体の
(戯曲でいうなら、第1幕第4場)
まあざっくり分類すると見立て芝居みたいなの
してたんですけど、王宮のセットが豪華すぎで、
セットのリアルな印象から抜けれないし、
そもそも劇冒頭からの"室内"の印象強すぎで、
全くもって外に見えない...無理...。
頑張っても王宮内の夜警ぐらいにしか無理...。
上手の部屋のドア開け放ったぐらいじゃ、
この最初の強烈なインパクトと共にもたらされた
"室内"のイメージ払拭するのムズくないか...。
ちなみに同じ原因のためか、
場面が変わっても全員が全員、
王宮に一緒に住んでる廷臣とか召使いにしか
見えませんでした。どうなんだこれ。
"家庭劇"にしか見えないって
解釈の1つとしては全然ありだと思うんですが、
だったらやっぱりデカすぎるよ劇場。
"家庭劇"にするなら、つまり
めっちゃプライベートな劇にするなら、
めっちゃプライベートな空間にしないと...。
明らかにパブリックすぎます。
とにかく広すぎ。人が多すぎ。
のくせにやっぱりなんか演出が...(堂々巡り)
ハムレットががポローニアス殺しで逃げてる時とか
ストロボ照射みたいにして、多分...
プロジェクションマッピングかな?
そんなので"家に亀裂が入ってる"っていう
めっちゃ"家庭崩壊劇"ゴリ押しの演出だし...
あと特に独白とかの演出が...これまたプライベート...。
せっかくBCさん使ってるのに...
というか『ハムレット』を舞台でやってるのに...
こんな演出するか...???
いや、別にそんなに酷い訳ではないんですが、
舞台と演出と俳優さんの個性と
各々の良さを各々が相殺しかけてたような...。
例えば第1独白をハムレットが喋る時、
座ってたパーティの食卓踏み越えてくるのは、
身長が高いので"映えていいなあ"、とは
思ったんですけど、何故か周りがスローモーション。
そしてハムレット以外の照明が暗くなる。
そんでもって、喋るだけ喋ったら、
もう1回食卓踏み越えて
"I must hold my tongue."
(黙りまーす)
っていってワイン?飲みほしたら、
突然また周りの時間が普通に動き出す...、
みたいな感じでした。
...完全に心の声的な演出じゃんか。
少年スポーツ漫画でよくある、
"この間約0.5秒"みたいなモノローグになってた、
というか...(例えが酷い)
...ええええええ?
同じような演出を、ハムレットが役者を褒める、
戯曲でいうなら第2幕第2場の独白でもしてて、
なんか...ものすごく勿体ないというか...。
ただでさえ額縁舞台ぎみで、
観客がシャットアウトされてるのに、
こんな演出されちゃうと、なんか...
ハムレットに置いていかれる...というか...。
うーん、あんまり上手く書けないんですけど、
ハムレットとか『ハムレット』に
限ったことではないかもだけど
とにかくハムレットには、
"この事件の解説者であって欲しいな"って
思っちゃうフシがあって...。
なんて言うかな...難しい...。
あの、劇中劇でハムレット、色々囃すじゃん。
ああいう風に、この劇の事件と
観客を橋渡しするみたいなヤツがいい...。
つまるところハムレットを演じる人には、
「ハムレット」を演じてるところを見せて欲しい、
というか...。(混乱してきた笑)
理由はいっぱいあるんですけど...
ハムレットって劇の途中からでるじゃん?
(この『ハムレット』は違うけど)
んで独白までほとんどセリフがない。
で喋りだしたと思ったら、
"お母さんとおじさんが父さん死んですぐ結婚とか
この世まじ汚くてサイテー。なんも楽しくない。
あーもうほんと自殺したい虚無すぎてやばい。
でも神様禁止してるしさすがに自殺は無理ゲー。
でもまじ超虚無なんですけど生きてる意味なーい"
みたいな(酷すぎるまとめ)感じのこと喋って、
そしたら突然ホレイショー達がきて、
"パパの幽霊見たよ:( ;´꒳`;):"
"え!まじ?!見に行く!(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク"
"復讐よろー(ง ˙-˙ )งByパパ"
"よっしゃ燃えてきた!復讐頑張る!!"
みたいな(深夜テンション)ことになって、
その結びとしてあの有名な、
"The time is out of joint: O cursed spite,
That ever I was born to set it right!
Nay, come, let's go together."
(この世のタガが外れてしまった
呪われた因果め、それを直すために
生まれてきたとは!いや、とにかくさあ行こう)
みたいなセリフですよね。
細かいこと全部置いといて個人的に整理すると、
なんもやることない死にたいマジ虚無
→道徳的にやばいこと起きてるから復讐よろ!
→ちょっとめんどいけどやる事あるじゃん!
→よっしゃ、じゃあ僕その"役"全力でやるね!
って、なんかちょっと楽しくないですか?
実際セリフ読んでても興奮してるの分かるし。
(...何回読んでもここ、ハムレットが
歯を食いしばりながら笑って言ってる、
みたいなイメージが離れないのは私だけかな?
...武者震い的な...?あれちょい違うかな...?)
ってなってくると、ハムレットは
「ハムレット」を少なくともこの後からは
全力で演じてることになるのかな、と。
そしたらもう独白でさえ「ハムレット」の
ものになりますよね。というか、
「ハムレット」であろうとする独白?みたいな。
...というかよくよく読むと、
『ハムレット』の独白って結構一般論が多いです。
観客と一緒に情報共有してる感じがします。
だからこそ解説者でもあって欲しいと
思っちゃうのかもです。
あと、根本的に多分ハムレットって芝居大好きだし、
演技するの大好きすぎるんだと思います。
〈ちょっと脱線〉
だから、この『ハムレット』で
「ハムレット」が劇中劇に参加するのは
めっちゃ素敵な演出だと思いました。
クローディアスとしては怖すぎですし笑笑。
あと演じる時に羽織るジャケットの後ろに
"KING"って白抜きで入ってる字を
"This is one Lucianus, nephew to the king."
(これがor僕がルシアーナス、王の甥です)
ってセリフと同時に観客に見せるのでもう爆笑。
しかも劇中劇の王の死ぬ時の叫びに
"O villain, villain, smiling, damned villain!"
(人は微笑んで微笑んで悪党たりうる!)
っていうハムレットが第1幕第5場で
ノートに書き留めたセリフを言ってて、
"あ、ハムレットが付け足した十数行か、上手い"
って思いました。ここはほんとに秀逸。
劇中劇やってる最中に、目線だけで
母親を弄り倒す演技も最高でした。天才かな。
あとオフィーリアの"お膝(lap)"に
寝ていいか聞く時のpの音が最高にウケる。
ほとんどpoみたいな音になってて、
「ハムレット」の演技楽しむにしても
楽しみすぎだろってなりました笑笑
〈脱線終わり〉
まあ、話戻して、こういう、
ちょっと行きすぎなくらい、
「精神が錯乱(第5幕第2場)」するぐらい
演技を全力で、生きる喜び的に楽しむキャラって
俳優さんとしてはかなり楽しいことになりそう...
って素人なりに勝手に思ってるんですけど...。
しかもこの間の『ヘンリー六世Part2』
『リチャード三世』『フランケンシュタイン』で
そういう橋渡し的な演技というか、
まあ言葉悪くていいなら、(よくない笑)
"演技してますよ、演技"?かな。
『フランケンシュタイン』の感想では
"動かしているように見せる"って書いたかと
思うんですが...そういう時が妙に魅力的という、
なんとも不思議な俳優さんなので...。
あとSHERLOCKから思ってるけどBCさん、
とにかく口が回る回る、天晴れなスピードです。
ハムレットの真っ白になりそうな高揚感を、
ちゃんとシェイクスピアのやりたかったような
そんなテンポでやってるように思うし、
そんでもって全力で「ハムレット」の
ユーモア満載のセリフを喋ってるのが
本当に似合うと思います。(さっき書いたように)
観てても分かるけど、お父さんの幽霊に会ってから、
本当に演技がそれまでと別人レベルで
なんか作品にビタっとハマったような感じで
生き生きしてくるのが、特に知識なくても
ちゃんとわかるレベルで似合ってる。
...だからせっかくそんな人キャスティングしたのに、
それを額縁舞台に押し込めてるのが
すごく勿体ないというか...。
しかも押し込めてる割に、
舞台空間が広すぎて間抜けな感じもしなくもない...。
というか、元々の戯曲で完璧だった、
事件の起こる(観客に伝える)順序を
ここまで変える必要があったのか...
とか色々思いました。
独白なんかも観客をシャットアウトされちゃうと、
なんというか、個人としての苦悩に見えるので...。
いやまあ苦悩しててもいいんですけど、
それは「ハムレット」になるためみたいな、
客観的なハムレットの苦悩であってほしい、
みたいな...。そうすると、こっちも共有できて、
ハムレットにも、「ハムレット」にも
余裕を持ってついていけるので...。
単に性格的に苦悩されると、
『ハムレット』の主人公としての
アグレッシブな感じからかけ離れるような...。
そんな感じがしました。
そもそも『ハムレット』の主人公って
性格なんて一貫したのないしね。(ないよね?)
万華鏡みたいに色んな性格になるのも、
ハムレットが「ハムレット」を通して、
色んな性格を状況に応じて演じた結果なのかな、
と今は思ってます。
『ハムレット』が悲劇なら、多分、
ハムレットが演じた「ハムレット」に
めちゃくちゃに振り回された人達の方ですよ。
だって『ハムレット』ってベースは復讐劇だし。
しかも復讐成功してるし。
ある部分では、つまり主役目線では
爽快感があってもは良いと個人的に思います。
その上で、最後にフォーティンブラスが
棚ぼた的に国を盗っていくところに、
まあ不条理な感じが残るのは否めないですけど...。
とりあえずでっかい部分としては
こんな感じですかね。
【以下細々とした箇条書き的なまとめ】
オフィーリアはどうしてカメラ少女?ってのが
最後までイマイチよくわかんなかったです。
もしかすると、尼寺の場面最後の方で
"昔の素晴らしさを知ってるせいで、
今のやばい状態を見るのがマジで辛い"
みたいなこと言ってるので、
まあカメラ(記録)として重ならなくも、
無いことは無いかな、レベルです。
むしろ傍観者兼伝達者のホレイショーが
あのオタクルックで持ってた方が、
割と飲み込みは良かったかと...。
あとは単に、オフィーリア死ぬ前にハケる時、
光の中に天国じみた音楽と共に出てくんですけど、
でっかいトランクケース置いてくんですよね。
で、その中にオフィーリアがすごく大事にしてた
カメラと、写真がいっぱい詰まってるのを見て
王妃が"自殺"じみたものを察知する、
みたいな演出になってて、
思わず"それいるか?"って思いました。
戯曲にある王妃の報告だけで、
充分胸に来るものがありそうなもんだけど...。
あとオフィーリア関連でいえば、
"ハムレット様が気が狂われた!"
ってポローニアスに報告する前に、
オフィーリアとハムレット、傍から見ると
明らかにイチャイチャしながら
ハムレットに赤い兵隊ジャケットを着せてるから
ちょっとこれも意味わかんなかったです。
さっきまで仲良かったじゃん、どうした?
あ、でも狂ったオフィーリアが、
戯曲にあるように卑猥な歌とか
訳わかんないこと言うよりも、
今回みたいに、ハムレットのラブレターとか、
お父さんとかお兄ちゃんとかの
忠告のセリフの断片を繰り返すのは、
リアルなセットと相まって、
すごく"ありそうなこと"として可哀想でした。
あれは素敵だったと思います。
でもそういう"ありそうな"感じを
突き詰めてる演出だったから、
尼寺の場面でハムレットが、
後ろに隠れて聞いてる人達の方向に、
まるで気づいてたみたいに
セリフを吐き捨てて行くんですが、
普通ならあんまり気にならないけど、
今回は"え?ハムレットどこで気づいたん?"
って思わず思ってしまいました。
あとは、ハムレットに対する過剰な演出かな...。
【全体的なまとめ】で書いたみたいに、
"演技してますよ、演技"だけで、
もう十二分に人を笑わせたり驚かせたり
出来る方だと思うので...。実際凄かったし...
...戯曲だと第3幕第2場にあたる、
ローゼンクランツとギルデンスターンと
笛の話をするちょっと前の
"Make you a wholesome answer; my wit's diseased."
(健康な返事なんて出来ないよ、
頭がイッちゃってんだからさあ)
ってときの、"wit's"を発音する時の、
壊れたピエロのおもちゃみたいな、
両手ヒラヒラの寄り目の顔とか
当分忘れなさそうで怖いなあ...。スンッ( ˙꒳˙ )
ただでさえ面白い顔してるのに...。
それにしても謎すぎる兵隊コスチューム...。
いやまあ面白いは面白かったけど...。
でもそれよりもポローニアスとのやり取りの
"Word, word, woooooooord!"
(言葉、コトバ、ことばああああ!)
っていう言い方だったりの方が普通に笑えた。
あと、老人の描写を語りながら、
骸骨の絵を書くのはすごく良かったと思います。
墓場のシーンに繋がってて素敵。
あ、そう言えば墓掘りとハムレット王
やっぱり兼任でした。だよね。ふつうそうだよね。
ビックリしたのは『フランケンシュタイン』の
優しい盲目のおじいちゃんド・ラセー役の
カール・ジョンソンさんだったこと。
何たるニアミス。まあそれはおいといて...
ハムレット王のときに
"O, horrible! O, horrible! most horrible!"
(なんという恐ろしさ!なんという!)
みたいなセリフがあるんですけど、
ここでちょっとニヤッと笑いながら、
声のトーンも余裕があるような感じで
言うのがほんとに良かったです。怖い怖い笑。
悪魔なのか本物かわかんない感じが特に良い。
ハムレットが検証したくなるのも頷けました。
あと墓掘りの時は可愛いね笑笑笑笑。
水筒使って比喩表現したり、骨をマイクにして
歌ってたり、骸骨ぶん投げたり笑笑笑笑。
お茶目なおじいちゃん最強説です。
それにしてもハムレットへの過剰演出で、
兵隊さんごっこもかなり意味不明でした。
いやめっちゃ笑うのは笑うんですが、
そもそも、劇の最初に"城壁の門番"が
提示されてないのに、ここで"城壁"で
遊ばれても関係が意味不明でした。何故?
それよりも近い場面でギルデンスターン、か、
ローゼンクランツが(マジでどっちだこいつら)
"王と王妃に呼びつけられました!"
って白状した時に
(はーい、こいつの言う通りでえす!)
みたいに"という訳でご紹介します"みたいに
手をうざったそうに向けたりとか、
ポローニアスの"歴史的悲劇的〜なんとか"、
に子供みたいに張り合って
対抗するみたいに早口で返したり、
あるいはその後の独白にある、
"Who calls me villain? "
(俺を悪党呼ばわりするのは誰だ?)
っていうセリフとかを
額縁舞台の第四の壁みたいな、
それこそアクリル板みたいな透明な障害を
なんとかかんとか乗り越えて、(すごすぎる)
観客にしっかり目線合わせながら
"言ってみろや( º дº)<ゴルァァァァ殴んぞ"みたいに
ヤクザ丸出し(言い方)で言ったりする方が
よっぽど面白かったです。
(まあでも悪人感は今回はクローディアスの
完全勝利だけどね笑笑。
珍しく同情の余地ゼロでした。)
まあ色々細かいところ指摘してると
ほんとにキリが無くなるんですけど...
とにかく"全力で演技楽しんでる"部分を、
苦悩するとか怒るとか性格劇っぽい部分よりも
もっともっと観たかったな、て感じです。
あとその演技だけで空間が最高な感じのやつ。
ちょっとそれ以外余計な情報が多くて、
ついて行くのが大変でした。
ちなみに独白の中で1番良かったと思ったのは、
休憩すぐあとのフォーティンブラス軍を
見たあとのやつですかね...。
なんか1番力抜けてて聞きやすかったし、
ついて行きやすかったです。なんでだろ。
一息つくのってやっぱ大事なのかな笑笑
あ、でも何故か休憩前に、
ハムレットがイングランドに行くこと決定した後に、
家中のドアがバーンッ!って開いて、
砂利がなだれ込むという謎演出。
あれはなんだ、なんなんだ?
クローディアスが真ん中にいるから余計謎です。
クローディアスにとって、
デンマークにとって、荒廃が外から
(イングランド行きから立ち返ったハムレットから)
もたらされるって暗示なんでしょうか...?
だとしてもちょっと意味不明です。
この砂利のせいで最後のフェンシング?も
違う意味で観ててハラハラしました。
マジで転ばないでね。怪我しそう。
(そしてここでもアクションがスローモーション。
『マトリックス』なのかな?キアヌなの?)
あとガートルード王妃が杯に毒入ってることに
まるで気づいているみたいな演出とかも
イマイチ謎でした...。
王様の"毒が入ってるのに(泣)"っていう傍白も
そのせいかなかったし...。
というか全体的に王妃が残念。
ちょっと天然っぽい感じが、抜けてる感じが
小悪魔的な色気とかになってる人かと思うのに、
なんかそういう抜けてる感がゼロで、微妙です。
多分こんな人だったら夫の弟と、
そもそも、結婚しないんじゃねって感じです。
超良い人になってたのが残念。
ハムレットとの妖しい母息子の愛憎ドロドロ感、
あんまりなくて残念でした。
(そもそもこんなバカでかい舞台で、
母と息子の親密な会話を期待する私の方が
頭おかしかったのかもしれない)
あとあともうほんとにイチャモンでしか、
これはないと思うんですが、
ローゼンクランツとギルデンスターンが
ハムレットのお友達だった感が全然無い。
なんか単なる使者って感じ。何でかな。
戯曲だと同じ学校とかだった気がするけど。
舞台だと確かイングランド?とか、
なんか違う国から来てて、
だからハムレットが彼らを見殺しにしたときの、
なんていうか"うわーお友達なのに?酷くね"感が
あんまり、というか全然ない。
Rosencrantz&Guildenstern Are Dead!
ってなって欲しかったです。
そのぐらいの存在感が欲しかったです。
でもその(元友達ぶち殺した)報告を
ハムレットがホレイショーに
"しゃあないあいつらが悪い"
って感じでした後に、
"Why, what a king is this!"
(なんて酷い王なんだ!)
ってホレイショー返してて、まあ普通に考えれば、
そういう企みを考えて命じたクローディアス、
のことを指してるんでしょうけど、
如何せんハムレットが"KING"って
ジャケットを着ていたことを覚えてるので、
一瞬ハムレットが責められてるみたいに
こっちが思わず錯覚したのが面白かったです。
それにしてもバカでかくてがらんどうで
ちょっと間抜けな印象もたまにあった
そんな舞台セットだったんですけれど、
(しかも休憩後からは砂利まみれ)
最後に嵐の夜の音と共に
フォーティンブラスがドアを開け放って、
颯爽と王位継承権をかっさらっていく時に、
正直1番輝いて見えました。
...確かハムレットの埋葬も
あんまりちゃんと描かれていなかったような...。
鐘とか大砲もなってなくて終わったよね...?
全部の事件が終わって、空っぽになって、
でもハムレットが望んだとおり綺麗になって、
(あらゆる"殺人"に関わった人は全部死んでる)
そんなデンマークに若くてカッコイイ王子が、
大して苦労もせずに?乗り込んできて、
王位を奪っていく、っていうのが、
考えるとすごく不条理なので、
初めてこの拍子抜けするぐらい豪華で、
間抜けになるぐらい広くて、
しかもヒビが入って荒廃してる舞台が、
その不条理な感じとマッチしてるように思いました。
舞台もブルーを基調としてて、確か
フォーティンブラスの衣裳もブルーっぽかったし。
...こうなってくると、ハムレットの
復讐劇の方はやっぱり爽やかな方が
落差的に絶対にいいとは思うんですけど...。
まあ...せっかく大スター使ってるから、
最初っからそのスター見たい!
どうせなら色んなことしてるの見たい!
っていうエンタメ性とバランスとった、
ってことだったんですかね...。分からん...。
そんな事しなくても元の戯曲で、
しかも多分セットも控えめな抽象舞台で
充分素敵な演技されたとは思うんですが...。
...なんか、モヤッとする...。( -᷄ ω -᷅ )ヌゥ…
あ、あと正直に言うと
こっち(広告)のが観たい笑笑笑笑笑笑笑笑。
めっちゃ観たいこれ、結構ガチで。
こうなってくると、つまり
ビジュアルにあるみたいに子役の方が
『ハムレット』をやるってなると、
あのバカでかい舞台とか、
王宮の室内で行われてるのが強い印象とか
ハムレットへの過剰演出も(兵隊さんごっこ)
めっちゃ効いてきそうに個人的に思いました。
...ほら、例えば動きの主体(ムーバー)は
子役の方がやられて、そんでもって、
同じ舞台上で語り手(スピーカー)として、
語り上手な大人の俳優陣が声を当てる...みたいな。
なかなか色々制限も出てきそうだけど、
こうなってくるとあの舞台の
デカすぎる感じとかどうにかなる...のかな...
残酷さもかなり増しそうだけど...。
まあ、素人の妄想なんで気にしないで...。
でもいつか観てみたいかも...
子供だけの『ハムレット』...
あとは"fat"なハムレット...。
確か今回ガートルードの
"He's fat, and scant of breath."
(あの子は太ってますからね。息が切れてるわ)
っていうのの"fat"がなかった気が...たしか...
自信なくなってきたけど...聞こえなかった気が...
...まあ流石にBCさんとっ捕まえて、
"fat"は無理しかない...と思うので、
なかったとは思うんですけど...
観てみたい...やっぱり観てみたい...
サイモン・ラッセル・ビールさんとかやられた、
体格のいいハムレットが観てみたい...。
てかビールさんの過去のあのハムレット観たい...。
ロリー・キニアさんでもむしろ観たい...。
なんならBCさんがお腹でも出てきたあたりにでも
もう1回やってNTLiveで流してさえくれれば
全然それで満足なんですけど、
(あ、年齢的にどうかな...『ハムレット』って
実際何歳ぐらいまでやれるもんなんだろ...)
なんか気軽にこんなこと言うと
全国各地ののファンの方から
首締められてつるし上げられそうなので、
ここに書くだけに留めておきます笑笑。
でも、多分アンコールやったらもう1回ぐらいは
観に行くかなこの『ハムレット』。
演出はツッコミどころ満載だけれど、
BCさんのハムレットはやっぱり
すごく魅力的だと思いました。
...このぐらい"喋り倒せる"と
どうしても"道化とか観たいなあ"、ってなるけど、
多分身長とかスタイル的にアウトなのが、
めちゃくちゃ残念というかなんというか...。
いやでもあの変なバランスの身体なら、
ワンチャンあるのか...?
さっきから失礼にも程がありますね。すんません。
でも、とりあえずはまあ
ローレンス・オリヴィエとか
ケネス・ブラナーさんの『ハムレット』、
フル観たことないので...
(書いてて改めてやべえと思った)
...うん、観よう。まずはそれだわ。
ちなみに今のとこ、一番好きな『ハムレット』は
これです。ハムレット及び舞台全部が
異常な狂熱に浮かれてるのが最高だった。
これを思い出す度に『ハムレット』って
難しい事考える前に演技を楽しむ劇で、
あとやっぱり復讐劇なんだな、って思います。
monsa-sm.hatenablog.com