感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

『トゥーランドット』

2020/04/20
新国立劇場 巣ごもりシアター
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巣ごもりシアター第二弾!
そろそろオペラにも慣れてきた...かもです。
昨日の夜観たんですけど、
"誰も寝てはならぬ"のアリアって
トゥーランドット』のやつだったんですね。
全然知らなかった。ひとつ賢く?なりました。
まあその後ガッツリ6時間ぐらい寝ましたが笑。

今回は、この間の『魔笛』に比べて
かなりストレートプレイ的なオペラだったから、
そっちに慣れてる身としては
かなり観やすかったです。
ここ何日かでミュージカルとかも観て
慣れたのもあるかもだけど、
この間の『魔笛』よりは楽しめました。

それにしてもまさか、
タイトルロールのトゥーランドット
Act.1で一切喋んないとは驚きました。
途中まで私、女奴隷のリューが主役かな?って
思ってたもん...。いやこれほんとに。

でも、これは衣装の関係(せい)もあります。

「生首のような月、青ざめた顔」

っていう歌詞が結構冒頭にあったんですが
(ほんとは多分原文載せるべきですが
英仏ならまだしも伊は
マジで宇宙語レベルで分かりません)
この歌詞が舞台セットのカラーベースに
なっていました。話の内容が内容なので、
ダークトーンで揃えて、所々に綺麗な青色、
例外的に王家関係者だけが輝かんばかりの白で
揃えていましたが、照明がブルーベースなので、
全体的にはどんより青い感じです。重い印象。
元々、中国が舞台なのは知っていたので、
もっと東洋趣味全開の赤とか金とか、
なんかとんでもない派手派手の装飾だらけ
かと思っていたら、そうでもなかったです。
で、そんな陰鬱な色合いの中で
"愛の炎"を身の内に焦がすリューだけが、
1人だけ真っ赤な服を着てたので、
めちゃくちゃ目立つ目立つ!
ぶっちゃけAct.1とAct.3の一部に関しては
リューが主役でいいと思います。(暴論)
リューが自害した時のティムールの

「お前について行こう。朝の無い夜に横たわろう」

って歌詞も個人的に結構好きです。泣いちゃう。

オペラはこの間の『魔笛』含めて
オンラインで二作しか観ていないので
ぼんやりとしか言えないんですが
それでも、この『トゥーランドット』の演出
かなり攻めてるやつなんじゃないかと思います。

まず、最初にトゥーランドット
女性として、また人間としての
尊厳に関することでの幼い頃のトラウマを
場面として提示して、
トゥーランドットの現在の残酷さに、
最初から論理的理由付けをしていました。
これに関しては後の歌で
トゥーランドット自身が説明するので、
別に要らないかなぁって
最初思ったんですけれど、
後の場面を観て、首尾一貫性をもたせるなら
必要だなと思いました。

というのも、見事謎を3つ解いて
トゥーランドットに愛を告げる
王子カラフの目が、トゥーランドット
本当に心から愛しているっていうよりは、
普通だったら手に入らないものを
プライドとして手に入れたいっていう野望や、
それこそもっと明け透けに肉欲とかしか
表現していなくて(恐らく意図的に)
ただでさえ、女性だったら、え...ってなるし
しかも最初の場面があることで
トゥーランドットがトラウマを抱えているのは
明らかなので、頑なに拒否る彼女に
"いや、あれは怖いよ、分かる"って
共感しやすくなっていました。
まぁだからといって人を殺しまくるのは
ダメだけどね笑。

また、最後に王子に屈したかと思われた
トゥーランドットが、自決してしまうのも
彼女にそういう首尾一貫した思考や主張を
持たせたかったからなんだと思います。
新国立劇場のあらすじには

「心を開いたトゥーランドットは、
カラフの名を「愛」であると叫ぶ。」

なんて書いてあるので、この最後の自決は
独自の演出だと考えられます。
確かに「愛」であるとは言っているのですが
なんかもう超嫌々というか、
苦虫を噛み潰したようというか、
なんかそんな感じでした。
歌劇って気持ちのアップダウンが激しくて
時々ちょっとついていけない...
ってなっていたので、このくらい
筋が一本明確に通っていたのも
観やすかった理由だと思います。
(まあ他を知らないので想像ですが。)
私は、好きな演出でした。

ただ、壁一面に、下から上まで北京の民衆が
セットの階段にずらっと並んでる様子は
確かにもの凄く壮観ではあるんですが、
そのおびただしい人数のコーラス隊が
最初は全部ステージに直でいるので、
最高でも20人ぐらいの舞台に
慣れている身としては、面食らったのと
ちょっと人多すぎて、もしこれ生で観ていたら、
最初は一体どこに焦点を当てていいか
良くわからなかっただろうな、と思いました。

ただそれはそれで確かに
アジアのごちゃごちゃとした都市感は出てたので
もっと広いスペースの舞台だったらいんじゃね?
とは簡単には言えなそうです。
オペラだとこのくらいの人数は
普通なんですかね...。
まだまだ勉強不足で辛い。頑張ろう。