感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

申し訳ないけどこの下ネタでは笑えない『完全版マハーバーラタ』「愛の章」

2021/08/21

なかのzeroホール

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初めて来ました。意外と近かった。

 

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タイトルで察してね!!

通し券買ったけどギブアップして「嵐の章」は観てません!!

 

観に行ってきました。もうぶっちゃけると、とことん好みじゃなかったです。

ダンサーさんたちのレベルは激高でつまんなくはなかったんですが、なんかもうしんどい。観ているだけでしんどい。眠れないぐらいダルい。

 

そしてついにやってしまいました。観劇途中で帰るということを。なんてこった。

 

3年くらいしか観劇してないやつが何いっちょ前に見切りつけてんだよ!?

 

と頭の中のマイエンジェルが諭してくれたんですが(深夜テンション)、メンタル崩壊しそうだったので緊急措置として許してください…。ごめんなさい…。

あと正直、観客席のおしゃべりは多いし、手指消毒は任意っぽいし、何より冒頭で「PCR検査で陰性だったからー!!!」って狂言回しの3人が、マスクもしないで観客席の通路使って登場しながらわいわいしていたのに、正直ちょっと「えッ…」っとなってしまった。他人に感染させるリスクは少ないかもしれないけど、PCR検査陰性って、「感染していないことの証明」としては、うーん、って感じじゃなかったっけ??あれ??

 

 

 

 

公式のあれやこれや

mb2020.info

 

youtu.be

 


正直ショックでほとんど覚えていないのでオブラートに包めないまま垂れ流します。

ここから下は読むの気を付けてね!!!

 

上品じゃない下ネタ

シェイクスピア系とか神話系とかで下ネタ耐性だけは強い私です。もはや麻痺に近い(笑)。

でもなんか冒頭から許せないタイプの下ネタが出てきてしまって一気に心が離れてしまいました。

しかもそれが恐らく創作部分狂言回し的三人衆)だったから余計にタチが悪いと思ってしまって...。

歌舞伎とか神話とかで男尊女卑出てきてもキレたりはしないけど、現代の人が作ったと思しき創作部分には現代の視点からキレてもいいよね!?

 

 「神様だからさー、ヤってもすぐ処女に戻るんだよ!」

 

的なくだけた説明は「まあ」いいとしても、その後のジェスチャーと単語の組み合わせがアウトすぎる。

 

「処女!ヤリマン!処女!ヤリマン!」

 

ってたしか繰り返すんですけど、なんとこのヤリマンの所で、「お腹が大きくなっている」ってジェスチャーを、よりによって男性俳優がやるんですよね?

 

おっと妊娠してるやつ=ヤリマンって言いてえのか?

よっしゃ表出ろやง'ω')ڡ≡)`Д゚);、;'.・”

 

みたいな感じになってしまいました。私悪くないよね。

というか、別にここまで差別的ではないけどかなり際どい表現(舞台上でまぐわったり)あったけど、これ年齢制限かけた方が流石に良くないか??

なんか観客席の方に結構小さい子もいたぞ??声とか聞こえたし。

 

あと、なんか冒頭の物語部分に、王様が超絶美女に惚れ込む!みたいな話があるんですけど、その美女の表現が面白いと言えば面白いんだけど、ちょっとうーん、というか。

 

なんか、長い棒の先に、超ナイスバディの女性のマネキンがついていて、赤色の薄い夜着?みたいなのを着ていて、その棒をダンサーの1人がもって、ぐるぐる舞台上を滑るように動かすと、王様が餌につられたように、フラフラその後を追う、っていうのは、まあちょっと面白いかな、とは思ったんですが、その女性のマネキン、少なくとも「顔」と「足」がなくて(手はちょっと袖が長くて見えず)

 

「肉体」しか目当てじゃないのは百歩譲って分かるが「足」が切り取ったみたいに存在しないのはやべぇよ...。個としての自由を完全に奪われてるというか、実際のところは知らないけど、とにかく「奪いたい」みたいな演出する人の欲望みたいなのが透けて見えるように感じてしまって...。

棒を動かすのに軽量化図ったのかもしれないけどだったらその青年漫画みたいな胸の詰め物取ればいいじゃんか...。

うーん無理気持ち悪い...。

 

そもそもさあ、多言語上演(状況説明の字幕はあるけど、基本的にセリフに字幕はない)はまあたまに観る手法だし、このコロナ禍でよくやったなあ、とそこはすごいなーと思うんですけど、冒頭の狂言回し三人衆のうち、日本語で喋る男性2人、恐らくタイ語(あと英語)で喋る女性1人っていう内訳もなんか...うん...必然的にタイ語で喋る女性の喋っている内容だけ、日本人が多い観客席に「伝わりにくい」状態になっていて...。

 

いやこれ完全に現代社会が男女平等ならこの演出なんも問題ないと思うんですけど、実際問題女性の方の「声」とか「内容」が社会に「伝わりにくい(伝わらない)」状態で、こういう風な演出を、あまり批判的な目線とかを感じない形でやってしまうのに(「分かろうとしなくても身体の動きを見ればいい」とか言ってたけど...)、酷く抵抗感を感じてしまって、もう開始30分辺りからこのフルコンボで、サアーッと気持ちが冷めてしまいました。

 

こんな状態で、神話にありがちな色恋のアレコレをくだけた調子でおちょくったセリフ聞いても笑えるわけないよね。これはほんとに笑えない。無自覚そうなのが怖い。

最初で気持ちが死んでしまったので、ギャグ感とかある演出も、なんだか内輪ノリみたいな感じにしか見えなくて、観ていてどんどん気持ちが冷めてしまいました。しんどいし疲れる。

 

沖縄と能楽は一体なんの関係が?

多言語上演なのはいいんですけど、字幕はちゃんと付けた方が良かったと思います。

ただでさえ、能楽関係...かなり狂言っぽかったけど...かと思われる俳優さん以外なんか日本語すらモワッとしていて、聞き取りづらく、頭の中でゲシュタルト崩壊しました。

 

それが狙いならそれでもいいんですが。

 

でもコンテンポラリーダンスとかとんがった演劇みたいに「分かる」「分ける」ようなことを拒絶するような内容だったら別にいいかもしれないけれど、少なくとも「あらすじ」としてまとめられるぐらいはしっかり物語としてあるんだよね??

 

とてもじゃないけどマハーバーラタの付け焼き刃の知識しかない私は途中から物語が追えなくなりました。

しかも、話が複雑だから追えなくなったんじゃなくて、登場人物名とそれを演じているダンサー・俳優の対応が訳が分からなくなったから。

状況説明の字幕はものすごい速さで流れていくし。普通に読めないが??

 

抽象的なものを抽象的に演出するのは別にいいとは思うんですけど、具体的なものを変に分かりづらい状態で提供するのはどうなのかな...と思いました。

対立するものどうしの衣裳に同じ差し色を使ったりとかね...。確かにルーツは同じ一族かもしれないけど、分ける時はスパッと分けようよ...。

 

完全に好みの問題だけどね!!

 

あと、琉球の方の言葉はなんで突っ込んできたんだろう。

もはやインドというより、沖縄感が満載でした。

 

というかインド出身のダンサー・俳優さんいたんですかね??

インド出身者がいないのに「完全版」と名乗るな、とは言いませんけど、にしてもなんでこんなに沖縄をゴリ押しにするんだ??謎。

 

それと能楽の使い方が、「単になんか日本古典ぽくてカッコイイから使ってる」感がすごくあって、能楽好きとしてはかなり嫌な感じでした。(というわけで以下キレます)

インドっぽい音楽と、ラップみたいなセリフと、鼓とか能管を合わせて演奏した「合理的な」理由を教えてくれ。

「カオスにしたかったから」なんてのは許さない。それはほとんど冒涜だよ。

 

伝統をアップデートとして取り入れるのは素敵な試みだし、どんどんチャレンジすべきだとは思うけれど、伝統の「背景」「意味」までしっかり考慮した上でどうぞチャレンジしてください。それぞれの国の歴史とかアイデンティティにかかわってくる繊細な部分なので。

 

なんか音響がすごいイマイチ(私だけ?)

ホールの響き自体はかなりいいと思ったんですが、なんか、マイク通した音とか、録音された音が全部下手側から聞こえてくるような気がして、ラップっぽい部分とか、アップテンポで激しい音楽の時、かなり左耳が疲れました。

 

鼓とか、上手側で生演奏してるはずなのに、マイク通してるから下手から聞こえる気がしたし。

 

パニックになるし、病は気からで左耳は痛くなるしで散々。(言い過ぎ)

 

まとめの感想

ダンスのレベルはすごい高かったです!

たぶん!観てておおーってなったから!

 

あとアルジュナ役の方、すごいイケメン!褐色&ハーフアップの王道は反則!!

ベースが白い衣裳なのでめちゃ映えます。手足なっが...。あと宦官演じてる時のやわらかい感じも素敵な感じ。ギャップ萌え。

 

でもなんか、場面場面の演出は普通にいい部分もあるし、つまらなくないけど、全体通して面白い!と言い切るにはカオスで、カオス過ぎて逆にヤバいと言うには、整然としすぎているし、下品な部分と上品な部分が気持ち悪いバランスで配置されてて、とにかく好みじゃなかったです。

 

あとごめん、狂言回し三人衆、ちょっとウザイごめんほんと。邪魔。集中がブツブツ切れる。狂言回しなら回してまじで。

 

文化のるつぼと言えば聞こえはいいかもしれないけど、どっちかと言うとごちゃごちゃしてた感が拭えない。

 

いっそ超絶下品でかつスピード感満載、全編ラップで踊り続ける、ついてこられない観客は容赦なく振り落としてバカにしてかかる、ぐらいの吹っ切りが観たかったです。

【追記】

両家、ラップでバトルするとかならまだ面白そうかな、と思ったり。そうしたら日本語も意味より音とか韻を重視するから、多言語カオスでもかなり楽しかったかも。

 

いやー合わない演劇を観るとここまで疲れるかってぐらい疲れました。

基本的にチラシ見て気になったら値段見て、行けそうなら行くみたいな選び方で演劇観に行ってるのでたまにはあるよねこういうこと!!

 

帰ったのはマジでごめん!!

「嵐の章」まで観てたらメンタル崩壊する!!

 

 

そんなこんなでこれからオペラ観に行ってきます。新国立劇場で。

相変わらず観るジャンルが錯綜してます。でも演出監修に小川さんの名前があったから...。

 

夏休みは忙しい...感染対策を鬼のようにしながら頑張ります...。