感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

Julius Caesar『ジュリアス・シーザー』

2020/08/09
シネ・リーブル池袋
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どんどん観た日と感想あげる日が
ズレてきていますが、もう気にしない!笑。

とにかく私が観た日はなんとなんと満席でした。
連日連日、日向坂のやつばっか満席なので、
"NTLive快挙や!"って謎に興奮しました。
はやっぱり混むんですかね...。
フランケンシュタイン』は平日にしよう...。

演出はこの間『夏の夜の夢』も観た(Youtube
ニコラス・ハイトナーさん。
なんと劇場も同じブリッジ・シアター。
冒頭の記者さんが

"『ヤング・マルクス』やったとこですー"

って喋っててビビりました。嘘だろ。
自由度が高すぎにも程があります。
どうすれば額縁舞台囲み舞台になるんだ?!


まあ劇場のすったもんだはわかんないので
脇に置いておくことにします笑。
今回もイマーシブな感じで楽しい演出でした。

だって最初っからロックフェスだもんね...。
謎に歌もギターも上手いね...。
もう開いた口が塞がらない...。
海外でシェイクスピアやるとき、
ほとんどが現代化してやるらしいけど、
群を抜きすぎな気もします笑。
ただ、ちょっと迷信深いような、
セリフがいっぱい出てくる(星占いとか)
ので、ちょっとそこはちぐはぐ感が
なくはなかったかなって感じです。
ほんと最初だけですけどね。

それにしてもシーザー凱旋の
お祝いロックフェスってどんな発想笑笑。

何気にビールとかコーラとかの売店の看板あるし。
細かい笑笑笑笑。無駄なとこが細かい笑笑笑。

歌詞にも

"Tonight I'm a rock'n'roll star!!"
(今夜俺はロックンロールスターだぜ!)

みたいなのあるぐらいロックフェスでした。
聞き間違いでないなら『ロッキー』のテーマも
流れていたような気がします。
あんまり音楽詳しくないけど、
ちょっと演劇ってこと忘れるレベルで
ガチもんのロックフェスでした。
いやロックフェスがどんなんかは知らんけど。

マーク・アントニーもノリノリで参戦してて

(ジャージの後ろに、黒地に赤字で
MARK ANTONYって書いてて吹きました。
カンバーバッチの『ハムレット』でも
KINGって書いてたの思い出して)

(ちなみにシーザーは赤帽子に白字で"Caesar"
もはやトランプのMAGA帽子にしか見えない。
狙ってるんだとしたら最高)

おっさんが、ひゃっほうしてました。(言い方)
マララスとフレヴィアスは
このライブを止める形で登場してきて
めっちゃなめらかに劇に移ったので、
"げえ、上手すぎかよ"って思いました。

みんなで十分にロックフェス楽しんだので、
言わずもがなピットの観客は
"Citizens of Romeローマ市民)"として
巻き込まれる形で、政治劇として上手い構造。

(ただそのこと以外、囲み舞台である必要さが
なんとなく『夏の夜の夢』ほど感じられず...。
『夏の夜の夢』が個人的に満点超だったので、
あれ観たあとだから"もうちょっと!"って
なったのかもしれません)

あ、あとイマーシブといえば、
第3幕以降の戦場を超絶眩しいストロボを
ピットに向けて縦横無尽に照射して、
爆音を合わせて流すのは、臨場感が凄いです。
ほんとに近くで爆弾が爆発してそう。怖。

あとびっくりした演出はブルータスの妻の
ポーシャの傷がリスカになってたことかな。
戯曲からだと

"こんな痛みにも耐えられるんだから、
あなたの秘密くらいちゃんと守れるから
話してよ!"

って事を証明するためにちょっと切る、
みたいな強い女性っぽくうつってたんですが、
両腕に大量のリスカ跡にするのはヤバすぎる。
身体だけじゃくて、精神も病的すぎます。
ブルータスも頭抱えちゃってるし。
でもこの演出があったので、
後半にブルータスが(たぶん第4幕)
"悪い知らせがあって..."
って言った時に、なんとなく
"あ、奥さんじゃね"と察しがつくので、
そういう意味ではリアリティ満載でした。

あとブルータスとアントニー以外の演出で
好きだったのは最後かなあ。
オクタヴィアヌスが舞台真ん中にたって、
スポットライト浴びながら燦然と立つのが、
アントニークレオパトラ』に繋がりそうで
めっちゃカッコよかったと思います。

あ、それとシーザーを何とか連れ出そうとする
ディーシアスがなかなか
チャーミングな女秘書って感じで嫌いじゃない。
アメリカのコメディ映画にいるよね。
あんな感じのちょっとエロくて
計算高そうな美女。(言い方)

それに若干誘惑されかけてるシーザーが
気のいいおっちゃんって感じで憎めん笑。
(奥さん若干睨んでたし笑)
優柔不断な愛されキャラ感もあって、
慕われるのも分かります。
(指導者としてはどうなんだろう...)

でも拳銃ぶっぱなされて死ぬ時、

"Et tu, Brute! Then fall, Caesar."

(お前もか、ブルータス。ならば死ね、シーザー)

って手を広げて椅子にふんぞり返って、
死んでいく時の表情は、カッコよかったです。
絶望と驚きと諦めの中で、まだ
威厳を保ってる、みたいなのが凄かった。

こうやってみると、なんか
微妙にニュアンスが違うんですけど、
ブルータスが小物に見えます。
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こんなインテリっぽいブルータス、
観たことない。しかも、若いし。
インテリっぽいブルータスだから、
よりハムレット感が増してました。
ただでさえ、キャラ的に、あと創作年代的に
個人的には似てるキャラだと思ってたので。
頭でっかちな優秀さと若さによる純粋さ、
みたいなものが、政治家的には割とアウト、
みたいな意味での"小物"って感じがします。

アントニーのことも殺さないしね。
本来はアントニーみたいに兄弟だろうと
殺すべきなんだけど)

しかもシーザー役のデビッド・モリッシーさん、
アントニー役のデビッド・コールダーさん、
どっちも体格良くて、声も響きが深いので、
対して、痩せてる陣営の
ベン・ウィショーさんのブルータス、
ミシェル・フェアリーさんのキャシアスは

(ちなみにキャシアスは女性になってました。
悪くは無いとは思うけど、こうなると
第4幕の言い合いは肉弾戦のコミカルさは
全然なくなって、よりシリアスになる)

声がめっちゃ響くって訳では無いので...。
声が良いだけで話って聞く気になるし!
清少納言も言ってるし!

あからさまなのが演説のシーンですね。
マイクの有無がすごく有効に働いてます。
ブルータスは全てマイク越しだったけど
アントニーの演説は、ない方が多い。
いかにも感極まってる感じがするし、
その状態でもよく響く響く。イケボかよ。
いかにブルータスの演説より情に訴えかけるか、
身をもって実感しました。
イマーシブ最高ですね。
こりゃアントニーの方に1票あるわって
思わず思ったもん。

でも多分あれ、ベン・ウィショーさん
前半あえて声を抑えてたような気もします。
後半の戦場シーンだと、あと激怒シーンとか、
そういうところの声はめっちゃ綺麗に
カッコよく響いてたので...。

こうなると

ブルータス(痩せてる、まだ若そう)
ちょっとインテリっぽい小物→
色々経験して大物になって死ぬ

アントニー(割とfatで体格よし、中年)
なんか演説うまい良い人という大物→
計算高い政治的な判断がうまい人
(善悪的な意味での小物)

っていうクロスが上手く
出てるような気がしたのは私だけかなあ...。

あ、でもでも正直1番好きなのは、
詩人のシナが、謀反人と名前が同じってだけで
暴徒にやり込められる場面があるんですが、
それを舞台じゃなくてピットでやられると
すごく生々しく痛々しくて、
暴動の無理性な感じや無秩序さが、
生の感覚として観客に伝わってきて、
扇動された民衆の怖さみたいなのが感じられて
短いけどショッキングでよく覚えてます。
日本じゃあんまりないけどね。こういうの。
カメラワークとして観客の視点ショットが
入っていたからカメラマンさんが天才かよ。

...とりあえずこんなもんかしら...。
今日は『ヘンリー六世Part1』観てくるよ!
学生の特権だよね!もうね!
心做しか大学生がうちしかいないような
そんな気もするけどきっと気の所為だよね!

昨日観た『ヘンリー五世』の演出が、
話としては『嘆きの王冠』の中で
1番好きじゃないのに、1番映画らしい上に
カッコよすぎで逆ギレしたけど(理不尽)
その感想はまた明日....( ´ ▽ ` )
どんどん溜まるので忘れないうちに
頑張りたいと思います。