感想日記

演劇多めの日々の記録的なあれ。基本的にふざけてるしネタバレしまくり。気まぐれで映画、ドラマも。誤字脱字、タグ付けは頑張れたらやる...。あと英語に関しては信用しないでください(目下ゆっくり勉強中)。

The Lehman Trilogy『リーマン・トリロジー』

2020/08/31
シネ・リーブル池袋
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monsa-sm.hatenablog.com



過去の記事に、今より遥かに酷い
文章力、構成力
は無視するとして(切実に)
あらかたまとめてはいるけど、また書くよ...!!

今日はちょっとかっこよく始めたいと思います!
(書いてる段階でプラマイゼロな気もする)

"Truth is like a poetry.
And most people fucking hate poetry.
―Overheard at a Washington,D.C. bar
"
(真実は詩に似ている。
そして大抵の人は詩が大嫌いだ。
―ワシントンのバーで耳にした言葉)

映画『マネー・ショート』にあったやつです。
(この映画は、超適当にざっくりまとめると、
2008年の大混乱の裏側で上手く儲けた人達の話。
ほとんど実話らしくてかなり面白い。)
他にもマーク・トウェインとか村上春樹とか
そうそうたる面々の引用があったけど、
誰が言ったかも分からないこれが1番残った...。

日本語と英語での「真実」の意味範囲が
微妙に違うのでなんとも説明しづらいけど、
Fact(事実)を並べていくと
だんだんTruth(真実)になるような気がするので、
そういうふうに考えると、前にも観た
三人称で語られる『リーマン・トリロジー』が
ちょっと思い出されて、ビックリしました。
この『リーマン・トリロジー』も叙事詩だし...。

ほんとに壮大な話なはずなのに、
ものすごくコンパクトにまとまってるのがすごい...。

冒頭の2008年のウォール街のお片付けシーンを
(ちなみに当時?っぽいニュース音声付き)
除いていいんだとしたら、
最初のセリフって、ヘンリー(ビールさん)の

"He had been dreaming of America."
(彼はアメリカをずっと夢見てた)

で始まるんですけど、全てが終わった最後に
舞台上に響くセリフも、ビールさんの

"Dreaming of America"

なので"うわ、ほんとに壮大な詩だ"って
ちょっとゾッとしました。なんかすごい。

まあ、それ以外にもリフレインするセリフとか、
句読点のリズムとかでも韻文感があって、
聞いててものすごく面白いです。

"Henry smiled, Emanuel smiled, Mayer smiled."
※もしかしたら現在形だった...かも?自信ない。
(ヘンリーが笑った、エマニュエルも笑った、
マイヤーも笑った)

こんな感じでトン、トン、トン、と、なんていうか
英語の韻文でよく二行連句とかでリズムとるけど、
なんかそんな感じの締め方で
とにかくすごく韻文なんです(語彙力死んでる)

あ、二行連句ってあれですなんか、

“...(いっぱいブランク・ヴァースがあるけど略)
The time is out of joint: O cursed spite,
That ever I was born to set it right!”

こんな感じに最後の2行だけ、例えば
このハムレットの"この世のタガが〜"の
第1幕第5場のセリフで言うなら、
spiteright押韻してる、ってヤツ、です。
(なんかこの間の『ハムレット』の記事でも
ここに言及したような...(-ω-;)アレ?)
最後だけHey!Hey!ってノリノリになるヤツです。(表現)

『リーマン・トリロジー』も
普通に散文?多分散文で喋ってたら、
突然日本人にもわかるレベルで
こんな感じで繰り返したりするので
なんか聞いててコレ思い出しました。

...かっけえ(いつにましても死んでる語彙力)

あとはとにかくピアノ音楽の役割が大きいです。
コミカルでテンポがいいのに、
どっか調子っぱずれな不安な音階だったり、
舞台を引っ張っていくかのような
推進力のある滑らかさだったり、
ほんとに"The forth character(4人目の語り手)"
として歌ってるピアノが素敵でした。
ピアノなかったら多分魅力半減だよ...。

それにしてもこの前観た時、
"衣裳カッコイイなー"とは思ってたんですが、
3人ともタイとかが微妙に違ってるのに
今回初めて気づいて"可愛い笑"ってなりました。
アイドルの衣裳的なあれですかね(絶対違う)
みんな微妙に違うよね、アイドルも。

でも、ずっと喪服みたいな黒い正装なのは
もちろんいっぱい葬式の場面はあるし、
(なんてったって150年分の人がでてくる)
「伝統」の代表として、その「葬式」を取り上げて、
それが、だんだん現代になると
失われていく様子を描くためでもあるんだろうけど、

セリフの中に何回も出てくる、

DestroyRebuild(破壊と再構築)

の印象も個人的に結構強かったです。

経済とか、ほんっっっとに疎いんですけど、
多分経済って「破壊と再構築」の繰り返しですよね?
なんていうか、色んな屍を乗り越えてる感?

うーん、観てる最中に書いてたメモにある、
衝動的な言葉で良いならこんなんかな...

"本質的に、常に何かを破壊して
作り直していくの経済活動なのか
ラベルを張り替えるみたいに、
リーマンの看板を変えていくみたいに"

改めて読むと、ちょっと恥ずい...
(観てる最中はどうしても時間ないから
抽象的になるのが辛い。後で読んでも、
なんかふんわりとしか分からない)

まあでもなんかそういう経済の話を、
しかも失敗した経済の話を描いているので、
当たり前だけど破壊された方に重点があって、
それで喪服みたいな衣裳だったのかな、
となんとなく思いました。

あ、そういえば見立て芝居で
よく"箱の積み重ね"とかを使ってたけれど、
あれも「破壊と再構築」の象徴ですよね。
(ちなみに『マネー・ショート』には
ジェンガ?で住宅市場を説明する場面が...。
色々重なる部分があって面白いこの2作品)

ちなみに「リーマンの看板を変えていく」
っていうメモにある謎の言葉は、
多分、時代を経るごとに、
リーマン兄弟の会社の看板が変わったからです。

"We have to change a sign."
(看板を変えなきゃ)

みたいたセリフが所々何回もでてきます。

しかも、ウォール街に拠点移してから、
つまり、実物のやり取りじゃなくて、

"There's nothing there."
(なんにもない)

のに「綿」とか「コーヒー」とかの"words"で
利益が生み出されるようになってから、
この「看板の名前を変える」ことも
単なる言葉遊び化してきて空虚になってくのが、
ものすごく悲しい感じがしました。

(つまるところ経済に実体はないってことかな。
このことを見抜くかのような、妙な異常さと
緊張が、綱渡りの形で表現されてました。
"Men walk on air."、人間が空中を歩く。
多分足元も覚束無い不安定さとかも
あるような気がします。)

少なくとも第1幕での「看板の変更」は
確かな意味を持っていたことを観ているので
なんというかギャップで虚しかったです。

ただ、同時に、途中からはそういう「空虚な言葉」で
透明なガラスみたいな壁に書かれた文字が、
(何回かホワイトボードみたいに
消す演出もあるけど、完全には消えない。)
ちゃんと跡として残っているのも、
素晴らしすぎて..._( _´ω`)_

透明な壁に文字が透けて
どの角度からでも全部が見えるんですよ...。
どんなに時代が下っても、
消しても消しきれない「跡」として残った
確かに先人たちが積み重ねてきた事実って感じで。

最高すぎます...尊い...。

すごく立体的なセットなんですけど、
(回転するし。過去記事に写真あります。)
透明だから角度によっては
全く壁なんかなくてものすごく平面的に見えたり、
とにかく表情が変わるセットなので、
ほんとに綺麗です...。最高...。

立体的なはずなのに平面的に見えるって、
これもなんか歴史のイメージとしてある気が...。
色んな凸凹した事実を、いい感じに、平坦にして
1つの真実にまとめてるって言うか...。

なにが言いたいかと言うと、もう
セットも音楽も脚本も演出も俳優さんも
ぜーーーんぶ完璧すぎて最高です!


しかもたった3人だけで、
全ての役を演じられてるんですけど、

(ほんとに全員別人みたい。
ビールさんのフィリップの早口芸、
ゴドリーさんの花嫁を5~6人1人で演じる凄技、
あと、ラジオのノイズ音とか赤ちゃん声とかも。
マイルズさんの黙ってるのに子供に見える演技なんかも
ほんとに見ものです。あとアメリカンな英語も笑)

俳優さんをを通して、時代を超えた人物(役)が
意味深にダブって見えるようになってるんですよ!
似たような状況における役割が一緒だったり!
こうなってくると全て定められてたかのような、
(日本風に言えば輪廻転生的な?ちょい違うけど)
そんな超自然的な感じ、宿命的な感じが出てきて最高です。

経済の神話を描いてる物語でもあるので。

詳しく細かくは、過去の方の記事にあるんですけど、
お金とか経済って"信じる"事が全てなので、
そういう意味では宗教と変わんないと思います。

世界恐慌の時の最初の自殺者のテディが
(たしかベン・マイルズさん)

"What if everyone stops believing!?"
(みんなが信じるのやめたらどうすんだ!)

って叫んでますけど、そうなったら、
ほんとに崩壊しかないです。

その後に続く自殺のシーンは震撼ものというか。
"Money is a ghost."って同じ場面であるけれど、
本当にそういう実体のないものが、
実体のないただの数字の羅列が、
ここまで人を追い詰めることにショックを受けます。
そういう実体がないものが、
テディとかピートとかマイクとか
そういう具体的な個人を次々追い詰めていくことを
数字の羅列と名前の羅列だけで象徴するって...。
もう最高すぎて最高しかいえないこの戯曲...。

ところで、最後、この最高な舞台が反時計回りに回って、
リーマン・ブラザーズのオフィスで、
破産を告げる1本の電話が鳴って終わるんですけれど、
その瞬間に正面向いて舞台が止まるんですよね...。

物語(経済的成功)が前進してる時は時計回り
停滞してるときは反時計回りに転換してたので、

ぴったり止まられると思わず

"さぁ次はどっちに回って舞台転換するの?"

って思っちゃいます。怖い演出...。

てか実際リーマン・ショックに一役買った(言い方)
CDO?でしたっけ、たしか、なんか、うん。
あれと中身が一緒で「ラベルを変えた」だけの
債権とかなんか売ってるらしいですよね。米で。
しかもコロナ・ショックなんか言葉もできてるし。

...ということは反時計回りか…。

うーん、ほんと『みんな我が子』じゃないけど、

"金ばかり追っても何にもならない、
そういう世の中になればいい"

のになあ...。無理かなあ...。無理だろうなあ...。

…なんか暗くなっちゃった...。
でもほんとに洗練された美しい舞台だと思います。
演出も何もかもが必要最小限の美というか。
化け物並みの俳優さん3人も使ってるだけある。
何あの計算し尽くしてるくせに、
全然そうは見せない程よく脱力した精緻な演技。
3人が揃って立ち上がったりするだけで、
ふわっと舞台全体の空気が変わったりするのが、
画面越しでも何となくわかるんやで...すごい...。

まあ、とりあえずは明後日、リベンジワンコして
(訳:『夜中に犬に起こった奇妙な事件』を
もう1回観に行って、感想書いて)
アンコール上映を締めくくりたいと思います!

ところで、明日は歯医者です。キャー。