感想日記

演劇とかの感想を感情的に書きなぐってます。あくまでも「感想」だし、備忘録としてネタバレしまくりなのでぜひ気を付けてください。でもあらすじとかはあんまり綺麗にはまとめてないです。

War Horse『戦火の馬』

2021/03/02

TOHOシネマズ日本橋

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だいだいシネ・リーブル池袋で観るので、こんなに大きな映画館で初めて観ました。)

(迫力すごい…。)

 

 

歯医者に行くついでに『戦火の馬』を観に行ってきました。

…でも感想書く前に愚痴書きます。そのための感想日記なので。

今日、後期の成績が開示されたんですけど…、

 

1番時間かけたうえに、かなり内容も頑張ってかいたレポートが評価Aって…!!!

そして大爆笑しながらふざけて書いた「バ美肉おじさん」についての考察とかいう、とんでもないレポートがA+って…!?!?

三島由紀夫のエッセイ的なものとか、歌舞伎とか引用しながら、果てはウィニコットの中間領域まで引っ張りだして無理矢理つなげた超ヘンテコなレポートです。笑。)

 

大学の評価基準が分かりません。本当に謎です。

形式さえしっかりしてればA+くれるやさしい先生と、そう甘くないぜ(にっこり)な先生が混在してるってことでしょうか…。(現実逃避)

 

…まあでも、『ヴォイツェク』の演出を半ギレ状態で考えたレポートが、絶対Bだろうな、と思ってたら、何かがマシだったらしく、A+来たので、それで心の中で相殺することにします…。あのバラバラになってる場面を、文字どおりバラバラにして、カルタみたいなカードを作って並べながら演出考えたのが良かったのか何なのか…。ほぼ太陽劇団『1789』とかの演出マルパクリしてんじゃね、みたいなのをベースにした演出案だったんですけど…。(つまりコロナ禍じゃ絶対無理なヤツ)

 

レポートって評価しか分からないので、どこが問題で、どういう箇所を直せばもっと良くなるのか全然分からないので、常に手探り状態なんですよね…。そういうのも自分で考えろよ、ってことだとは思うんですけど…。難しい…ね…。

 

愚痴はこのぐらいにして、いつものように感想書きなぐろうと思います。

 

【以下ネタバレしかしてないよ!!】

比較的真面目な感想

ざっくり、ほんとに大雑把に感想まとめると、

 

演劇的な想像力を刺激するようなスペクタクル性と音楽の力、それと物語の普遍性で、どう頑張っても感動せずにはいられないタイプの演劇

 

でした。

老若男女問わず、誰が観ても超良かった!!って言っちゃうタイプのあれです。もちろん最高!!だったよね。観に行って良かったです。

(この前観た子午線の祀りとかは、当然こういう面もありつつ、でも、ある程度観る方も考えたうえでの感動、みたいなのに重心を置いていたような気が個人的にするような…??でもどっちにしろ面白くて楽しい舞台って、両方の面をバランスよく含んでるから結局一緒か。)

 

 

 

あらすじとかは良いよね…映画も出てるし…観てないけど…。

アルバートって少年が、ジョーイって馬とせっかく仲良くなったのに、戦火のせいで離ればなれになって、探しまくって(ジョーイを探すために年齢詐称してまで軍隊に入るくらい)、もう死んだかも、って絶望したあたりで奇跡の再会を果たす、的なやつです。

我ながら雑過ぎる説明に逆にびっくりしてます。詳しくはウィキ先生に聞こう。

 

ちなみに、原作の小説では、「馬の一人称」で語られているらしいです。何それ面白そう。今度読む。

幕間の特典的なインタビュー映像で、演出家の1人の方が(どうも2人の方による共同演出っぽい)、「さすがに舞台化にあたって、馬が喋るの無理だ、と思ったからそこは変えて…」みたいなことおっしゃってました。

たしかにこの物語だと無理かもしれないけど、人間と馬の関係がもう少しドロッとしてて、やや依存じみた関係に(少なくとも私には見えた)、パラドックス定数『トロンプ・ルイユ』(オンラインの期間限定無料配信のときに観た)だと、普通に馬(人間がそのまま演じる)が喋っていて、かつそれが最高なので、根本的に無理、というよりは、内容と形式の一致さえクリアすれば、馬でもバクテリアでも、たぶん舞台上だと喋れるんだろうなあ、と思いました。

 

やや脱線したので戻します。

とにかくもう、色んなところで色んな人が言ってると思うんですが、馬のパペットがすごい!!

手を突っ込んだりして動かす人形のことを基本的にパペットって呼ぶらしいんですが、でもパペットって表現するにはデカすぎな印象だよね、とかどうでもいいことは思うけれど、とにかくマジで舞台上に馬がいる。生きてる…。

 

特に最初に馬が登場するシーンが最高というか上手いというかなんというか…。

舞台後方に、スモークが立ち込めてて、そんなに強くはない照明がその部分に当たってるんですが、そのスモークの向こうから馬が登場するんです。
スモークがかかっているし暗めだし、全体的にぼんやりとして、馬のパペットの細部というよりは、全体的なシルエットの方が強調されてて、この部分だけは操作している人も見えにくいので、「そこに馬がいる」みたいな錯覚にすごく入りやすかったな、と個人的に思いました。

 

あととにかくパペットを操る方々が本当にウマすぎる(…かけてないよ…??)。馬がマジで生きてる。馬の耳の動きとかで馬の気持ちが手に取るように伝わってくる…。

(でも、日本伝統芸能とかをよく観る方だと、馬のパペットの緻密な美しい造形とかには息を呑んでも、人形自体がまるで1つの生命体に見えるのには、感動はするだろうけど、そこまで新鮮な驚きを伴った感動、というものではないのかな、とも思いました。正直人形浄瑠璃とかでよく観るし…。あと意外と、パペットを操る方々が表情豊かだったのが面白かったです。馬の声も担当されてるからですかね。)

(あと、後半で戦車が、車輪部分というか、全体構造の枠組みだけで出てきたときなんかは、能とかで見る、舟の作リ物なんか思い出したりもしました↓。なんかやたら似てるって思うの私だけかな…??画像は公式Twitterから)

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ACT1途中の、ジョーイとトップソーンの馬同士の戦いとかはすごい迫力でした。舞台上で馬2頭だけが立ち回るので、人間誕生以前の神話を目撃したみたいな衝撃です。映像でこれなんだから生で観たらもっとすごそう…。

あとACT1のラストは壮観でした。いざ突撃!!って場面なんですが、幕切れにかけてだんだんとスローモーションになる動きと、アオリのカメラアングルも相まってマジ最高です。パペットの存在感と、身体の中心まで響いてくる爆音の音楽と、スケッチ風の映像が場面ごとに投影されるセットとか、配置の美しさと、照明の作る雰囲気すべてに圧倒されるとしか言えません。語彙力よ、来い。

 

 

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(映像だともっとアオリだったような…公式Twitterより)

(あとなんか、どっかで読んだんですけど、アオリって主観的な印象で、フカンって客観的な印象になるらしいです。なんか分かるかも…。)

 

そういえば、幕間のインタビュー映像で知ったんですが、照明もかなり意識的に使いわけているそうです。


高いところから暖色系の柔らかい光→デヴォンの田舎の風景とか。
低くて動的。個人的に寒色系が多かった気がする→戦争の場面とか。

 

ACT2から気を付けて観てみたら、ほんまや…!!って謎に関西弁になるほど興奮しました。東北人なのに。おかしい。

アドルフ・アッピア(この人の、階段多めな舞台装置のデッサン画とかめっちゃきれい)の「我々の演出をいかに改革するか(Comment réformer notre mise en scène ?)」(『西洋演劇論アンソロジー』)とか読んで、「照明ってなんかすごいんだな…( ゚д゚)」とは思ってたけど、やっぱり実際に観て気づいて初めて納得したよね。照明ってすごい…。今度舞台観るときとかは、照明も、もっと楽しんで観てみたいです。

 

あと、ACT1のお気に入りのシーンは、クリスマスプレゼントの場面です。ジョーイを売ったことで生まれたアルバートと父の確執、みたいなのがチラ見えするとこなんですけど、その前の場面が、戦場で、予想外のマシンガンによる攻撃のために倒れ伏した兵士と馬、みたいな感じで、その後にそのアルバートの家の場面に時空を超えて移っていくんですが、場面転換上の制約だったのか、演出意図なのかは定かではないんですが、馬とか兵士がそのまま舞台上に倒れ伏したままで進行していくんですよね…。

戦争による、不安な雰囲気が、片田舎の家の中まで影を落とすように入りこんできている感じとか、それ以外にも色々とリンクしているみたいに感じられて、個人的に素敵だな、と思いました。

実際、そのアルバートの場面で、ジョーイを買い取った軍隊の人が戦死した、みたいな知らせも飛び込んでくるし…。

 

倒れ伏すと言えば、ACT2で馬が死ぬ時(トップソーンが死んじゃうんですが…(´;ω;`))、パペットの木組みとかが、バラバラに砕け散りそう(なんとなく何個かの大きなパーツの組み合わせで出来ていそうだったし)になりながらゆっくり倒れるのとか、生命体の崩壊を具体化して、それを目の前で見せられた感じがしてほんとにしんどかったです。つら…。

 

近すぎる戦争の話って、やっぱどんなに凄くても、演劇の、「全部本当の事じゃなくて嘘っぱちです!!」みたいな虚構性の前だと、どうしてもややシラケる瞬間って出てくる時があるんですが、パペットの馬を本物だと信じ込む、みたいに、みんなで共有できる了解を作り出してくれているから、虚構を本物として信じやすくなってるし、なによりそれを補って余りあるスペクタクル性のすごさですよね。

音楽とかも、さっきも書きましたが、お腹とかに響くレベルなので、真面目に戦争を体験してるみたいに思いました。爆撃の瞬間のびっくり度合いとか、映画の『1917』観た時の感覚に近いかもです。

 

あと、ACT2で、英独両軍の中間地点にある有刺鉄線に絡まってしまったジョーイを助けるために、舞台両側の、客席と同じ高さの地面に(たぶん塹壕??)隠れていた、英軍と独軍から、兵士が1人ずつおずおずと進み出て、舞台中央の、文字通りの「中間地点」で、馬1頭と1人と1人になった時、敵味方関係なく、1つの生命としてお互いにお互いをそれなりに尊重しあって、それなりの敬意を表しながら、英、独、そして馬、言葉が通じないもの同士、なんとかして意思疎通して分かり合いたい、みたいな人間の根っこの素敵な部分を見た気がして、個人的にハイライトでした。

実際途中のインタビュー映像でも、「ジョーイは英独どちらにも属さない中立の存在なんだ」(うろ覚え)的なことを原作者さんが言っていたような気がするので、まさにこの場面で象徴的にそのことが出てる~!、なんて勝手に思ってました。(笑)

 

たしかに、物語全体の流れとして、感動の再会、みたいにハッピーエンドに向かっていくし、舞台上空に浮かぶページの切れ端スクリーン上に投影されるスケッチ風の映像とか、舞台冒頭で、語り部的な人が出てくる部分とか、とにかく演出家の方だか誰かが言ってたみたいに、おとぎ話っぽい部分があって、戦争をこういう風に描くことに否を唱える人も、もちろんいそうだな、とは思ったんですが、おとぎ話の形式って、ある種の型があるからか、いつまでも意識に刻み着くような強さがある気がするし、そもそもこれ、上に書いたシーンでも分かるけど、和解(Reconciliation)がテーマだしな…。みたいにぐるぐる考えてました(笑)まだまとまってない感じがします。

でも、今回の作品とは特に関係なく、個人的に、戦争を演劇で描くのは難しい部分とかクリアしなきゃダメな部分があるよね、というのはなんとなく思ってます。映画とかの方がまだ安全かな、と漠然と思う…。たぶん「嘘っぱち」感が少ないからかな…???

 

それにしても、何回も劇中に出てきた

 

Only remembered for what we have done.(行いだけは残る、って訳だった気がする)

 

っていう歌の歌詞の重みやばくない…??なんか上手くいえないけど「行為・行動」をみせる舞台でこんなこと言われるとすごく考えこんじゃうよね…。おかげで頭の中若干混乱してるけど…。

人間、この後も第二次世界大戦起こしたしな…とか、コロナ禍での差別とかなんかね、色々…。

 

真面目な感想に入りきらなかったテンション高めな感想

パペットは馬がもちろんメインだけど、ヒルがいい仕事してませんか??笑笑笑笑。
アルバートのいとこのビリーを追いかけまわす時とか、散々追いかけまわして颯爽とアヒルが退場していく時、そのまさに去り際に、舞台上に、何枚かの羽が、余韻みたいに舞うのが謎にかっけえ笑笑笑笑

あとカーテンコールもお茶目でした。観客のハートをがっちりつかんでる気がするよアヒル君…。

 

追記:もしかしたらアヒル君じゃなくてガチョウ君だったかもしれない。そんなバカな。というかイモリとヤモリ、キャベツと白菜の区別すら怪しいのに(重症)、アヒルとガチョウの区別は難易度高くないか?(多分そんなことはない)

 

同じく、空を飛ぶ模型的な鳥が(長い棒のてっぺんに鳥の人形?がついてる。その棒を操作主が動かす)、ページの切れ端スクリーンに投影された空を飛んでいるように、人形として三次元の舞台空間上に実際にいつつ、スクリーン上の影絵として二次元空間にもいたのが、マジで飛び出す絵本の進化系。めっちゃ綺麗だった。

あとフランスかぶれみたいな軍曹の人、個人的に好きです。役名も俳優さんの名前も知らんけど。セリフ回しが好きでした。

 

今年度まとめ

もうすぐ帰省しようと思っているので、たぶんこの『戦火の馬』が、今年度、劇場及び映画館で観る演劇の最後かな、って感じです。

てか、劇場で観た演劇、メモが正しければ今年11公演か…すくな…。まあようやく行けたのが7月!!『アンチ・フィクション』(シアター風姿花伝)だったしな…(面白くて受付で売ってた戯曲買いました)。半年で11公演なら、コロナ禍だと観られた方か…。

 

来年度はもっと観たいな…と思います。

というか世田谷パブリックシアターKAATのラインアップが面白そうすぎて、今からチケットとれるか大分ハラハラしてます。最高過ぎない??

少なくとも狂言劇場その九「法螺侍」「鮎」』『未練の幽霊と怪物』が取れなかったら、軽く5年ぐらい廃人になっちゃうからそこんとこ神様的な人よろしく!!って今から心の中でフランクにお願いしてます。きっと大丈夫…だよね??たぶん…。

 

ちなみに11公演しか観てないけど(NTLiveは、そもそもが全部面白過ぎるので除外。笑。)、今年度、1番個人的に最高に面白くてやばかったのは、

 

子午線の祀り!!!

(感想16000字超えた。アホすぎる)

再演待ってます!!!

(でっかい声で書いとけば伝わると信じてる)

 

monsa-sm.hatenablog.com

 

(ただ今年度2020年4月~2021年3月じゃなくて、2020年1月から、とかにしちゃうと『エブリ・ブリリアント・シング』とか天保十二年のシェイクスピアとかねじまき鳥クロニクルとか最高過ぎるのがちらほら出てくる。もはや優劣つけられない無理。全部尊くてしんどい。)

 

あとNTLive、来年度何やるんだろう…いっそ本国英国でやったのに日本でやってないやつとかこの際全部吐き出しちゃわない???

 

わたしThis Houseとか全力で待ってるよ…??

(でっかい声で以下略)

 

そんなこんなで、しんどかったけどまあまあに楽しい観劇が出来た1年でした。

たぶんチケットとれたら、来年度初っ端はパンドラの鐘かな。プリセール見る限りいけそうかな…。

芸劇の安く買えるチケット狙ってるので、発売初日まで息をひそめてじっと様子をうかがっています…。