感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

色んな「狂気」が面白かったファビュラ・コレクティブ『HUMAN.』

2021/08/29

新国立劇場 小劇場

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アクリルとかガラスのケースに入ってないと写り込みなくて撮りやすい…。

 

 

このあいだオペラ☟観に行った時に、看板を見て面白そう…となってジャケ買いしました。

 

monsa-sm.hatenablog.com

 

コロナ禍だけど…もうそこは気を付けるしかないってことで…。

 

来日難しい時期なのに、こんな贅沢なのを2000円で観ていいのか…って感じでした。

しかも2階席だけど距離的にはほとんど最前列の位置。ちっか!!

上に視線を向けるダンサーさんたちと目が合ってると錯覚するレベルで近かったです。

ある意味S席じゃんね??

唯一の欠点としては真横すぎて舞台袖が丸見えなこと。(笑)

いつも遠くの安い席から観ることが多いのでたまに舞台に近いとビビる。

 

ダンス公演、観に行くのは好きなんですが、あいにくダンスの美しさとかを描写する語彙力と知識がないので、たぶん今回の感想はいつに増しても語彙力低めになる気がしてます…。でも出来る限り頑張ってはみよう…。

 

 

公式(トレーラーとかものってた)

www.fabulacollective.co.uk

 

マクベス夫人」は割とトレーラーの印象そのままに近かったんですが、残り2作品は印象はトレーラー通りといえば通りなんだけど、色合いとかそういうのは結構違う感じでした。

 

あと2019年にこのカンパニー、なんかめっちゃ面白そうなのやってたんじゃん…不覚…、となりました。能舞台って…良き…。

spice.eplus.jp

 

今度またなんか公演するときはちゃんと情報ゲットして、絶対観に行きます…。

 

Lady Macbeth マクベス夫人 —追い込まれた/押し付けられた狂気—

初っ端、マクベス夫人が王座の上から、王座にみたいにまとわりつきながら出てきただけでもうなんかすごい。

 

緑のドレスが、王座の赤色とか、あとの方に出てくる赤い布とのコントラストできれいだった…。

 

舞台全体にモヤみたいなのがかかっているのも、夢遊病の人みたいに歩き回る戯曲のマクベス夫人の夢の中に入ったみたいで、凄かったです。

 

あ、あと途中で、マクベス夫人が十字架のライトのなかに座っている時、香炉みたいなのを男性ダンサー2人が両手に1つずつ、計4つ持ってきて踊り出したときはちょっとむせました(笑)

肺が弱いのかタバコとかお香関連とかが結構苦手で…1席開きだけど隣の席の人ごめんなさい…。マスクの上からハンカチで抑えたしたぶん飛沫とかは心配ないです…。

 

とにかく近い席で観たからか、息遣いとかまで聞こえてきて、マクベス夫人が、今、どんな気持ちなのか、というのがダンスを通してびしびし伝わってくる感じがしました。あと1つ1つの動きの完成度がほとんど芸術品。優雅。連続写真撮りたい。

 

途中でベールみたいなフード付きの薄布まとったまま、マクベス夫人が踊るのも幻想的がすぎるぜ…。

紫とピンクの2層のベールみたいになっていたのでマジできれいでした。

 

ダンカン王とバンクォー役なのかな?の男性ダンサーも出てきて、結構リフトとかの動きが迫力あったんですけど、徹底して無表情なのが亡霊感あって怖かったです。

その2人が黒いフード被ったままマクベス夫人に迫るとこなんて、もうマクベス夫人の恐怖が伝わってくるやら退廃的に美しい構図やらで感情がパニック。

 

紗幕の後ろにダンカン王がいるのも、照明当てた瞬間、ほんとに亡霊が突然出てきたみたいで、「なるほど紗幕はこうも使えるのか…」となりました(どこ見てる)

 

あとラスト、マクベス夫人が王座の上からその後ろに飛び降りる時、その一瞬前に、王冠を被った人のシルエット(なんとなく女性っぽくも見えた)が、また紗幕の後ろにバッとうつってから、飛び降りて(死んで)幕、だったので、最後まで自分の罪に追いこまれた、あるいは、本来は実行犯である今は王となった夫マクベスが真っ先に追い込まれるはずだったものを押し付けらた(引き受けた)ゆえの「狂気」って感じがして、15~20分ぐらいの短い作品だったけど、マクベス夫人の最期を全て観てしまったような感動がありました。

 

Everything Would Be Nonsense —距離、それか現代の狂気—

なんか第一印象として「パズルみたいなダンスだな」と思いました。

電子音みたいなのがずっと鳴り響いているからそう思ったのかもしれないんですけど。

Perfumeのダンスの進化系みたいだな…とも思ったり。でもド素人なのでこのたとえがあっているのかわかんないです…。

 

最初、上手からテーブルをゆっくり出しながら男女が踊っているんですが、移動してる途中なのに暗転して、すぐ明転したと思ったら、もう1組の男女ペアに変わっている…というのが、だまし絵みたいで楽しかったです。超高速移動すごい。

 

結構せわしなく踊っている感じなんですが、踊ることで、相手に近づいたり、離れたり、触れたりしながら、互いに互いとの距離をはかっている感じがしたのが、「なんか今ってこんな感じだよな~」と思いました。

SNS上でのやり取りみたい。距離感つかみかねてるみたいな。

 

とか思っていたら突然、下手側から赤、青、緑、黄の強い色彩の照明で、舞台が四分割されて、ダンサーがそれぞれの区画を行ったり来たりしながら踊り出したのでびっくりしました。突然の感情爆発。

 

正直、最後まで何やっているのかは分かんなかったし、言われないと不思議の国のアリスのお茶会が元ネタっていうのもわかんないし、別に狂気っぽさも感じないし、とにかくわかんないことだらけなんですけど、「人との距離を探っている、つかみかねている」感が、ものすごく現代!!って感じだな、と個人的に思いました。

 

あとテーブルとかを使ったダンスとか個人的にすごく好きです。フォーサイスOne Flat Thingとか思い出しちゃった。

授業で見た時アホみたいに口開けてたのを覚えている(笑)

youtu.be

 

Dorian Gray ドリアン・グレイ —視線の狂気— 

何観たか思い出せないぐらい衝撃的でした。

観終わった後に呼吸が楽になったので、どんだけ息つめて観てたんだ自分、って感じ。

 

男性ダンサー2人なので、迫力がとにかくえぐい。肉体!筋肉!って感じ。(表現)

 

あとドリアン・グレイだしテーマ的に言ってもいだろということで言うけど、2人とも信じられないほど顔が良い。動く彫刻か何かですか??

 

『ドリアン・グレイの肖像』、物語をざっくりしか知らないんですけど、小説の要素をぎゅっと詰めたみたいな作品でした。そりゃ息も出来なくなるわ。

 

ジェームズ・ペットさんがドリアン・グレイで、トラヴィス・クロ―セン=ナイトさんがその他何役も演じる、って感じでした。

ドリアン・グレイの衣裳は、全身真っ白なタンクトップか、その上に白いジャケットって感じで、あとトラヴィスさんの方の衣裳が結構特徴的な感じ。☟

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1分クオリティなので雑なのは許して…。うろ覚えだし…。

 

ちょうど肖像画を描くときにここで切れるよなあ、みたいな位置で色が分かれているので、最後に倒れ伏したドリアン・グレイを立ったままじっと眺めているのが、まるで美しさが戻った肖像画が、舞台空間上に現れたみたいでトリハダ立ちました。

 

 

あと照明がすごかった!!!!

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見えないから青で描いてるけど、ほんとは真っ白な照明です。

 

ざっくり描いたやつの、上2つの時は、1つ1つ順番に舞台上に差し込んでくるのでとにかくきれいです。肖像画のシーンなんかは、鉛筆で下書きしてるみたいにも見えた。

 

そして矢印描いてるけど、真ん中のやつから一番下のやつには照明の角度だけを変えるのでほんとに一瞬で舞台面が変わる。

その縦横無尽に光線が走っている中を真っ白な衣裳のドリアン・グレイが踊るので、光線の部分に身体が触れる度に目がチカチカするほど光の動きが生まれます。最高。

 

互いに視線を交わし合い続ける男性ダンサー2人の踊りもそうだけど、視覚からグラグラさせれるこの感じ、「見た目の美しさ」に固執した話だったことを考えると、すげえ表現…って思いました。そしてやっぱり美しい。

 

ダンサー2人のうち片方は、何役もやっているので当たり前なんですけど、刻一刻と変化する2人の関係、それに伴って変わる主人公の気持ち、みたいなのが、一切言葉がないダンスを通して、こんなにもハッキリと体感できるのが、やっぱダンスって「感情」とかをダイレクトに伝えるのにめちゃくちゃ向いてる表現なのかな、と思いました。

音楽もだけど。

 

あと最後なので心の声を爆発させて終わります。

 

 イケメン2人が美しい身体で、最高レベルに美しい動きを踊っているのに、目の保養にならないわけがないよね!!

しかもマクベス夫人も美女すぎだし、お茶会のダンサーさんたちも当然のようにスタイル良すぎだし、全員ダンスのクオリティ高すぎだし、とにかく目の保養すぎないかこのプログラム。

 

公演後のQ&Aセッションが充実してた

たぶん1時間ぐらいやってたんじゃないかな。

今夏休みだし、コロナのせいで春学期も対面授業少なすぎたので、こういう風に生で質問とかお話とか聞けてすごい楽しかったです。ちょっとケツが死んだけど。

 

「皆さんに見られることで作品は完成しています。皆さんが思っている以上に皆さんの存在は大きいのです。」

 

ってことをジェームズ・ペットさんが話されていて、なんか素敵だな、と思いました。

 

あと振り付けの指示通りじゃなく踊りたくはなりませんか?ってすごい質問に、YES!って答えられていたチラ・ロビンソンさんはキュートでした。

かっこよくてキュートとか最高かよマクベス夫人(混乱)

 

2000円なら…って思い切って買ってみて良かったです。

ダンス公演またなんか観に行きたいな…。

最近見つけて面白かったのは、「踊る」というより「踊らされる」コレ☟だけど…。

youtu.be

…もしかしたらフォーサイスとかが私好きなのかもしれない。謎…。