感想日記

演劇とかの感想を書きなぐってます。ネタバレはしまくってるのでぜひ気をつけてください。

Present Laughter『プレゼント・ラフター』

2020/10/10
シネ・リーブル池袋
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観てきたよー!『プレゼント・ラフター』
こんにちはモリアーティ!(違う)

大学の先生もごりごりに推してて
うっかりばったり映画館で会わないか不安でした。
(1回実際にあった。必死で知らん顔したよね)
今回はお母さんと一緒に行ったので余計に...。
まあ、大学の生徒の顔なんて覚えてないだろうし、
大丈夫っちゃ大丈夫なんだけど、
こっちの気持ち的なあれですよ...。

でも大丈夫だった。めっちゃ良かった(ズレる趣旨)
安心して爆笑してきました。
ドアの開閉音すら面白いってどういうこと。

パンフレットも買ったけど、
感想書いてからじっくり読む派なのでまだ未読。
早く読みたいので早く自分の感想書きあげます。
がんばる。たぶんがんばれるはず。


...といっても、基本的に喜劇だったので、
どこから手をつけていいやら...。(´-ω-`)

とりあえず原作から性別が変わったのは、
多分ヘレンとジョーの夫妻かな。
まあなんで変えたのかはちょっとわかんないけど...。
多分、、上演するためには、
原作にあるジェンダーの価値観とかを、
現代に引きつける必要があって変えたのかな。

ギャリーが女性ばっかと問題起こしてたら、
今だと、なんかこの話の中心から逸れそう...というか。
やる意味みたいなのが薄くなりそう、というか、
...男女の立ち位置とかパワーバランスに、
多分どうしても引っかかるというか、
古典喜劇みたいになりそうだよね…。
それはそれで観たいけど…。

とにかくなんか、男女関係なくギャリーに首ったけ、
みたいな感じになってて

"Everybody worships me. It's nauseating."
みんな俺のファンとか超ゲロ吐きそうなんだけど)

ていうギャリー(アンドリュー・スコット)の
台詞がマジでハマってる感じがしました。
本当にギャリーが太陽みたいな中心(The sun)で、
その周りでとんでもないカオスな出来事がおきてる、って感じ?

主要な登場人物って、7人とかそのぐらい、
だったと思うんですけど、こと恋愛…、

…恋愛というかもはやLove affairsとかAffairsとしか
表現できないと思うんですけど…

性別とか既に関係なくなっちゃっているんで
不安も嫉妬も色々感情が二倍増しみたいになって、
あと、とにかくその関係性とそこから生まれてくる
「今」の状況が信じられないぐらい混乱する笑。

で、これ以上無理だろ、ってなった瞬間に、
劇作家志望のクレイジーなモールさんの登場で、
ほとんど爆発です。ぱーーーんッ笑。
道化的なパワーおそるべし。
彼にはすべてをクラッシュする力があるね、やばいね笑。
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ギャリーも頭抱えてたもんね。ダフネの5倍やばい。

"Don't love me too much."
(あんまり愛しすぎないで)

ってギャリーがこぼすのも、(確かダフネ相手にかな)
こんなのが何回もあったらそうもなるわな、って感じでした。
まあでも、

"This today is the most irritating morning of my life."
(今日という今日は人生最高にムカつく朝だな)

ってギャリー最初らへんに言ってるので、
なんか、どんまい、というか笑。

このちょっと大げさな雰囲気の言い回しの台詞、
色んな場面で構造だけ保ちながら単語は様々変化して、
結構ギャリーが喋ってました。(覚えてないけど)


"I'm always acting."
(いっつも演技してるんだよ)
"I belong to the public."
(みんなのものなんだ)
"There's no peace anywhere."
(どこにも平和なんかない)

それにギャリー自身こんなことも言っているからか、
なんというか、観ているこっちも、
"今、本音なのかな、演技なのかな?"
とだんだん分からなくなっていくというか…。

最初らへん、例えばダフネを追い払うために、
メロドラマみたいなやり取り繰り広げる時なんかは、
明らかにオーバーアクティング!って感じで、
観客とかにも目配せしたりとかしてたんですけど、
なんか途中から、ギャリーが演技してるのか、
演技してるのに気づいてないのか、
それとも演技してないのか、
観てるだけじゃよくわかんない演技に
中の人(言い方)のアンドリュー・スコットさんが微妙に
気づかない程度に滑らかに変えていったのすごい...。

(ほんとこの方だけじゃないけど、
向うの俳優さんって、常に絶対に一定レベル以上
演技してくるからすごいよね…。
たまに日本の観ると、素人目でも開いた口が
顎関節から外れそうなのとかあるからやばいよね…。)

ちなみに一番好きだったのは、"10%!10%!"
観た人なら分かるよね。声をそこであえて落とさないで笑。

あ、あと女優志望の女の子がダフネだってわかった時の、
"~~~~(声にならない叫び)"みたいなのも結構好きです。

"やっちまったね、でも観客みんな分かってた笑"

みたいな状況が好きでした。
これは戯曲(でも結構変えてるらしいから上演台本?)との
相乗効果かな?

他にも、休憩が一回挟まってたんですけど
Act1Act2の踏み台、てことがはっきり分かって、
それがまた面白いというか。

繰り返される状況って当人からすれば奇妙だけど、
観てるこっちからすると笑い以外の何物でもない笑。
しかもそれが色事に関わってくると余計にやばいのに、
別人(しかもダフネとジョーだからほんとに正反対)
なのにほとんど台詞まで一緒とかお腹が痛いです笑。

いやもうほんとに一生分の

"I forgot the latch key!"
(鍵忘れたの!というお泊りの口実)

を聞いた気がする。どんだけみんな鍵に対して不注意なの笑

使用人の"慣れっこですう~"なしらっとした態度が
余計に拍車かけてました。
舞台上にツッコミ役が不在になった時の
(大体ギャリーかモリス辺りが引き受けてるけど)
最後の頼みの綱の使用人さんたち。頼もしすぎる笑。

あと意外に面白かったのは電話かなあ。
客間(舞台の外)に訳アリで隠れてるジョーと
ジョーの不倫相手のモリスとか、ギャリーのほぼ元奥さんのリズとか
電話で色々と状況を打破しようと会話するんですけど、
その後のスタジオ(舞台)のドタバタを
ジョーが盗み聞いてて、我慢の限界がきて
ジョーが電話越しに言うセリフが

「こんな茶番劇はもううんざりだ!」

とかなんとか。いや原因おまえだから笑笑笑、
とかいうのは一旦おいておくにしても、
現在進行形ですっごくカオスな喜劇上演してるので、
メタ発言的に面白かったです。
(だってジョーは「この時は」観客みたいなもんだし)

あ、でも「ベストオブお前が言うか賞」は
やっぱりギャリーかな。

"Stop being theatrical!"
(芝居がかるのはやめてくれよ!)

って最後らへんだかにみんなが殆ど狂乱してるときに叫ぶんだけど
いやほんとお前が一番そうだったじゃん!みたいな。
あれはみんなの心が一つになった瞬間でした。

それにしてもバカみたいな書き方していいなら、

"ギャリーってめっちゃめんどいかまってちゃんじゃん"

って観てて漠然と思いました。(語彙力が来い)
愛されなかったり周りから必要とされないと
それはもう死んじゃいそうに辛いんだけど、
愛されすぎたり必要とされ過ぎちゃうと
それはそれで煩わしくさえあって辛い、という…。

なにこいつめんどくさい笑笑。
けどないものねだりとかなら私でも分かるから、
そう考えると分からなくもないかも。

最初にあったキャストインタビュー的な映像で、

"彼(ギャリー・エッセンダイン)は
人生の喜びとか幸せと、苦しみが、
普通の人よりもずっと近い位置にあると思う"

って誰かがこんなこと喋ってたような気がするけど、
そんな感じなんだろうなあ、って思いました。

ところですごくどうでもいいけれど

Garry Essendine

ってめっちゃ変な名字、ってぼんやりみてたら

EssendineNeediness

になりそうだな…って。
調べてみたら、The Independentとかも

"これNeedinessのアナグラムやん"

て書いてたので、英語ネイティブが言うんだし信じるべき。

今調べたら、Needyの派生語らしくて、
Needyって貧しい、のほかに、
愛情とか注目に飢えてる、みたいな意味もあったと思うので、
めっちゃまんまかよ、って一人で腑に落ちてました。
でも、周りがギャリーを必要としてるようで、
実はギャリーも周りを必要としていた、っていうのは
結構おもしろいな、と思いました。

それにしても、こういうタイプの劇、
全然大好きなんですけど、如何せん人生経験がない分、
いつもラストになると頭の中が???ってなります。
『フォリーズ』しかり『スカイライト』もまたしかり…。

"同情も愛情もないならなんで俺についてくるんだ"

って言ったギャリーに対して、たぶん元妻のリズが

"for the firm."
(仕事のためよ)
firmって名詞だと確かに、企業とかいう意味だけど、
形容詞だとa firm friendshipで「堅い友情」とかに
なるので、ギャリーと周りの人達の関係を
firmなものとして維持するため、って
言外に言っているような気がした。
(この前の場面で周りの人たちと
盛大にケンカ別れしてた。
なんならジョーには殴られてた。
悲鳴上げられた方、わかりみが深い)

って言って幕、なんですけど、え?????
…え、これで終わり????

なんか突然しんみりして終わったぞ???

...HELP ME! MUM!

ということでお母さんに助けてもらいました。(どういうこと)

"リズは喋る前に、ギャリーに
"愛なんてとっくにないだろ?"って先手打たれたから、
ほぼ離婚した手前プライド的には愛してるって言えない上に、
自分でも本当に愛してるのかはもしかしたら謎かも。
でも、愛はなかったにしても情はあるんじゃない?
ほら愛情っていうし。よく分かんないけど。"

…なんかわかったような気がする…!!!
だからあんなにしんみりしてたんですかね。
気持ちがちょっとだけすれ違っちゃってるから。
深イイボタンあったら壊れるまで押してたわ。

シェイクスピアの喜劇みたいななら
何とかついていけるんですけど、もう一段階進むと、
まだまだ厳しいものがあるような気がする…。
暫く経ってからアンコール上映とかしたら、また観に行こう…。
そうしよう…。

それにしてもアンサンブルとはよく言ったもので、
ものすごく緻密な舞台でした。
神がかり的なタイミングと台詞の掛け合いと
あと顔芸込みのめっちゃ笑える素敵な演技。
どうやったらあんなにきれいにボールがクリーンヒットするんでしょう。

(スージー・トースさん、『一人の男と二人の主人』でも
めっちゃ素敵だったけど、今回のヘレン役も素敵すぎる)

(パーティ後のACT2の舞台に
風船?ボール?が転がってたの好きでした。
ACT2よりさらに怒濤に物語が進んでいくから、
それに伴って動きが出てかっこいいし、
何よりボールの比喩の台詞もあったし…)

でもなんか、ちょっと専門用語的には
意味合いが違うのでアウトなんだろうけれど、
日本語の語感的な意味で「涙の喜劇」って感じだったので、
Present Laughterっていうタイトルよりは

十二夜』第二幕第三場の歌から…だよね?!
What is love? 'tis not hereafter;
Present mirth hath present laughter

(恋ってなんだ?恋に、これから、なんてないだろ。
今こそ喜んで、今こそ笑って…)

Sweet Sorrow(甘い悲しみ)っていう、
なんかインタビュー映像で触れられていた、
最初にこの劇にノエル・カワードがつけたタイトルの方が、
今回の舞台にはあっているような気がしました。
まあ、素人目ですけどね!!!!!

そしてなんとか書き終わったよ!!
パンフレット読む!!!
あとモリアーティ(もはや直す気がゼロ)が
演技上手いのはSHERLOCKとかSea Wallとかで
嫌ってほど分かってるから書かなくていいよね!!!
monsa-sm.hatenablog.com
(これはマジでやばかった。天才だと思った。
あとブログ始めてそんなたってない頃だから、
比較的文体のデスマスとかが丁寧笑笑笑笑)

次の観劇は『狂言ござる乃座62nd』かな…。
久しぶりに国立能楽堂とか行くな…。
…去年の11月ぶり??!!!ほぼ一年じゃんやば。
今度は日本らしい喜劇を観てきます笑。
学生券万歳。安いの大事。